インターンシップを終えた羽鳥瑞生さんのレポートをご紹介します

国際交流基金では、大学とインターンシップの受け入れに関する協定を結び、多くのインターン(学部生・院生)を受け入れています。インターン制度は私たち基金スタッフにとっても、より多くの人に当基金の業務を身近に経験し、その趣旨と内容について理解を深めていただける、貴重な機会です。
今回は、アジアセンター文化事業第1チームでのインターンシップを終えた羽鳥瑞生さんのレポートをご紹介します。

アジアセンター インターンシップレポート

羽鳥瑞生
埼玉大学教養学部4回生

こんにちは! 国際交流基金アジアセンター文化事業第1チームで約2週間のインターンシップをさせていただいた羽鳥瑞生です! 国際関係論を学んでいて、日本のソフトパワーを支え、日本と国際社会との絆をはぐくむ手助けをしている国際交流基金でのインターンシップは、私にとって学び多いものとなるであろうと思い、インターンシップ参加を決めました。

私はおもに森美術館・国立新美術館で開催中の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現代まで」に合わせて開催される「寺子屋サンシャワー」と「ワーキング・タイトル」の運営サポートを担当しました。

「寺子屋サンシャワー」とは、日本と東南アジアを股にかけて活躍する専門家に、歴史やファッション、食など8つのテーマから東南アジアの<今>を語ってもらうパブリック・レクチャーです。私は第4回の慶應義塾大学の専任講師、野中葉先生のレクチャー「若者|東南アジアの若者は今―島しょ部を中心に」と第5回の九州大学大学院助教、岩元真明先生のレクチャー「建築|東南アジアの近現代建築」に参加しました。

インターンシップの様子の写真

第4回のレクチャーでは、東南アジア、とりわけ先生の専門分野であるインドネシアの社会の変化と若者のリアルを語ってくださいました。SNSが大好きで、見栄やかっこつけなどのインドネシアの国民性(インドネシア語で「ゲンシ」という)が、より合理的な考え方へと移行し始めた若者たち、その意識の変化に伴う社会や生活の変化。通常考えられる「社会の近代化・民主化=宗教の衰退」という方式が当てはまらなかったインドネシア。講義中は時折笑いも起こりつつ、参加者の皆さんは終始講義に集中していらっしゃいました。若いエネルギーと多様性あふれる東南アジアは変化が著しく、これからも目が離せません!

第5回のレクチャーは、東南アジア諸国の近現代建築の歴史約100年を、2時間で縦軸(年代)と横軸(国)から俯瞰し、その多様性と同一性を考察するという、とっっても濃い講義でした。写真で埋め尽くされたスライドを用いて、時には日本やヨーロッパの建築と比較しながら、時代・国ごとに細かな説明を加えつつ進んだ講義に、私含め参加者の皆さんも真剣に聞き入っていました。多様な政治傾向ゆえの国それぞれの「固有性」と、同じ気候や歴史的状況を共有するゆえの東南アジア全体の「同一性」両方を近現代建築から見出すことができました。100枚以上のスライドはものすごい情報量で、この講義をまとめれば本が一冊できちゃいそうです。

「ワーキング・タイトル」では、日本と東南アジアの若手実力派映画プログラマーがスキル向上とともにネットワーク拡大を目指すワークショップの一環として、彼らが共同でセレクションしたプログラムを2日間にわたり上映しました。

実は私のインターンとしての最初の任務は「フィリピンから来日するジョン・ラザム(Jon Lazam)監督を、空港でお迎えしてホテルまでお連れすること」でした。インターンシップ2日目にして任されたその仕事に「いやいや……それ普通インターンに任せます……?」と思いながらも空港へ。乗っていたはずの便名が電光掲示板から消えても監督がゲートから出てこないときはハラハラしましたが、無事にお会いし、責任を持ってホテルまでお連れすることができました。

インターンシップの様子の写真

プログラマーやアドバイザーとの前日打ち合わせやリハーサル、企画後の反省会にも参加させていただき、時には「羽鳥さんはどう思う?」「アンケートの結果どうだった?」と話を振ってくださるなど、とても貴重な経験をすることができました。企画当日は会場外で受付を担当していたためほとんど映画を観ることができなかったことが少し心残りですが、来場したお客様の反応やアンケート結果・コメントを実際に見ると、この「ワーキング・タイトル」の一部に関われたことを純粋に誇らしく思いました。

アジアセンター文化事業第1チームの皆さんは、歓送迎会を開いてくださったり、「小腹空かない?」とアジア各国のお土産をくれたりと、非常に温かく迎えてくださいました。さまざまな貴重な経験をさせていただきましたが、中でも「寺子屋サンシャワー」「ワーキング・タイトル」という2つの大きな企画に関わらせていただき、事業が出来上がっていくプロセスの一部を知ることができたことは、私にとって非常に大きな学びでした。そして何より、この2週間を通じ、「私は○○のよさを日本/アジアの人々伝えたいんだ」というアジアセンターで働く人々の芸術や文化に対する熱い想いを感じました。微力ではありましたが、少しでもアジアセンターの皆さんのお役に立てていたなら嬉しく思います。短い期間でしたが、とても有意義な時間を過ごすことができました。 本当にありがとうございました!

インターンシップの様子の写真