Visual Documentary Projectは、2012年、京都大学東南アジア研究所が開始したプロジェクトです。2014年度から、国際交流基金アジアセンターも共催者として加わり、作品を通して東南アジア地域の現状を捉え、諸問題の解決へとつなげる試みを行っています。
2015年のテーマは「越境する東南アジア」
現在のグローバル社会において、東南アジアの「人の移動」は、多くの影響や問題を含んでいます。今回は「越境する東南アジア」と題し、人の移動をテーマに、東南アジアと日本の12カ国から短編ドキュメンタリー映画を募集し、各国から様々な切り口と視点でテーマに迫る約50の優れた作品が集まりました。
上映作品選考には、カンヌ映画祭ある視点部門で監督作品がグランプリを受賞するなど、ドキュメンタリー映画を中心に国際的に高い評価を受けているカンボジアの巨匠・リティ・パン監督も参加し、選考委員によって公募作品の中から入選5作品を決定致しました!
入選5作品は、東京と京都の2会場で3月に上映致します。また、入選5作品の上映にあわせて入選作品の監督が来日しトーク・ディスカッションを行います。詳細はイベント情報にてご確認ください。
入選5作品
新政権誕生で劇的に変わりゆく国ミャンマーの今を捉える2作品
「A Political Life」(邦題:『我が政治人生』)
監督:Soe Arkar Htun 撮影地:ミャンマー
ストーリー:ユー・ティン・ソーは、若かりし頃にアウンサンスーチーのボディガードとして自らの青春を捧げ、政治活動に勤しんできた。長い間苦労をかけた妻と家族のために、政治活動から身を引くことを決断するが、それでも地元の人からの相談事は断れずに、法律相談にのってしまうのであった。(20分)
「My Leg」(邦題:『私の足』) 監督:Khon Soe Moe Aung 撮影地:ミャンマー
ストーリー:ミャンマーのカヤー州では、60年にわたり異なる民族の武装勢力が独立を求めてミャンマー軍と戦ってきた。敵味方の区別なく、年間約100足の義足を退役軍人たちに提供している退役軍人による義足の作業場に焦点を当てる。(16分)
難民や移民問題、その渦中で公にされることの少なかった人々の日常生活を映した3作品
「Michael’s」(邦題:『2人のマイケル』) 監督:Kunnawut Boonreak 撮影地:タイ
ストーリー:同じミャンマーのヤカイン州出身のロヒンギャであり、マイケルという名前の2人。経済的な状況も育ってきた環境も異なる2人は、それぞれの生活に苦労しながらも自らのロヒンギャとしてのアイデンティティを保とうと奮闘する。(29分)
「Dedicated to Grandpa Dieu」(邦題:『ジウおじいちゃんへ捧ぐ』) 監督:Hien Anh Nguyen 撮影地:ベトナム
ストーリー:ジウは1960年代半ばに国連難民高等弁務官事務所でフリーランスの通訳者として働いていた野心家で、懸命に好きな本を翻訳してきたが、それを出版しようと試みたことは一度もなかった。(23分)
「Fragile」(邦題:『儚さ』) 監督:Bebbra Mailin 撮影地:マレーシア
ストーリー:マレーシアのサバ州に住むインドネシア人家族の生活を、厳しい生活の中でも、歌手になるという夢を持ち続ける12歳の少女ニルワナの視点から描く。(9分)