EYESプロジェクトは、アジア域内において「多文化共生」課題に様々な方法でアプローチしている実務者を対象とした、人材育成プログラムです。本年度は「多文化共生とアート」をテーマに、フィリピンと日本を研修地として、両国における「人の移動」の実態や「多文化共生」推進活動を理解するとともに、アートの手法をコミュニケーションツールとして活用した「ワークショップ」を行うことで豊かな「多文化共生」社会の実現に向けてどのような可能性があるかについて学びました。
プログラム最終日の10月20日(日曜日)には、東京ミッドタウン・デザインハブにて、フォーラムを開催いたしました。
第1部は、日本の事例と、本年度プログラムについて報告を行い、第2部はアジアの多文化共生事例について、アジア各国から招へいしたEYESプロジェクトフェローより現場の声を聞きました。当日は88名の参加があり、報告後の交流会では、登壇者と来場者の情報交換の機会となりました。
アドバイザー
徳永智子(筑波大学助教/EYESプロジェクト2019アドバイザー)
筑波大学人間系教育学域助教。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学、米国メリーランド大学カレッジパーク校より博士号(教育学)取得。専門は教育社会学・教育人類学。日本とアメリカで移民の若者の居場所づくりやエンパワメントの研究・実践を行っている。複数の文化や言語のはざまを生きる子ども・若者の力や強さが発揮できる教育支援・社会のあり方を模索している。
研修詳細(日程:2019年10月10日から20日)
10日(木曜日):マニラ
フィリピン国立大学アルシド教授、NGO団体 Batis Center for Womenによる導入講義
11日(金曜日):マニラ
NGO団体ATHIKA、アラミノ市サンタロサ マニラ訪問、ホームステイ
12日(土曜日):マニラ
Daloy Dance Companyでのワークショップ
13日(日曜日)
マニラから東京へ移動
14日(月曜日):東京
筑波大学徳永智子助教による導入講義及びディスカッション
15日(火曜日):東京
クローズアップ現代「外国人労働者の子どもたち~受け入れ拡大のかげで~」視聴
一般社団法人kuriya代表理事 海老原周子氏との対話
16日(水曜日):東京
しんじゅく多文化共生プラザ視察
イミグレーション・ミュージアム・東京主宰 岩井成昭教授との対話
『Journey to be continued-続きゆく旅-』視聴
『Journey to be continued-続きゆく旅-』動画
17日(木曜日):横浜
ABCジャパンフリースクールに通う子どもたちとのワークショップ
18日(金曜日):京都
京都市池田小学校でのワークショップ
京都市地域多文化交流ネットワークサロン、シアターE9視察、JFC当事者との対話
19日(土曜日):岐阜
二条城視察
可児市国際交流協会視察
20日(日曜日):東京
フォーラム&交流会
フォーラム「多文化共生社会をデザインする:アジアの視点から」
マニラでの活動の様子
EYESプロジェクト2019フェロー
Meninaputri Wismurti(インドネシア)
BHINNEKA CIPTA SETARA (BCS)共同設立者
多文化社会における人権に携わる。インドネシアで初めてとなる人権に関する映画祭を開催している。
Maria Kariz Lucila Elfante Del Rosario(フィリピン)
Batis Center for Womenプログラムコーディネーター
日本に住むフィリピン人出稼ぎ労働者やJapanese-Philippino Childrenの一時帰国時のフィリピン国内でのサポート。働きながらジェンダースタディで修士課程に在籍中。
Raquitico, Raul JR. Lorenzo(フィリピン)
フリーランスアーティスト、グラフィックデザイナー、 Daloy Dance Companyダンサー
フィリピンのコンテンポラリーダンスの振り付けコンテストにおいてグランプリを受賞した。
Dr. Suwichan Phatthanaphraiwan(タイ)
シーナカリン・ウィロート大学地理文化管理助教、ミュージシャン
山岳少数民族カレン族(パカニョ)の出身。タイとミャンマーの国境近くのターク県で活動している。ミュージシャン、大学教授として働く一方、2005年よりタイとミャンマーの国境に住む移民などの子どもを対象として、権利の保護や教育、職業訓練を行う財団(TBCAF)に所属し、活動を行っている。
Sarawut Takham(タイ)
コミュニティベースツアーを企画する旅行会社職員
ツーリズムを通じた地域活性化に従事。カレン族のコミュニティで、ボランティアとして彼の持つビジネスマーケティングの知識を生かして活性化のための支援を行う。
Theimila MARCHANG(インド)
Shiksha Rathアソシエイトダイレクター
マスコミュニケーション修士号。Shiksha Rathにて、貧しい子どもへの教育支援を行う。
Shruti RAMLINGAIA(インド)
インディペンデントキュレーター
美術学修士(博物館学)、アート分野の専門性が豊富。コチビエンナーレ財団の主催するSutents‘ Biennaleの展示“Making as Thinking”共同キュレーター。
Siti Rahayu Binti Baharin(マレーシア)
ブク・ジャラナン・チョウキット代表
KL市内チョウ・キット地区の見捨てられた子ども達(多くはインドネシアやフィリピンからの出稼ぎ者の子女)の支援に従事している。
Htet Htet Aung(ミャンマー)
研修コンサルタント
社会的包摂、平和教育、社会調和などを課題とした研修を行う。
白幡 香純(日本)
An-Nahal 設立者、理事長
An-Nahal共同創業者。難民移民のキャリア開発や企業のダイバーシティ推進に従事。日本マレーシアを拠点として、国際機関やクリエイターなどマルチステークホルダーとの協働推進を行う。
橋爪 亜衣子(日本)
立命館アジア太平洋大学職員、フリーランスアートマネジャー
アートスペースでの国際交流事業、展覧会コーディネート、アートワークショップコーディネートなどに従事している。
柴田 シンシア(日本)
民間企業所属、調達・契約支援担当
(2020年1月より来日難民のリーガルサポートに従事予定。)
これまで、来日留学生の生活サポート、ガーナ自立支援イベントの企画、ハーフのアイデンティティを探る撮影プロジェクトの翻訳を通じ、異文化理解促進に関する活動に携わる。2020年1月より来日難民のリーガルサポートに従事予定。