2019年11月27日 内野儀氏による「響きあうアジア2019」の総評を公開しました。
内野儀――イベント主義から遠く離れて―「響きあうアジア2019」のいくつかの企画について
※定員に達したため、申込みを締め切りました。
「響きあうアジア2019」の一環として開催する「呼吸する地図たち」において、東南アジアと日本の美術環境を考察する「国際シンポジウム2019 エキシビション・メイキング:文脈を繋ぐ、作る、届ける現代美術」を開催します。
ビエンナーレ/トリエンナーレをはじめとした大型の展覧会やフェスティバルは、日本やアジア太平洋地域でも増え続けており、現代美術の制作と普及の大きな資源であり舞台となっています。
これらの事業の多くは、世界各地のアーティストやキュレーターの参加を通じてのグローバルなネットワークの構築や発信を志向しながらも、開催地または地域の歴史、政治、文化の状況を考察し応答するための知的・文化的活動のプラットフォームを形成することを目的としています。
このような大型展の増加に伴い、キュレーターがより広域で活動するためのインフラは東南アジアの各地でもさらに増え、整いつつあると同時に、キュレーターが展覧会という事業を通して関わる社会の状況を踏まえ、どのような表現をいかに提示するか、より細やかな工夫や精緻な戦略が求められています。
しかしながら、国家を含む多数のステークホルダーからの経済的支援に頼らざるを得ない大規模な展覧会に期待されている「成功」はさまざまな制限となって、キュレーションにおける実験的な試みを難しいものとしているという状況もあります。
今回のシンポジウムでは、これらを背景に、ジャカルタを拠点とし、2022年ドクメンタ15でディレクターを務めるルアンルパのアデ・ダルマワン、デリーを拠点に活動し、2020年のヨコハマトリエンナーレでディレクターを務めるラクス・メディア・コレクティブのジーベシュ・バグチ、クアラルンプールのファイブ・アーツ・センターのマーク・テ、そして来る8月から開催されるあいちトリエンナーレのチーフ・キュレーターを務める飯田志保子を招きます。
彼らが手がける展覧会が開催される場と、またその社会における文化生産のシステムが、現代美術の実践に与える可能性と制限とに向き合いながら、局地的・具体的な文脈を、どのように扱い、つなげ、発信するのかを探ります。
皆さまのご参加をお待ちしております。
↓クリックして全体をみる [PDF:2.6MB]
イベント詳細
日時 | 2019年7月13日(土曜日)14時から18時 |
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会場 | |
言語 | 日英同時通訳 |
入場 | 無料(事前申込制、先着順、定員100名) |
申込み |
1.お名前(ふりがな)、2.ご職業、3.ご電話番号、4.E-mailアドレスを明記の上、件名を「メイキング・エキシビション・シンポジウム」として下記問合せ先までお申込みください。 |
問合せ |
国際交流基金アジアセンター 文化事業第1チーム(担当:古市) |
主催 | 国際交流基金アジアセンター |
共催 | 東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団) |
登壇者
- アデ・ダルマワン(ルアンルパ代表、ジャカルタ、ドクメンタ2022アーティスティック・ディレクター)
- ジーベシュ・バグチ(ラクス・メディア・コレクティヴ・ メンバー、ニューデリー、ヨコハマトリエンナーレ2020アーティスティック・ディレクター)
- 飯田志保子(あいちトリエンナーレ2019チーフ・キュレーター)
- マーク・テ(ファイブ・アーツ・センター・メンバー、 演出家、マレーシア、「呼吸する地図たち」ゲスト・キュレーター)
モデレーター
- アンドリュー・マークル(ライター、編集者、東京)
- 崔敬華(東京都現代美術館学芸員)
スケジュール
- 13時40分:開場
- 14時~14時5分:主催者挨拶(国際交流基金アジアセンター)
- 14時5分~14時10分:企画について(モデレーター)
- 14時10分~14時40分:発表1 マーク・テ
- 14時40分~15時10分:発表2 飯田志保子
- 15時10分~15時30分:討論
- 15時30分~15時35分:休憩
- 15時35分~16時5分:発表3 ジーベシュ・バグチ
- 16時5分~16時35分:発表4 アデ・ダルマワン
- 16時35分~16時55分:討論
- 16時55分~17時:休憩
- 17時~18時:全体討論
プロフィール
アデ・ダルマワン Ade Darmawan
1974年ジャカルタ生まれ。アーティスト、キュレーター。ジャカルタのアーティスト・コレクティヴ「ルアンルパ」の代表で「ドクメンタ2022」の芸術監督のメンバー。1992年から1997年までインドネシア芸術大学で学び、1997年チェメティ現代美術ギャラリー(現在のチェメティ・アート・ハウス)で初の個展。その後、オランダのライクスアカデミーに留学。帰国後の2000年に5人の作家たちと共にルアンルパを設立し、社会的・文化的文脈――特に都市空間や環境――における視覚芸術の実践を追求。ルアンルパを協働のプラットフォームとし、インドネシア内外で活動の幅を広げ、第4回光州ビエンナーレ(2002年)をはじめイスタンブール(2005年)、シンガポール(2011年)、アジア・パシフィック現代美術とトリエンナーレ(2012年)などの国際展に多数参加。また2009年からジャカルタ・ビエンナーレの芸術監督を務め2013年から2017年までは総合ディクター。さらにその活動の場は大きく飛躍し、今春、ドイツ・カッセルの「ドクメンタ2022」の芸術監督にアジア初で指名されたことはビッグニュースであり、その企画に注目が集まる。
