国際交流基金アジアセンターでは、ASEAN10か国において社会的・文化的に大きな影響力・指導力を有する一流の文化人・知識人を日本に招へいし、日本における異文化理解を促進する「アジア・文化人招へいプログラム」を実施しています。このたび、本プログラムにてミャンマーの映画監督であり、脚本家、小説家として自国の芸術分野で幅広く活躍するアウン・ミン氏を招へいすることになりました。
これを記念し、アウン・ミン氏を迎えて同氏が手がけた映画の上映および講演会を東京と京都の二会場にて開催します。東京では、今年、ミャンマーの芸術文化を多角的に紹介する「F/T(フェスティバル/トーキョー)15 アジアシリーズ vol.2 ミャンマー特集」関連企画として、同氏が脚本を手がけた長編映画『The Monk』を上映し、ティーモーナイン監督との対談を行います。現代のミャンマーで僧侶として生きる青年僧侶の心の葛藤を描いた本作について、その社会的背景や脚本執筆に至る経緯などを知る貴重な機会となります。
また、京都では、京都大学東南アジア研究所との共催で、アウンミン氏が監督した短編映画『Mrauk Oo story』と、同氏によるワークショップで制作された短編集『Mawtin Jetty』の2本を上映。2012年、同氏が入選した短編ドキュメンタリー公募プロジェクト「Visual Documentary Project」を率いる同研究所マリオ・ロペス准教授と共に、「今、ミャンマーで映画表現にたずさわる」というテーマで講演を行ないます。
アウン・ミン Aung Min(脚本家、映画監督、小説家、医師)
母国ミャンマーで医療に従事する一方、小説や現代アート書籍を執筆。初の監督作である短編ドキュメンタリー『The Clinic』(2013)では、自ら携わる医療現場を映し出した。また、現代の若き僧侶の青春を描いた長編映画『The Monk』(2014/脚本担当)は、ロッテルダム国際映画祭、シンガポール国際映画祭などに出品され注目を集める。現在、映像専門学校Yangon Film Schoolなどで若い映像制作者の指導に力を注ぐなど、ミャンマーの幅広い芸術分野において厚い信頼を寄せられる期待のクリエイターである。
フェスティバル/トーキョー15アジアシリーズvol.2ミャンマー特集関連企画 映画『The Monk』上映・講演会
日時 | 2015 年 11 月 18 日(水)17:45開場/18:00開演 |
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会場 | 東京藝術劇場アトリエ・イースト(東京都豊島区西池袋1-8-1) 会場アクセス:http://www.festival-tokyo.jp/15/access/ |
プログラム | 映画『The Monk』上映(90分)※日本語、英語字幕 |
対談講演/質疑応答 ※日緬通訳あり 【登壇者】アウン・ミン(脚本)、ティーモーナイン(監督) 【モデレーター】清恵子 |
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参加費 | 500円(予約優先) |
公式サイト | http://www.festival-tokyo.jp/15/program/roundabout-in-yangon/ |
主催 | フェスティバル/トーキョー実行委員会 豊島区/公益財団法人としま未来文化財団/NPO法人アートネットワーク・ジャパン、アーツカウンシル東京・東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団) |
共催 | 国際交流基金アジアセンター |
問い合わせ先 | フェスティバル/トーキョー実行委員会事務局:03-5961-5202 |
『The Monk』作品概要
青年ザーワナーはある日、小さな村の僧院に忍びこみ、僧侶として暮らし始める。彼は日々の生活に疑問を抱きながらも、年老いた住職に従いながら生きていた。経済的に苦しくなり、他の僧侶たちが僧院を離れていくなか、住職が病にかかってしまう。誰かが住職、ひいてはその村全体を世話していかなくてはならない。ザーワナーは自身が立ち上がらなければならないと、決意を固めるのだった―。
監督:ティーモーナイン 脚本:アウン・ミン (2014年/チェコ、ミャンマー/91分/ミャンマー語)
登壇者プロフィール
ティーモーナイン(映画監督、詩人、パフォーマー)
1971年生まれ。 Yangon Film School とプラハのFAMU (プラハ芸術アカデミー映像学部) で映画製作を学ぶ。 2004年、詩集を発表。詩をもとにしたインスタレーションやパフォーマンス、映像作品を手がける。 長編ドキュメンタリー映画『NARGIS:WHEN TIME STOPPED BREATHING』(2012)や長編フィクション映画デビュー作『The Monk』は、数々の国際映画祭で上映されており、世界的に注目を集めている。
清恵子(キュレーター、メディア・アクティビスト、著述家)
1988 年から東欧で共産主義国家のメディア状況を研究しながら、東欧各地でメディアやアートを使った民主活動を行った。東欧の民主化後も欧州で政治とアートとメディアの問題を取り入れた斬新なプロジェクトのキュレーションを次々と打ち出した。2002年に活動を東南アジアに移し、ミャンマーとタイを中心に研究と活動を続けている。軍事政権下のミャンマーでは映画教育と映画祭を立ち上げた。
京都大学東南アジア研究所共催 短編映画上映・『今、ミャンマーで映画表現にたずさわる』講演会
日時 | 2015 年 11 月 20 日(金)14:30開場/15:00開演 |
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会場 | 京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館中会議室(京都市左京区吉田下阿達町46) 会場アクセス:http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/access/ |
プログラム | 『Mrauk Oo story』上映(30分)※日本語字幕 『Mawtin Jetty』上映(15分)※英語字幕 |
講演「今、ミャンマーで映画表現にたずさわる」/質疑応答 ※日緬通訳あり 【登壇者】アウン・ミン 【モデレーター】マリオ・ロペス(京都大学東南アジア研究所 准教授) |
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参加費 | 無料・事前申込不要 |
共催 | 国際交流基金アジアセンター、京都大学東南アジア研究所 |
問い合わせ先 | 京都大学東南アジア研究所: 075-753-7302 |
『Mrauk Oo story』作品概要
16世紀に繁栄し、発展したラカイン州・ミャウー(Mrauk Oo)。Paukkyar少年は、古いパゴダの周辺で廃品回収をして暮らしている。ある日、彼は電子タブレットを拾ったことで、抜け駆けをするように仲間から離れる。それからというもの、次から次へと災難が彼に降りかかる。自分の父親、仲間、仕事のボスにまでのけ者にされてしまった少年は、タブレットを手放してしまう。最後、彼はそれを取り戻すことに成功するが、その顔には喜びの表情はなかった…。実際に、パゴダ周辺で廃品回収をして暮らす子供たちを起用して制作された短編作品。
監督:アウン・ミン、Than Kyaw Htay(2015年/ミャンマー/30分/ミャンマー語/日本語字幕)
『Mawtin Jetty』作品概要
ヤンゴンとエーヤワディー流域を結ぶ船着場Mawtin Jetty。この船着場で実際に働く労働者や露店の売り子を俳優として起用し、彼らの日常的な姿や感情をそのままに、現実とフィクションを織り交ぜながら映し出す。2014年11月、アウン・ミン氏による映画制作ワークショップにて制作された。
監督:テンメン(2015年/ミャンマー/15分/ミャンマー語/英語字幕)
(C)Ten Men Group