国際交流基金アジアセンターは公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)との共催で「U16チャレンジリーグ」を開催しました。
U16チャレンジリーグとは
「U16チャレンジリーグ」は、U16のカテゴリによるJリーグクラブ間の試合が少ないという育成年代の課題に取り組むべく毎年1回開催されている国際大会です。
2018年3月25日から4月6日に開催された「U16 チャレンジリーグ2018」では、全54チームが6グループに分かれて対戦しました。
海外からの招へいチームとしては、韓国から水原FC、マレーシアからジョホール・ダルル・タクジム(JDT)、そしてベトナムからPromotion Fund of Vietnamese Football Talents(PVF)が大会に参加しました。上記3チームのうち、国際交流基金アジアセンターはマレーシアのジョホール・グルル・タクジム(JDT)及びベトナムのPromotion Fund of Vietnamese Football Talents(PVF)を招へいしました。マレーシアのJDTとベトナムのPVFの大会参加の様子を報告いたします。
J.LEAGUE UNDER16 CHALLENGE LEAGUE 大会概要
大会開催場所
時之栖裾野グラウンド(静岡県裾野市)、J-GREEN堺(大阪府堺市)、ほか計5か所
報告内容
マレーシアのジョホール・ダルル・タクジム(JDT)の様子
(1)Jリーグクラブユースとの試合
ジョホール・ダルル・タクジムFC(JDT)はJ3のザスパクサツ群馬と対戦しました。JDTはディフェンスの統率がよくとれており、ディフェンスラインの上げ下げ等は非常によくできていました。スペイン人の監督とのコミュニケーションは英語ですが、選手達の英語が流暢なこともあり、選手が監督の戦術をよく理解していました。また、監督のホビ・カラスコーサ氏は日本のチームがショートパスを多用し、チームフォーメーションをコンパクトに戦う習慣があることを数日間で見抜いており、ディフェンスラインの裏にスルーパスを出す戦術で、多くのチャンスをつくり出しました。結果は6対1でJDTが大勝しました。
JDTが参加したリーグの(@時之栖)、全試合の結果は下記のとおりです。
JDTは同グループを「3位」で終了しました。同チームのMUHAMMAD IZHAR DANIEL BIN ZAINI選手は得点王になる活躍を見せました。
(2)文化体験
大会では、来日した選手のサッカー大会への参戦だけでなく、日本文化を体験し、日本に対する理解を深めてもらうことも大事にしています。JDTの選手たちの日本文化体験のために、御殿場市の書道連盟の方々に講師としてご参加いただきました。選手が自分たちで書いた書道の作品をお土産として持って帰れるよう、作品をラミネートしてくださり、選手たちは良い笑顔を見せていました。
ベトナムのPromotion Fund of Vietnamese Football Talents(PVF)の様子
(1)J-GREEN堺で行われたベトナムチーム(PVF)の活動内容
試合内容:
PVFはガツガツと奪いに行く力、ゴールへの意欲、個々が特徴的で力強かったです。Jクラブも経験したことのない相手に最初圧倒されつつ徐々に適応、お互い激しくぶつかり合う試合が多くなりました。
(2)国際交流
オフザピッチでは、PVFとJクラブの選手同士が部屋の前で少しコミュニケーションを取る様子も見られリラックスした雰囲気でした。ACL(アジアチャンピオンズリーグ)の試合は真剣に見入っていたこと、行く先々で桜が咲いていることに感動していたことが印象的でした。お茶体験では初めて経験する苦みに悶えつつも、質問も多く興味を持って楽しんでもらうことができました。
なお、PVFが参加したリーグの(@J-GREEN堺)、試合結果は下記のとおりです。
PVFはJ1の強豪チームと対峙し3敗を喫し、5位に終わったものの毎試合善戦しました。
今回の成果について(特にマレーシアが参加したリーグについて)
(1)競技力向上
マレーシア選手指導者の視点:
マレーシアでプレーしてくるチームとは違ったプレースタイルを持つ日本チーム*1 と対峙することで、「戦術を切り替えてプレーする」ことが求められ、それに柔軟に対応できたことは選手、指導者にとって大きな自信に繋がったとJDT監督が試合を振り返りました。
*1 マレーシアのチームはロングボールを多用してくるのに対して、前述通り日本チームはコンパクトに短いパスを多用してくるチームが多い
日本人選手指導者の視点:
普段日本人選手同士でプレーする場合相手のチームは自分のチームと同じ様なプレースタイルで対峙してくることが多いと考えます。JDTのようにディフェンスの裏にロングボールを出してくる相手は、日本チーム(ザスパクサツ群馬)にとって新鮮な存在であり、非常にやりづらかったのではないかと感じました。この経験から、日本人の選手がいつもとは違う戦い方を求められた時も対応できる引出しの多さと、組織としての戦い方を瞬時に切り替えること、リーダーシップ、コミュニケーション能力、そして判断能力が養えたことを期待します。
(2)日本文化理解と国際交流、相互理解
マレーシアからの選手は書道体験とサッカーの試合を通して様々な年齢層の日本人と接することができました。書道体験においては、日本の伝統芸道である書道に触れ、この道の奥深さを体験の中で学ぶことができました。言葉の問題と過密な滞在日程により、日本人選手との交流が限定的であったことは次回に向けた課題となりました。一過性ではなく、深くつながりあうこと、そして帰国後もつながりあう友人関係を築くことこそが、日本文化理解と相互理解を大会後も広げることになると考えます。