呼吸する地図たち/響きあうアジア2019

日本

写真: 谷康弘/写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

2019年11月27日 内野儀氏による「響きあうアジア2019」の総評を公開しました。
内野儀――イベント主義から遠く離れて―「響きあうアジア2019」のいくつかの企画について

「響きあうアジア2019」の一環として、2018年12月から2019年3月にかけて山口情報芸術センター[YCAM]で開催した「呼吸する地図たち」を再構成し、映像アーカイヴ展示と選りすぐりのレクチャー・パフォーマンスをご紹介します。
国際交流基金アジアセンターでは、東南アジアと日本の若手キュレーターの相互理解をもとに新しいネットワーク構築を目的とした協働美術事業「Condition Report」を2015年から開始し、2017年度には東南アジアの各都市で多彩なイベントを実施しました。そのテーマは「東南アジアとは何か」です。YCAMにおける「呼吸する地図たち」は、この「Condition Report」の日本における成果展として開催したものです。
今回、あわせて実施する「国際シンポジウム2019 エキシビション・メイキング:文脈を繋ぐ、作る、届ける現代美術」は、世界的に国際展が増え、アジア域内外でアジア太平洋地域のキュレーターやアーティストがこれまで以上に異なる文化を横断して活動する機会が増えている現状を背景に、そこで立ち上がってきた諸々の課題を明らかにし、よりよい方向性を探っていこうとするものです。
本事業は、展示、レクチャー・パフォーマンス、トーク、シンポジウムを通じて、東南アジアの芸術・文化とアジア太平洋地域の現代美術の「今」と「未来」を考える6日間です。
皆さまのご来場をお待ちしています。

↓クリックして全体をみる [PDF:1.33MB]

呼吸する地図たちのチラシ

イベント詳細

日程 2019年7月10日(水曜日)から15日(月曜日・祝日)
会場

東京芸術劇場 ギャラリー1 アクセス
東京都豊島区西池袋1-8-1 Googlemap

言語 日本語、英語、インドネシア語(イベントによって異なります。字幕・通訳有)
入場 無料(但し、レクチャーやパフォーマンスは事前申込制。詳細は下記をご覧ください)
問合せ

国際交流基金アジアセンター 文化事業第1チーム(担当:古市)
TEL:03-5369-6140、E-mail:jfac_visual_arts@jpf.go.jp

主催 国際交流基金アジアセンター
共催 東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
協力 山口情報芸術センター[YCAM]

インスタレーション&映像アーカイヴ展示

入場無料(どなたでも自由にご覧いただけます)

7月10日(水曜日)から15日(月曜日・祝日)
開館時間:13時~18時(最終日15日は17時まで)
出品作家/研究者
ホー・ツーニェン、ファリッシュ・ヌール、ジャネット・ピレイ オクイ・ララ、チ・トゥー、カルロス・セルドラン
小原真史、西尾佳織

レクチャー&レクチャー・パフォーマンス&シンポジウム

入場無料(事前申込制)
※終了時間は予定です

7月10日(水曜日)19時~20時30分
[レクチャー・パフォーマンス]
ホー・ルイアン
「アジア・ザ・アンミラキュラス」
(英語・日本語字幕)

7月11日(木曜日)19時~21時
[キュレーター、ゲスト・スピーカーによるイントロダクション]
マーク・テ、井高久美子、トンチャイ・ウィニッチャクン(特別ゲスト)
「時代を超える地理的身体」
(英語・日本語、逐次通訳)

7月12日(金曜日)19時~20時15分
[レクチャー・パフォーマンス]
イルワン・アーメット+ティタ・サリナ
「ネーム・ロンダリング」
(インドネシア語、逐次通訳)

7月13日(土曜日)14時~18時
[国際シンポジウム2019]
※シンポジウムは定員に達したため、申込みを締め切りました。
「エキシビション・メイキング:文脈を繋ぐ、作る、届ける現代美術」
(日英同時通訳)
アデ・ダルマワン、ジーベシュ・バグチ、飯田志保子、マーク・テ、アンドリュー・マークル、崔敬華

詳細は下記リンクをご覧ください。
国際シンポジウム2019「エキシビション・メイキング」/響きあうアジア2019

7月14日(日曜日)
17時~18時
[レクチャー]
小原真史
「不在の身体と写真」
(日本語)
19時~20時
[レクチャー]
志賀理江子+清水チナツ+長崎由幹
「ヒューマン・スプリング」
(日本語)

7月15日(月曜日・祝日)14時~15時
[レクチャー]
古市保子 演出:マーク・テ
「アジアを歩く」(日本語)

【申込方法】
1.お名前(ふりがな)、2.ご希望日、3.ご職業、4.電話番号、5.E-mailアドレスを明記の上、件名を「呼吸する地図たち」(国際シンポジウムへのお申込は件名を「メイキング・エキシビション・シンポジウム」)としてお申込みください。
締切:各回前日(受付先着順、定員になり次第締め切らせていただきます) 国際シンポジウム
※国際シンポジウム2019のお申込は下記ページをご覧ください。
国際シンポジウム2019「エキシビション・メイキング」/響きあうアジア2019

【申込み・問合せ】
国際交流基金アジアセンター 文化事業第1チーム(担当:古市・杉田)
TEL:03-5369-6140、E-mail:jfac_visual_arts@jpf.go.jp

※イベントに変更が生じた場合は、アジアセンターのウェブサイトにて告知します。

プロフィール

ホー・ルイアン Ho Rui An
(アーティスト/シンガポール)

