国際交流基金アジアセンターは、東南アジアと日本のキュレーターの協働キュレーション・プロジェクト「Condition Report」を、東南アジア各国で開催します。
本プロジェクトは、東南アジアの4つの都市―ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコク―での大型協働展と、14のローカル展で構成されています。
この「ESCAPE from the SEA」は、2番目の協働展としてクアラルンプールで開催します。
イベント詳細
タイトル | Condition Report: ESCAPE from the SEA |
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会期 | 2017年2月24日(金曜日)から4月23日(日曜日) |
会場 | 国立美術館 [NAG]
所在地:2 Jalan Temerloh, Off Jalan Tun Razak 53200 Kuala Lumpur 開館時間:10時から18時
アート・プリンティング・ワークス [APW] 所在地:29 Jalan Riong 59100 Kuala Lumpur 開館時間:12時から20時 |
主催 | 国立美術館
アート・プリンティング・ワークス 国際交流基金アジアセンター |
キュレーター | ヤップ・ソービン/マルチメディア大学講師、キュレーター(マレーシア)
服部浩之/インディペンデント・キュレーター(日本) |
コ・キュレーター | ゴー・ヅィーイン/シンガポール国立美術館 アシスタントキュレーター(マレーシア/シンガポール)
クルニア・ユニタ・ラハユ/Serrum Gallery メンバー(インドネシア) アリシア・サルミエント/フィリピン大学(フィリピン) スリヤー・プーミウォン/アーティスト、ラオス国立美術学校講師(ラオス) |
出品作家 | カタリナ・アフリカ(フィリピン)[APW]
青山悟(日本)[NAG] オウ・ソウイー(マレーシア)[NAG] アダム・デビッド(フィリピン)[Online] 藩逸舟(日本)[NAG] イスマル・ムンタハ(インドネシア)[NAG] ジェフリー・リム(マレーシア)[APW/NAG] パンロック・スラップ(マレーシア)[APW/NAG] ロスリシャム・イスマイル(イセ)(マレーシア)[NAG] 下道基行(日本)[APW/NAG] マーク・テ(マレーシア)[APW] ティタ・サリナ(インドネシア)[APW] やんツー+石毛健太(日本)[NAG] ザイ・クーニン(シンガポール)[APW]
[NAG]:国立美術館 [APW]:アート・プリンティング・ワークス |
■本プロジェクトの全体概要パンフレット(PDF/4.62MB)■
[キュレーターからのメッセージ]
タイトルに含まれる「SEA」は、共同体としての「東南アジア」と、国や地域の境界を描きだす「海洋」のふたつの意味を有します。本展では、「SEA」が備える、この二重の意味を問いなおすことから出発し、共同体の想像/創造におけるポリティクス(力学/政治)と、海のように不定形でとらえどころがない様態に備わる詩情(ポエティクス)を探求します。
「ESCAPE from the SEA」は、現在の世界に対する私たちの態度表明でもあります。東南アジアの多くの国々や日本は海に囲まれており海を避けることはできません。時に海は防御のための巨大な防壁にも、逆に私たちを苦しめる障害にもなりえます。その海を敵対視するのでもなく、単純な恵みとして全肯定するのでもなく、独自の距離感を保つことで創造的な「ESCAPE」を実践したいと思います。
「ESCAPE」には、「逃避する」という意味以外に、「野生化する」という意味もあります。文明化により身体性が希薄になっている現代社会において「野生化=WILDERIZATION」を試みることは、新たな抜け道を発見し、経済的合理性が優先される資本主義社会のあり方に抵抗する生き方を見出す第一歩となるのではないでしょうか。そこで、本プロジェクトは、「ESCAPE」を「野生化=WILDERIZATION」と解釈するところから始動します。
都市で飼い慣らされることを拒否し、感覚を研ぎ澄まし、最短経路を突き進むことのみをよしとせずに、合理性では計れない予測不可能な行動を、野に放たれた獣のように、自由に矛盾を恐れず展開しましょう。逃避としての「ESCAPE」ではなく、野生化を試みる「ESCAPE」。監視システムを逆手に取り、身体を駆使して回り道を築くことで、詩的で政治的なアクションを起こし、創造力をもってサバイブする方法を模索します。
(ヤップ・ソービン&服部浩之)