2017年夏、国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンターは、東南アジアの現代美術の発展を80年代から現代まで再読する展覧会を3者共催で開催いたします。
キュレトリアル・チームには、国立新美術館および森美術館のキュレーターに加え、1980年代以降に生まれた東南アジアの新しい世代のキュレーターが参加しています。展覧会の内容について議論を重ねるなかで、都市化や近代化が進行する一方、地方都市や地域コミュニティの文化や記憶の維持・再発見へ向けたコレクティブな活動、公的な現代美術への制度的支援が未発達な状況で、自ら変化をもたらそうとするDIY的でパフォーマティブな活動、各地域でのこれまでの近現代美術の発展をアーカイブ化し、次世代へ継承していく活動などが、展覧会を構成する重要なテーマとして浮かび上がっています。
2015年度から2017年度にかけて、東南アジアの現地調査を継続しつつ、各地域、分野の専門家との知的交流も深めながら、極めて多様な道を辿ってきたこの地域の現代美術を、日本の観客といかに共有できるかを模索していきます。
プロジェクトの一環として、展覧会開催までのプロセスやその過程で得た情報を公開することを目的に、本ウェブサイトを立ち上げました。東南アジアの美術の動向を知っていただきながら、展覧会がどのような議論・過程を経てつくられていくのかを共有できれば幸いです。
展覧会概要
会期 | 2017年7月5日から2017年10月23日 |
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会場 | 国立新美術館、森美術館 |
主催 | 国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンター |
プロジェクト・タイトルについて
「SEAプロジェクト:東南アジアの現代美術―1980年代から現在まで」は展覧会の名前ではなく、展覧会開催までのプロセス(調査やプレイベント、企画会議等)の総称、プロジェクト・タイトルとして使用しています。
展覧会名について検討する会議において、副題に、Southeast Asia(=東南アジア)、とASEAN(=東南アジア諸国連合)のどちらを使用するか、という点が議論となりました。
東京チームは、日本の観客にとってよりイメージしやすいSoutheast Asiaを使用した方が良いという意見の一方、海外のキュレーター4名はASEANを使用したいという意見でした。当該地域に住んでいる彼らにとっては、多様な文化や民族から成り立っているこの地域をひとくくりにされ、相対的に定義された名称よりも、自分たちの地域が主体となり形成した「ASEAN」という有機的且つ明確な枠組みの名称を使用する方が好ましい、という意見でした。
「Southeast Asia」or 「ASEAN」議論は現在も続いており、展覧会タイトルは未だ決まっていません。2017年にどのような展覧会名が発表されるのか、ご期待ください。