美術、映画、パフォーマンス、文化理論の交差点で作品制作を行うアーティスト。グローバリゼーションや国家などによる統治の文脈において視覚的な象徴[イメージ]の出現、伝播、消滅を調査し、それらを思考・構成し、レクチャー・パフォーマンスやインスタレーションとして表現。ジャカルタ、シャルジャ、コチ、光州などの国際展など多数招へいされ、日本では、代表作《Solar》は、TPAM(国際舞台芸術ミーティング、2016年)で公開され、インスタレーションは「サンシャワー」展(2017年)にも出品されている。

マーク・テ Mark Teh
(演出家、研究者/マレーシア)

1981年クアラルンプール生まれ。マレーシアを拠点に活動するアーティストやアクティビスト、プロデューサーたちの共同体「ファイブ・アーツ・センター」のメンバー。「呼吸する地図たち」ゲスト・キュレーター。ロンドン大学ゴールドスミス校芸術政治専攻修士課程修了。「ファイブ・アーツ・センターの様々なプロジェクトを通じて、特に歴史、記憶、都市の問題を考察し、その成果は主に舞台芸術として発表されているが、マラヤ共産党を取り上げた《The 1955 Baling Talks》は世界各国の芸術祭で高い評価を受けている。近年では、教育の現場や展覧会のキュレーション、執筆といった活動も多い。

井高久美子 Idaka Kumiko
(インディペンデント・キュレーター/日本)

1982年生まれ。キュレーター。東京芸術大学大学院 映像研究科修了。2012年から2018年まで山口情報芸術センター[YCAM]に勤務。主な展覧会に「呼吸する地図たち」(2018年)、「布のデミウルゴス」(2017年)、「プロミス・パーク ─ 未来のパターンへのイマジネーション」(2016年)などの企画がある。またメディア技術の視点から、資源や歴史、文化などのフィールド・リサーチを行い、地方都市における文化的なリソースの開拓を行ってきた。2019年より独立し、愛知県を拠点に展覧会の企画を中心に活動を行っている。

トンチャイ・ウィニッチャクン Thongchai Winichakul
(ウィスコンシン大学マディソン校教授、 JETROアジア経済研究所上席主任調査研究員)

専門はタイ近代史。ナショナリズム論の名著『Siam Mapped』(『地図がつくったタイ』邦訳:石井米雄、2003年)で知られる。本事業「呼吸する地図たち」は同著の「地理的身体(geo-body)」という概念を基本コンセプトとして企画されたもので、今回の対話はキュレーターからの強いオファーで実現することとなった。

イルワン・アーメット&ティタ・サリナ Irwan Ahmett & Tita Salina
(アーティスト/インドネシア)

ジャカルタを拠点とするアーティスト。活動初期には都市の公共空間の社会的問題に焦点を当てた作品を制作していたが、近年は国境を越えて環太平洋火山帯における地政学的な対立・紛争を表した長期プロジェクトでは、人類、不公平さ、生態学に関するより複雑な物事と関連させた作品制作に取り組んでいる。

小原真史 Kohara Masashi
(キュレーター、映像作家/日本)

「中平卓馬試論」(2005年)で第10回重森弘滝写真評論賞、2016年日本写真協会賞学芸賞を受賞。IZU PHOTO MUSIUMの研究員として「宮崎学 自然の鉛筆」展(2013年)、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展(2013年)などを担当。また単著に『富士幻景―近代日本と富士の病』(2012年)、共著に『時の宙づり―生・写真・死』(2010年)、『戦争と平和―〈報道写真〉が伝えたかった日本』(2015年)、『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』(2017年)などがある。

志賀理江子+清水チナツ+長崎由幹
Shiga Lieko & Shimizu Chinatsu & Nagasaki Yoshitomo

写真家の志賀理江子、インディペンデント・キュレーターの清水チナツ、映像作家の長崎由幹からなり、宮城県を拠点に志賀理江子「ヒューマン・スプリング」展(東京都写真美術館、2019年)の作品制作のために共同で活動するグループ。東北の人、風土、歴史に学びながら、日々の気づきを共有・交換するために集まり、読書会や上映会を行っている。

古市保子 Furuichi Yasuko
(国際交流基金アジアセンター美術コーディネーター/日本)

国際交流基金において1990年より現在までアジアと日本の美術交流を手掛ける。「美術前線北上中―東南アジアのニューアート」(1992年)をはじめに、アジアのキュレーターとの協働事業として「アンダー・コンストラクション」(2000-03年)、近年では「他人の時間」展(2015-17年)などを企画。さらに次世代キュレーター間のネットワーク構築を目的に「アジア次世代キュレーター会議」(2006-14年)や「Condition Report」(2015-17年)、出版物として、『アジアのアートスペース・ガイド』(2002、05、09年)や『The Japan Foundation Asia Center Art Studies 』シリーズ(2015-19年)を企画。

「響きあうアジア2019」とは

国際交流基金アジアセンターは、活動5年目の結晶として、日本と東南アジアの文化交流事業を幅広く紹介する祭典、「響きあうアジア2019」を開催いたします。国を超え共に創り上げた舞台芸術、映画から、東南アジア選手による混成サッカーチーム「ASIAN ELEVEN」と日本チームとの国際親善試合、“日本語パートナーズ”のシンポジウムまで、お互いの文化が刺激しあって生まれた珠玉のイベントの数々を楽しめる機会です。この祭典は、国際交流基金アジアセンターがこれまで5年にわたり行ってきた相互交流の成果を振り返るとともに、日本と東南アジアとの関係をさらに深めるための起点となることでしょう。
「響きあうアジア2019」は、東南アジアでも展開予定です。

本事業はbeyond2020の認証事業です。