ASIA center | JAPAN FOUNDATION

国際交流基金アジアセンターは国の枠を超えて、
心と心がふれあう文化交流事業を行い、アジアの豊かな未来を創造します。

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ASIAN ELEVEN 東南アジアとのサッカー交流

【最新ニュース】

※2014年度から2017年度のプロジェクトリストは添付の資料をご覧ください。
プロジェクトリスト 2014-2017 (PDF:86KB)

スポーツ、アジアのサッカー

スポーツには、人と人の心をつなぐ力があります。スポーツには新たな出会いを生む可能性があり、言葉が通じなくても国際交流のきっかけを生み出すことができます。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は10ヶ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)で構成され、ほぼ全ての国において安定した成長が見られます(注1)。人びとに豊かさが広まるとともに、文化やスポーツへの関心が高まってきています。

その中、サッカーは世界中で約2億6,500万人(注2)がプレーしている、大変人気のあるスポーツです。東南アジアの国々においても、サッカーは最も人気のあるスポーツであり(注3)、今日も都市の広場や公園、また著しい勢いで新設されるサッカーピッチで多くの人々が年齢を超えてサッカーに興じる姿を目にすることができます。

注1 外務省 ASEANに関する諸統計
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000127169.pdf

注2 FIFA:265 Million Playing Football
https://www.fifa.com/mm/document/fifafacts/bcoffsurv/emaga_9384_10704.pdf

注3 博報堂:Global Habit アジア15都市生活者の好きなスポーツ、スポーツイベント
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2016/09/global_habit.pdf

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Photo: Kisshomaru Shimamura
プノンペン市街でサッカーに興じる人々

「アジアが強くなるために、ともに何ができるだろうか?」

この可能性に挑戦すべく、独立行政法人国際交流基金アジアセンター、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、2014年より、東南アジアとのサッカー交流事業を進めています。

このサッカー交流事業「ASIAN ELEVEN」では、東南アジアの国々が手を取り合い、サッカーを通じてともに良きライバル、良き友人としての関係を育みながら、日本のサッカー界が積み上げてきた知識・経験を東南アジアの国々の人たちと共有し、ともにレベルアップした「アジアのサッカー」を創り上げていくことを目指します。

日本サッカーでは、ワールドカップアジア予選敗退という苦難の時代が続いたあと、1998年の悲願の本大会初出場を経て、強いサッカーを育て、またサッカーの魅力を人びとの心に届けるための、多くの努力を重ねてきました。日本のプロリーグであるJリーグも開幕して25年を迎えます。2018年現在までの成長と発展の軌跡は、同じようにサッカーの発展を目指す東南アジアの国々にとり、示唆に富むものであると言えるでしょう。

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Photo: Kisshomaru Shimamura
ベトナム市街地

ASIAN ELEVENの取組み

独立行政法人国際交流基金アジアセンター、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、2014年11月に三者による連携・協力のための覚書を締結しました。この覚書に基づいて「ASIAN ELEVEN」を立ち上げ主に東南アジアの国々と日本の間におけるサッカー人材の育成およびサッカーを通じた市民青少年の相互理解の促進を目的として、以下のプロジェクトに取り組んできました。
日本サッカーがこれまで学び発展してきた経験を共有し、ともにサッカーの更なる発展を目指してゆきます。

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三者協定締結時

三者連携時のプレスリリース

2017年度、2018年度および2019年度の本事業はbeyond2020の認証事業です。

協力内容

  • 1.人材の育成および人材間のネットワーク構築(注4)
  • 2.サッカーレベルの向上に資するソフトインフラ(仕組み、制度等)の整備
  • 3.市⺠同⼠、⻘少年同⼠の相互理解に資する事業

注4 人材とは、選⼿、指導者、審判、マネジメント関係者等を指します。

事業詳細

【東南アジアで実施する事業】

  • 1.長期指導者(実務者)派遣
    選手、指導者、ナショナルトレーニングセンター、リーグが成長・発展する仕組みづくりへの貢献
  • 2.短期指導者派遣
    選手、指導者が日本の指導者から短期集中で学び、ともにレベルアップを図る