ジーベシュ・バグチ Jeebesh Bagchi
1965年ニューデリー生まれ。アーティスト。1992年結成された3名からなるアーティスト・コレクティヴ「ラクス・メディア・コレクティヴ」のメンバーであり来年の「ヨコハマ・トリエンナーレ2020」の芸術監督のひとり。「動的熟考/kinetic contemplation (ラクスによる造語)」を活動の核とし、彼らの実践は、アート作品の制作、展覧会のキュレ―ション、パフォーマンスのプロデュース、執筆など多岐に渡り、表現形式もメディアも多様。また、建築家、コンピュータ・プログラマー、ライター、キュレーター、舞台演出家ら専門家や市民とのコラボレーションも豊富で、多面的な作品やプロジェクトを多数実現している。キュレーターとして企画した展覧会としては、直近では「In the Open or in Stealth-The Unruly Presence of an Intimate Future」(バルセロナ現代美術館[MACBA]、バルセロナ、2018-19年)第11回上海ビエンナーレ「Why Not Ask Again: Arguments, Counter-arguments, and Stories」(2016-17年)があり、個展だけでも、英国、米国、ドイツ、スペイン、アルゼンチン、メキシコなど世界中で開催されており、国際展への参加も多数。
飯田志保子 Iida Shihoko
1975年東京都生まれ。キュレーター。「あいちトリエンナーレ2019」のチーフ・キュレーター。1998年開館準備期から11年間東京オペラシティアートギャラリーに勤務。主な企画は「ヴォルフガング・ティルマンス―Freischwimmer」(2004年)、「トレース・エレメンツ―日豪の写真メディアにおける精神と記憶」(東京オペラシティアートギャラリー、2008年/パフォーマンス・スペース、シドニー、2009年)など。2009年から2011年までブリスベンのクイーンズランド州立美術館|現代美術館の研究機関ACAPAに客員キュレーターとして在籍。帰国後「第15回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2012」(日本公式参加)、「あいちトリエンナーレ2013」、「札幌国際芸術祭2014」など国際展のキュレーターを歴任。2014年10月から2018年3月まで東京藝術大学准教授。アジア地域の現代美術、共同企画、美術館やビエンナーレをはじめとする芸術文化制度と社会の関係に関心を持ち、ソウル、オーストラリア複数都市、ニューデリー、ジャカルタ各地域で共同企画展を実践している。
マーク・テ Mark Teh
1981年クアラルンプール生まれ。演出家。リサーチャー。マレーシアを拠点に活動するアーティストやアクティビスト、プロデューサーたちの共同体「ファイブ・アーツ・センター」のメンバー。「呼吸する地図たち」ゲスト・キュレーター。ロンドン大学ゴールドスミス校芸術政治専攻修士課程修了。ファイブ・アーツ・センターの様々なプロジェクトを通じて、特に歴史、記憶、都市の問題を考察し、その成果は主に舞台芸術として発表されているが、マラヤ共産党を取り上げた《The 1955 Baling Talks》は世界各国の芸術祭で高い評価を受けている。近年では、教育の現場や展覧会のキュレーション、執筆といった活動も多い。
アンドリュー・マークル Andrew Maerkle
1981年生まれ。アートライター、編集者。元『Art Asia Pacific』誌副編集長。現在はART iTインターナショナル版副編集長を務めるほか、海外のアートマガジン『Artforum』や『frieze』にも寄稿。現代美術史に関する研究を行いながら、日本を中心とした現代美術イベント関連の記事を主に執筆。
崔敬華 Che Kyongfa
1977年兵庫生まれ。東京都現代美術館学芸員。2000年にロンドン大学ゴールドスミス校にて修士号(美術史・美術理論)を取得後、2006年、スウェーデンのマルメ・アート・アカデミーにてクリティカル・スタディーズ(Post MA)を修了。東京をはじめ、シンガポール、オーストラリア、インドネシア、韓国などの美術組織で展覧会制作に関わり、2013年から現職。企画した主な展覧会に、「The Demon of Comparisons」(共同企画、ステデリック・ミュージアム・ビューロー、アムステルダム、2009年)、「Fog Dossier」、(アートソンジェセンター、ソウル、2010年)、「Omnilogue: Journey to the West」(共同企画、ラリット・カラ・アカデミー、ニューデリー、2012年)、「他人の時間」(共同企画、東京都現代美術館ほか、2015-16年)などがある。現在パリのKADISTとの共同企画として、藤井光の個展「Les nucléaires et les choses (核と物)」が開催されている。
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