国際交流基金アジアセンターは、アジアフォーカス・福岡国際映画祭との共催で、「聖なるカオスに魅せられて」と題したフィリピン映画特集を実施します。フィリピン映画百年を記念する今回の特集では、今後のフィリピン映画を担う若手の傑作を紹介します。
オープニングには、世界中で現在注目されているシェリーン・セノ監督の繊細な少女心をユニークに描くアートフルな作品『なあばす・とらんすれいしょん』(2018)を上映します。
日本初上映の話題の新作4本の上映に加え、福岡市総合図書館所蔵の35ミリフィルムをデジタル修復したイシュマエル・ベルナール監督の70年代の傑作『水の中のほくろ』(1976) も上映します。
そのほか、フィリピン映画以外にも、ASEAN諸国の映画は充実のラインナップ。
インドネシアの骨太な社会派サスペンス『バスは夜を走る』(エミル・ハラディ/2017)、マレーシアの実話に基づく感動作『光(ひかり)』(クイック・シオチュアン/2018)などの日本初上映作品のほか、タイ、マレーシア、ベトナムからの新作・話題作が目白押しです。上映にあわせて来日する各作品の監督やプロデューサーらによるQ&Aやシンポジウムも多数開催。
加えて、昨年第30回東京国際映画祭「国際交流基金アジアセンター特別賞」を受賞した藤元明緒監督の『僕の帰る場所』(2017)も上映いたします。
さらに、今年で4年目を迎える映画マーケット「NEO CINEMAP FUKUOKA」も同時開催。共同制作企画も視野に入れた交流の場を提供します(事前登録制)。
盛りだくさんのイベントの詳細は、以下Webサイトをご参照ください。
アジアフォーカス・福岡国際映画祭2018(第28回)
NEO CINEMAP FUKUOKA
【オープニング上映ご招待!】
映画祭のオープニングイベントとして上映会を行います。150組300 名を抽選でご招待します。
上映作品:『なあばす・とらんすれいしょん(Nervous Translation)』(シェリーン・セノ/2018年/90分)
日時:9月15日(土曜日) 開演午前10時(上映開始)
会場:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
申込締切:2018年9月5日(水曜日)必着
申込方法:公式ウェブサイトの応募フォームからご応募ください。
イベント詳細
タイトル | アジアフォーカス・福岡国際映画祭2018 |
---|---|
会期 | 2018年9月14日(金曜日)※オープニング・セレモニーのみ開催
2018年9月15日(土曜日)から23日(日曜日) |
主要会場 |
ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13(キャナルシティ博多) アクセス |
プログラム |
※特別上映作品など今後順次発表予定 |
入場料 | 前売:1100円、当日:1300円
※5作品券やフリーパス、学割等あり |
主催 | アジアフォーカス・福岡国際映画祭、福岡市 |
共催 | 国際交流基金アジアセンター |
問合せ | 映画祭全体に関して: 092-733-5170(映画祭事務局) ※平日午前10時から午後5時 |
公式Webサイト | アジアフォーカス・福岡国際映画祭 |
本事業はbeyond2020の認証事業です。
フィリピン特集 作品紹介
『なあばす・とらんすれいしょん(Nervous Translation)』日本初上映
シェリーン・セノ/2018年/90分
誰か私を受け止めて! 繊細な少女心をユニークに描く
政情が不安定な80年代後半のフィリピン。8歳のヤエルは周囲にうまく溶け込めない内向的な少女。時折、中東で働く父親が母に送ってくるメッセージが録音されたテープを盗み聞きするのが楽しみだった。ある時、ヤエルは人の心を伝えることができる魔法のようなペンの存在を知り、手に入れるために奔走する。
『バガヘ(The Baggage)』日本初上映
ジグ・ドゥライ/2017年/91分
彼女に何が起きたのか? フィリピン社会制度に問う
旅客機のトイレごみの中から遺棄された新生児が発見され、帰国したばかりの海外労働者メルシーが捜査の対象となる。彼女への調査は警察、女性保護施設など、さまざまな社会的組織に引き継がれていく。彼女に何が起こったのか? 海外で働くフィリピン人労働者が抱える問題をドキュメンタリータッチで迫る。
『影の内側(Smaller and Smaller Circles)』日本初上映
ラヤ・マーティン/2017年/111分
猟奇殺人事件に挑む二人の神父。教区の陰に迫る本格ミステリー
フィリピンの作家による同名ミステリー小説の映画化作品。マニラのとあるゴミ集積場で10代前半と思しき少年の猟奇的な屍体が発見された。NBI(国家捜査局)に依頼され遺体を検分した法医学者のサエンス神父は連続殺人の可能性を見いだし、若手神父とともに調査を開始。次第に教区に潜む闇に迫っていく。
『嘆きの河の女たち(Women of the Weeping River)』日本初上映
(シェロン・ダヨック/2016年/95分)
川は女たちの涙で溢れていた。大自然を舞台に描かれる一族間紛争
ミンダナオ島の奥深い地にあるムスリムの人々が住む地域を舞台に、ある一族同士の紛争を描く。夫を殺害されサトラは未亡人となった。代々続くお互いの一族に流れる血の憎しみの結果だ。やがてサトラは憎しみを越え、争いに終止符を打たんと決心する。力強く美しい景観の中に女たちの魂の慟哭が響く。
『水の中のほくろ(Speck in the Water)』日本初上映
イシュマエル・ベルナール/1976年/120分
島に生きる若い男女の愛憎を描く70年代フィリピンの傑作映画
70~80年代に活躍したベルナール監督の実験的な野心作。マニラ南東のラグナ湖に浮かぶ「ほくろ」のように小さな島が舞台。3人の男女の愛憎模様を中心に、近代化から取り残された島に生きる人々を神秘的な映像で描く。福岡市フィルムアーカイヴに唯一残されていた35ミリフィルムをデジタル修復。