Next Generation: 次世代舞台芸術制作者等育成事業 2018年度実施について

アジアの同時代舞台芸術を担う次世代の舞台芸術制作者等育成プログラムNext Generation: Producing Performing Artsの2018年度の参加者の公募については、多数の応募がありました。選考を慎重に進めた結果、東南アジア各国及び日本に拠点を置く以下の10名が決定しました。

  • フランチェスカ・カサウアイ
    HERESY共同創設者、クリエイティブ・プロデューサー(フィリピン、マニラ)
  • グレイ・ヨー
    ナショナル・ギャラリー・シンガポール、シニア・プログラム・マネージャー(シンガポール)
  • ネス・ロケ
    シパット・ラウィン・アンサンブル主要メンバー、パフォーマンス・メイカー、ライター、ドラマトゥルグ、アーティスト・マネージャー(フィリピン、マニラ)
  • リン・ファム
    Mat Tran Ensemble創設者・芸術監督(ベトナム、ハノイ)
  • 野崎美樹
    NPO法人スローレーベル プロジェクト・マネージャー(日本、神奈川)
  • パーウィニー・サマッカブット デモクレイジー・シアター・スタジオ 共同芸術監督(タイ、バンコク)
  • ピライパン・タンマミット
    インディペンデント・プロデューサー(タイ、バンコク)
  • レナン・ラルアン
    フリーランスのリサーチャー・キュレーターおよびフィリピン・コンテンポラリー・アート・ネットワーク(PCAN)の教育プログラム・コーディネーター(フィリピン、マニラ)
  • タナノップ・カーンチャナウティシット
    デモクレイジー・シアター・スタジオ 演劇実践者(タイ、バンコク)
  • タウフィック・ダルウィス
    バンドゥン・パフォーミング・アーツ・フォーラム(BPAF) 共同創設者・ドラマトゥルグ(インドネシア、バンドゥン)

参加者は2018年10月にシドニーの国際舞台芸術フェスティバルLIVEWORKSに参加、11月にはジャカルタ・ソロ・ジョグジャカルタを訪問しました。ジャカルタではインドネシア・ダンス・フェスティバル、ソロではundisclosed territory #11に参加したほか、各地で芸術団体、関係者、アーティストとミーティングを行いました。
第3の訪問地は、2019年2月横浜で開催される国際舞台芸術ミーティング(TPAM)です。10名の参加者による発表の機会が設けられる予定です。詳細が決定次第、お知らせします。
また、TPAM開催期間中、当プログラムゲストとして、インドネシア戯曲リーディング・フェスティバル(ジョグジャカルタ)のキュレーターであり、リサーチャーでもあるムハマド・アブ氏を招へいすることとなりました。

参加者プロフィール

フランチェスカ・カサウアイ (HERESY共同創設者、クリエイティブ・プロデューサー)

フランチェスカ・カサウアイ氏の写真

フリーランスとしてサウンド・アート、映像、詩を中心に分野横断的に創作活動に従事。年間を通じてプロデューサー・マネージャーとしてさまざまな国内・国際プロジェクトにかかわる傍ら、開発分野・クリエイティブ産業分野のリサーチや執筆も手がける。
最近の活動に、フィリピンと日本のアーティストをとりあげるニューメディア・アート・フェスティバルWSK AXIS 2017の共同ディレクター(2017年10月マニラ)、MeCA Media Culture in Asia: A Transnational Platformコーディネーター、ワークショップ・プレゼンター(2018年2月東京)、 クリエイティブ・プロデューサー/パフォーマー、フィリピン・ワールド・リスニング・デイ2018内のデジタルアルバムのリリースおよびエクスペリメンタル・サウンド・アンサンブル公演など。いずれも女性だけのキュレーションによるアートプラットフォームHERESYによる(2018年7月マニラ)。

グレイ・ヨー (シニア・プログラム・マネージャー、ナショナル・ギャラリー・シンガポール)