【日本にて実施する事業】

  • 3.選手招へい
    選手が日本サッカーを集中的に学び、レベルアップする。日本を知るきっかけにもなる
  • 4.指導者招へい
    東南アジアの国々の指導者が研修と活発な意見交換の場を得てレベルアップする
  • 5.リーグ関係者招へい
    東南アジアの国々のリーグが発展・強化するためのノウハウ共有の場を提供する

【東南アジア各国にて実施する事業】

1)長期派遣事業

日本から派遣された指導者・スタッフが1つの国に1年以上滞在し、現地の若手選手・指導者と向き合いながら、その国のサッカーレベルの向上を図っています。現在までに、カンボジアのサッカー強化・指導者養成・ユース育成等の各種施策を主導するテクニカル・ダイレクター(技術委員長)、ミャンマーのナショナルアカデミーセンターでプレーする選手を指導する監督、そしてU-19ブルネイ代表の監督として、それぞれ現地に滞在しながら指導を行っています。

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カンボジアサッカー連盟の小原氏 カンボジアサッカー連盟にて

事業例

  • ブルネイ
    U-19代表監督派遣 活動報告
  • カンボジア
    テクニカル・ダイレクター(技術委員長)派遣 活動報告
  • ミャンマー
    ナショナルアカデミー監督派遣 活動報告

2)短期派遣事業
一週間以内の期間で、ASEAN10か国に対してJリーグクラブの指導者を毎年1回もしくは2回派遣し、選手の育成に加えて、現地でのサッカー関係者とのネットワーキングを行っています。指導者を派遣する日本の各クラブチーム、また指導者自身の成長、サッカーを通じた国際貢献、地元の国際化への貢献(地域貢献)といったことにも繋がり、多くのメリットが見込まれています。

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ASEAN各国担当クラブ一覧
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カンボジアで指導を行うギラヴァンツ北九州

【日本にて実施する事業】

3)選手

インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムより選手を日本に招き、選手たちは一週間から一カ月の間、Jリーグのクラブにて同年代のユース選手と一緒に日本の指導者から指導を受けながら練習をします。練習や日常生活で日本人と接し、日本文化に触れることで、日本サッカー、そして日本や自国の文化について理解を深めてゆきます。

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ラオスから大宮アルディージャの練習に参加した選手

4)指導者

ナショナルチームのサッカーを強くしてくためには、選手を育てる指導者の養成が重要です。日本サッカー協会の選手育成方法を東南アジアの国々のサッカー協会・連盟、プロリーグ組織に活かすために、日本に東南アジアの指導者を招待し、日本人専門家との活発な意見交換の場を提案しています。

活動報告:http://www.jfa.jp/social_action_programme/news/00015302/

5)リーグ関係者

選手や指導者がレベルアップし、プロリーグが発展する仕組みを作るために、各国のプロリーグ関係者向けの研修にも取り組んでいます。日本と東南アジアの国々のリーグ関係者のための活発な意見交換の場を提案しています。

ASIAN ELEVENのこれから

東南アジアの国々と日本とのサッカー交流は始まったばかりですが、約3年間、下記を重視して取り組んできました。

1.日本サッカーのさまざまなノウハウについての東南アジアの国々での需要は高く、その「仕組み」を各国のサッカー強化に役立てる。

2.サッカーを通じて東南アジアの国々の選手、指導者、関係者の間に緊密なネットワークを作る。

今後サッカーによる国際交流をより社会的にインパクトのあるものとしていくために、取組を発展させていく必要があると考えています。

1について、日本サッカー仕組みのどの部分がサッカー強化に役立ち、どの部分は現地のニーズに合わせてカスタマイズしていかなければいけないのか、「見える化」していく必要があると考えます。また、2に関しては今までにサッカーによってつくられたネットワークが今後どのような成果を結んでいくか、量的、質的に記録、観察を続け、サッカーによる国際交流、更にはスポーツが外交において発揮しうるインパクトについて理解を深め、更に質の高いサッカー交流事業を生み出す下地をつくる必要があります。

以上のことを目指し、国際交流基金アジアセンター、JFA、Jリーグは今まで以上に多くの人のご協力をいただき、今後より多くの人々の心を掴むであろうサッカーを通じて、お互いを高め合い、交流を深める活動を今後も続けていきます。

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Photo : Kisshomaru Shimamura
プノンペン郊外の学校の校庭でサッカーを練習する子供