日本×フィリピン×カンボジアから気鋭の監督が集結
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)アジアセンターでは、映画分野において、アジアにおける相互理解をさらに深め、アジアの才能を日本から世界に発信するとともに、未来志向のネットワークを作るため、毎年秋に開催される東京国際映画祭(Tokyo Internatinal Film Festival:以下、TIFF)と連携して、アジアに焦点をあてた映画交流の取り組みを、東京オリンピック・パラリンピックの開催される2020年に向けて2014年度より開始しています。
二年目となる今年、新たな取り組みとして、アジア・オムニバス映画製作シリーズ「アジア三面鏡」が、始動します。
「アジア三面鏡」とは、日本を含むアジアの気鋭の監督3人が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクトです。7月28日、このオムニバス映画シリーズ第一弾に参加する監督として、行定勲監督(日本)、ブリランテ・メンドーサ監督(フィリピン)、ソト・クォーリーカー監督(カンボジア)の決定が発表され、監督たちが制作に向けての意気込みを語りました。
国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭co-produce
アジア・オムニバス映画製作シリーズ「アジア三面鏡」
「アジア三面鏡」第1弾 監督
行定勲監督、ブリランテ・メンドーサ監督、ソト・クォーリーカー監督
事業概要
日本を含むアジアの気鋭の監督3人が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクト。アジアに生きる人々を、3人の監督が独自の視点から描くことで、そこから浮かび上がるそれぞれの国の社会や文化を三面鏡のように映し出し、アジアに生きる隣人としてお互いを知り、理解し、共感し、アジア人としてのアイデンティティや生き方を模索する機会となることを目指します。3人の監督は、他のアジアの国と何らかの形で繋がりを持つ人々を登場させること、撮影はアジアの国のどこかで行うこと以外は、それぞれのスタイルで自由に、テーマに沿った作品を仕上げます。今年製作を開始した第1弾は、2016年の第29回東京国際映画祭にてワールドプレミア上映し、その後、世界の主要国際映画祭での上映、国内外での公開を予定しています。
最新情報については随時、本ウェブサイトにて発表していきますので、どうぞお楽しみにしてください。
監督コメント
行定勲監督:
「メンドーサ監督、クォーリーカー監督とともに1つの作品に取り組めることは、とても刺激的な経験です。2人が自由な発想で表現できるよう、潤滑油の役割を果たせればと思います。3人それぞれの作品が1つにつながり、メビウスの輪のように思いを巡らすことのできる作品づくりができればと期待しています。」
ブリランテ・メンドーサ監督:
「このような機会をいただき、また日本で映画を撮れることに感謝しています。今回のプロジェクトでは、より深い内容でのコラボレーションとして、アジアの監督である私たち3人の話がリンクし、1本の映画としてアジア、そして世界の観客に披露できればと思います。」
ソト・クォーリーカー監督:
「このプロジェクトに関わることができ、大変うれしく思います。私は、これまで日本に強い親しみを感じてきました。それは、カンボジアと日本の文化的なルーツが似ているからだと考えており、いつか両国をつなげる映画を撮りたいと願っていました。今回このような素晴らしい機会に恵まれ、光栄に思います。」
監督・統括プロデューサープロフィール
<監督>
行定 勲(日本)
1968年、熊本県出身。『ひまわり』(2000)で第5回釜山国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。『GO』(2001)では第25回日本アカデミー賞最 優秀監督賞を始め、数々の映画賞を受賞。『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)は観客動員620万人、興行収入85億円の大ヒットを記録。以降、『北 の零年』(2005)、『パレード』(2010、第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門・国際批評家連盟賞受賞)。釜山国際映画祭のプロジェクトで製作 されたオムニバス映画『カメリア』(2011)の中の一作『kamome』を監督。最新作は『ピンクとグレー』(2016年公開予定)。
ブリランテ・メンドーサ(フィリピン)
1960年フィリピン出身。2005年インディペンデント映画プロダクション「センター・ステージ・プロダクションズ」を設立。同年の監督デビュー作 『Masahista (The Masseur)』でロカルノ国際映画祭ビデオ部門金豹賞を受賞。2007年『TIRADOR(Slingshot)』でベルリン国際映画祭カリガリ賞を 受賞。2009年『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。2012年『Thy Womb』でヴェネチア国際映画祭the La Navicella Venezia Cinema Awardを受賞。最新作『TAKLUB(Trap)』は、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された。
ソト・クォーリーカー(カンボジア)
1973年カンボジア出身。クメール・ルージュ政権下、混乱と内戦の時代に育つ。2000年、『トゥームレイダー』のライン・プロデューサーを務める。自 身の製作会社ハヌマン・フィルムズで『Ruin』(2013年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞)など数多くの映画とドキュメンタリーをプロデュース。 2014年、初監督作『遺されたフィルム』で、第27回東京国際映画祭「アジアの未来」部門国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞。各国の映画祭から注 目を集め、カンボジア映画界期待の女性監督である。
<統括プロデューサー>
久松猛朗(日本)
マイウェイムービーズ合同会社代表。1978年松竹株式会社入社後、宣伝プロデューサー、映画興行部・番組編成等を担当する。2006年株式会社衛星劇場・代表取締役社長、2010年ワーナーエンターティメント・ジャパン株式会社ワーナーブラザース映画・副代表を歴任したのち、2015年マイウェイムービーズ合同会社を設立。製作作品に山田洋次監督『武士の一分』(2006)、是枝裕和監督『花よりもなほ』(2006)や『空気人形』(2009)、大友啓史監督のアクション大作『るろうに剣心』(2012)など多数。
東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival, TIFF)公式サイト
http://2015.tiff-jp.net/