グレイ・ヨー氏の写真

ナショナル・ギャラリー・シンガポールのフェスティバルのプログラムマネジメントを担当。現在Children's Festival, Children's BiennaleおよびLight-to-Night Festivalをサポートしている。複数の分野で活動するアーティストのインスタレーションやパフォーマンスの実施にかかわる。2010年から2017年まで、マレーシアのブリティッシュ・カウンシルでアート・クリエイティブ産業部門の東南アジア地域チーフ。2016年にはオーストラリアのブリティッシュ・カウンシルへアーツ部長として出向し、英国を拠点とする多数のアーティストや芸術団体・コレクティブを、マレーシア、オーストラリアおよび東南アジアのカウンターパートと引き合わせた。
2008年、マラヤ非常事態における左派の歴史証言や植民地支配の遺産、現代社会における反共産主義にフォーカスした美術史展「12 Years」および「Emergency Festival」の共同キュレーションを手がけた。 ダンサーで振付家のマリオン・デクルーズによる『Gostan Forward』(マーク・テ演出)、賞の候補になった『Wayang Fajar』及び『Something I Wrote』(以上ファイブ・アーツ・センター)など、マレーシアの舞台作品のビジュアル・デザインも手がけた。

ネス・ロケ (映画・舞台俳優、パフォーマンス・メーカー、作家、ドラマトゥルグ、アーティスト・マネージャー、シパット・ラウィン・アンサンブル 主要メンバー

ネス・ロケ氏の写真
Photo credit: Geloy Concepcion

マニラ・ケソンシティを拠点に、舞台・映画俳優、パフォーマンス・メーカー、作家、ドラマトゥルグ、アーティスト・マネージャーとして活動。パフォーマンス・カンパニーシパット・ラウィン・アンサンブル、教育におけるイノベーションに取り組むデザイン研究グループHabi Education Lab及び、アートと科学をコミュニティベースの教育と開発に活用するアーティストとリサーチャー集団ProdJxの主要メンバー。

リン・ファム (Mat Tran Ensemble創設者・芸術監督)

ベトナムを拠点に活動する人形劇アーティスト。ニューヨークのサラ・ローレンス・カレッジ卒業。主にOriental GalleryVincom Center for Comtemporary Arts(以上ハノイ)、Soul Live Project(ホーチミン)、Brick TheatreCPR Center for Performance ResearchHERE Arts Center(以上ニューヨーク)で作品を上演。教師・ファシリテーターとしても活動、ベトナム全土で動き、人形の扱い、ライティング等のワークショップを、支援を必要とする人々を含む多様な層に向けて行なう。社会の変革を提唱し、また人々が自分の内なる声を見つける手助けをするツールとしてのアートをとりあげ、社会学・経済学・環境研究所(iSEE)、Hagar InternationalLINCCIHP(Center for Creative Initiatives in Health and Population)Nhat Hong Center for the Blind and Visually Impaired、Westchester Correctional FacilityなどのNGOと協働している。
インクルーシブ・アーツを創作するMat Tran Ensembleを設立、シンガポール国際財団(SIF)やFRIDA- Young Feminist FundPrince Claus Foundationから助成を受けている。2018年10月には、ジョグジャカルタの国際人形劇ビエンナーレでMat Tran Ensembleの作品を上演。

野崎美樹 (プロジェクト・マネージャー、NPO法人スローレーベル)

野崎美樹 氏の写真

プロジェクト・マネージャーおよびエデュケーターとして、アートの分野で幅広く活動している。子ども、若者、高齢者、多様なバックグラウンドを持つ人々、障害のある人々とともに、アートプロジェクト、アートワークや舞台作品の創作にかかわる。

パーウィニー・サマッカブット (デモクレイジー・シアター・スタジオ 共同芸術監督)

パーウィニー・サマッカブット氏の写真

2000年に大学卒業以来、演劇を含む舞台芸術の分野で俳優、照明デザイナー、プロデューサーとして、タイの様々な劇団との活動に舞台芸術への情熱を傾け、スキルを磨いてきた。タイ・バンコクの革新的なインディペンデント・スタジオであるデモクレイジー・シアター・スタジオDemocrazy Studioの共同設立者(設立は2008年)および共同芸術監督。同スタジオは演劇作品、イベント、国際フェスティバルを幅広く制作してきた。芸術団体Arts on Locationとデモクレイジー・シアター・スタジオはこのたび、タイ初の児童青少年向けの国際演劇フェスティバルとなる、バンコク国際児童演劇フェスティバル(BICT Fest)を共同主催している。

ピライパン・タンマミット (インディペンデント・プロデューサー)

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フリーランスで音楽・サウンドシステムのレンタル会社でアシスタントを務めるほか、子供向けの英語学校の講師でもある。プロデューサー、フロントマネージャー、ときにステージ・マネージャーとして、タイにおける様々な舞台制作に関わっている。

レナン・ラルアン (フリーランスのリサーチャー・キュレーター、フィリピン・コンテンポラリー・アート・ネットワーク(PCAN)の教育プログラム・コーディネーター)

レナン・ラルアン氏の写真

リサーチャー、キュレーター、フィリピン・コンテンポラリー・アート・ネットワーク(PCAN) 設立メンバー。ヴァルガス博物館/フィリピアナ・リサーチセンターを拠点とするフィリピン・コンテンポラリー・アート・ネットワーク(PCAN)にて教育プログラムのコーディネーター(Public Engagement and Artistic Formation Coordinator)も務める。2012年から2015年まで、分野横断型プラットフォームDiscLab| Research and Criticismを運営・ディレクションした。
(共同)キュレーターを務めたフェスティバルおよび美術展に、「the 8th OK. Video – インドネシア・メディア・アーツ・フェスティバル」(ジャカルタ、2017)、「A Tripoli Agreement」(シャルジャ芸術財団、2018)、ライトニング・スタディーズ:圧迫・抗争・汚染翻訳センター[CTCCCs]「パサ・パサ」 (TPAM2018、 横浜/ロペス美術館・図書館、マニラ2016)、「An Ecological, The Obligatory」 (フィリピン・コンテンポラリー・アート・ネットワーク/ヴァルガス博物館 、マニラ、2017);「The Artist and the Social DreamerForecast Festival(世界文化の家、ベルリン、2017)など。
世界各国の芸術文化団体よりフェローシップ、レジデンシーへの招待等多数受けている。現在、フィリピン国家文化芸術委員会の支援を受け、ミンダナオのコミュニティに立脚した文化関連の初期の出版物に関する、テキストとイメージの関連性についてのリサーチを率いている。

タナノップ・カーンチャナウティシット (演劇実践者、デモクレイジー・シアター・スタジオ)

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バンコクを拠点に、主にドラマトゥルグ、プロデューサーとして活動する演劇実践者。2012年よりデモクレイジー・シアター・スタジオに所属。パフォーマー、プロデューサー、ドラマトゥルグとして同スタジオにおいて幅広く活動している。かかわった作品に、『Boxes』『Hipster the King』『Happy Hunting Ground』『The Retreat』など。そのほか、バンコク国際児童演劇フェスティバル2018の制作に従事。さらにはタイ同時代戯曲を収集・英訳して出版するCollective Thai Scriptsを立ち上げた(2018年後半に出版予定)。

タウフィック・ダルウィス (ドラマトゥルグ・共同創設者、バンドゥン・パフォーミング・アーツ・フォーラム)

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インドネシア・バンドゥンで活動するドラマトゥルグ。バンドゥン・パフォーミング・アーツ・フォーラム(BPAF)共同創設者であり、2016年3月よりインドネシア・ダンス・フェスティバル(IDF)の共同キュレーター。2018年、ジョグジャカルタのシアター・ガラシ/ガラシ・パフォーマンス研究所のCabaret Chairil Programにゲストキュレーターとして招かれた。2016年にはインドネシア・アート・サミットに、またウゴラン・プラサットとピーター・エッカサルによるニュー・ドラマトゥルギー・ワークショップに参加。シアター・ガラシが主催し、現在はドラマトゥルギー・アセンブリという名のもと開催されるフォーラムにもかかわっている。2018年シンガポールのシアターワークス主催のキュレーターズ・アカデミー、TPAM2018でのアジアン・ドラマトゥルグ・ネットワークのシンポジウムに参加。2018年9月には、BPAFのthe US / NOT-US Projectを通してジョグジャカルタのアジアン・ドラマトゥルグ・ネットワーク・ラボラトリ2018に参加した。

プログラムゲスト

ムハマド・アブ(キュレーター / インドネシア戯曲リーディング・フェスティバル)

ムハマド・アブ氏の写真

ジョグジャカルタで毎年開催されているインドネシア戯曲リーディング・フェスティバルのキュレーター。同フェスティバルはリーディングを通して新しい戯曲を一般観客に紹介することを目的としている。ガジャマダ大学で歴史学(学士)、舞台芸術・美術(修士)を修める。ジョグジャカルタ・ビエンナーレ財団のプログラムEquator Symposiumや、ソロ・マタラム・フローレスにフォーカスしたPekan Teater Nasional(National Theater Festival)のリサーチャーもつとめた。Kompas Daily(インドネシア現地新聞)やInside Indonesia(現地英字雑誌)、ArtsEquatorに、演劇や美術に関する論考を発表している。