報告書が完成しました。
シンポジウム「舞台芸術における国際協働をめぐって―見えないものを伝え、見られなくなるものを残す」報告書が完成
国際交流基金アジアセンターは、「響きあうアジア 2019」プログラムの一つとして、舞台芸術における国際協働の過程とその経験を広く共有するための方法を考えるシンポジウムを開催します。
演劇やダンスといった舞台芸術において、特に異なる文化的背景を持つ当事者が集まる国際協働では、作品ができるまでのプロセスに貴重な経験や気づき、知見が存在します。それを、そこに参加しなかった人々に伝え、共有することは可能でしょうか。また、その場、その時限りのものである舞台芸術を、プロセスを含め、記録やアーカイブとして残すことの意味、「残す」ことから生まれるものは何でしょうか。
このシンポジウムでは、実践者による取り組みを紹介しながら、様々な視点からこの問題を考え、今後へと続く議論を行います。
日時 | 2019年7月4日(木曜日)12時30分~17時(要申込) |
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会場 | |
言語 | 日英同時通訳 |
入場 | 無料 |
申込み | 専用フォームよりお申し込みください |
問合せ | 舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM) TEL:03-5724-4660、E-mail:info@onpam.net |
主催 | 国際交流基金アジアセンター |
共催 | 東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団) |
企画協力・制作 | 舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM) |
舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)
舞台芸術と社会、アーティスト・芸術団体と観客を繋ぐ全国的、国際的な会員制ネットワーク。制作者へのエンパワメントを通じて社会を変えていくことをミッションとし、同時代の舞台芸術の社会的役割の定義と認知普及、文化政策などへの提案・提言に関する活動をしています。
プログラム(12時30分~17時)
モデレーター・齋藤啓(舞台制作者)
- 12時30分
イントロダクション 滝口健(ドラマトゥルク、翻訳者) -
13時
第1部「プロセスを伝える、共有する」- ショーネッド・ヒューズ(振付家)
- 長島確(ドラマトゥルク、フェスティバル/トーキョー ディレクター)
- ユディ・アフマッド・タジュディン(演出家、テアトル・ガラシ)
※インドネシアのリサーチ先よりオンラインで参加予定
14時15分
第2部「舞台芸術を残す」- ショーン・チュア(研究者、ドラマトゥルク)
- 久野敦子(セゾン文化財団 常務理事兼事務局長)
- 中村茜(パフォーミングアーツ・プロデューサー、株式会社precog 代表取締役・ディレクター)
- 15時30分
第3部 パネルディスカッション
※各パートの開始時間は、当日の進行により変更になる場合があります。
登壇者プロフィール
滝口健
ドラマトゥルク、翻訳者。1999年から2016年までマレーシア、シンガポールに拠点を置き、シンガポール国立大学よりPhD取得。数多くの国際共同制作演劇作品にも参加している。アジアン・ドラマトゥルク・ネットワーク創設メンバー。現在、世田谷パブリックシアター勤務。東京藝術大学非常勤講師。
ショーネッド・ヒューズ
ショーネッド・ヒューズは、ロンドンを拠点に活動するウェールズ人振付家。ロンドンのラバン・センターとニューヨークのマース・カニングハム・スタジオで、日本では津軽手踊り石川流と行山流山口派柿内沢鹿踊のトレーニングを受ける。イギリスのDance4のアソシエート・アーティスト。彼女の作品は、その振付の構成の中で、知覚、記憶、人、場所に焦点を当て、小さな動作を繰り返しながら、身体の動きを通して認識される世界の予期せぬ部分を浮かび上がらせる。「青森プロジェクト」と「Odori-Dawns-Dance」という二つの協働プロジェクトのアーティスティック・ディレクター。どちらのプロジェクトも、セゾン文化財団の「国際プロジェクト支援」を、2009年から11年、そして2015年から17年に受けている。2009年にクリエイティブ・ウェールズ・アンバサダー賞を受賞し、11年まで支援を受ける。
長島確
日本におけるドラマトゥルクの草分けとして、さまざまな演出家・振付家の作品に参加。近年は演劇の発想やノウハウを劇場外へ持ち出すことに興味をもち、アートプロジェクトにも積極的に関わる。主なプロジェクト:「アトレウス家」シリーズ、「つくりかた研究所」(東京アートポイント計画)、「ザ・ワールド」(大橋可也&ダンサーズ)、『←(やじるし)』(さいたまトリエンナーレ2016)、『マザー・マザー・マザー』(中野成樹+フランケンズ、CIRCULATION KYOTO)など。東京芸大特別招聘教授。
ユディ・アフマッド・タジュディン
インドネシアのジョグジャカルタで分野横断的な活動を行う演劇集団テアトル・ガラシ/ガラシ・パフォーマンス研究所(2013年プリンス・クラウス賞受賞)の創立メンバーで芸術監督。舞台作品は国際的に上演されており、ダンス、音楽、現代オペラでも重要な国際協働プロジェクトに数多く関わっている。最先端を行く演出家として知られ、インドネシア演劇を異なる芸術的次元に引き上げた。2011年から12年にかけて、ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の奨学金を得てニューヨークの演劇シーンについて学び、インドネシア文化省より「Art Award 2014」受賞している。
ショーン・チュア
シンガポール在住のリサーチャー、ドラマトゥルク。体系的アーカイブ、不気味な人間性、参加型の戯曲の枠組みを特徴とする探求を行う。アジアン・ドラマトゥルク・ネットワーク、サブステーション、ステイト・オブ・モーション、国際舞台芸術学会(PSi)にて作品を発表。 2012年、ナショナル・アーツカウンシルの奨学金を受け、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部舞台芸術学の修士号を取得。ラ・サール芸術大学で教鞭をとる。国際舞台芸術学会(PSi)諮問機関に所属。Bras Basah Openの創設メンバーであり、soft/WALL/studsの運営メンバー。
久野敦子
多目的スペースの演劇・舞踊のプログラム・コーディネーターを経て、1992 年に財団法人セゾン文化財団に入職。2018 年より現職。現代演劇、舞踊を対象分野にした助成プログラムの立案、運営のほか、自主製作事業の企画、運営などを担当。2011年よりセゾン・アーティスト・イン・レジデンスの立ち上げにかかわる。2014-2015年シンガポール国際芸術祭の協力のもと「ダンス・アーカイブの手法」を実施。
中村茜
2006年株式会社プリコグを立ち上げ、08年より同社代表取締役。チェルフィッチュ・岡田利規、ニブロール・矢内原美邦、飴屋法水などの国内外の活動をプロデュース、海外ツアーや国際共同製作の実績は30カ国70都市におよぶ。2009年NPO法人ドリフターズ・インターナショナルを、金森香(AWRD)と藤原徹平(建築家)と共に設立。そのほか、『国東半島アートプロジェクト2012』『国東半島芸術祭2014』パフォーマンスプログラムディレクター、2018年より「Jejak-旅 Tabi Exchange : Wandering Asian Contemporary Performance」の共同キュレーター等を歴任。舞台芸術制作者オープンネットワークON-PAM理事。
齋藤啓
東京生まれ。2006年鳥取県に移り、鳥の劇場の立ち上げに参加。制作担当として、劇場運営から演劇祭の実施、国際プロジェクトまで幅広い業務を担当。2016年末に鳥の劇場を離れ、フリーランスの制作者として活動。2018年3月から19年2月まで文化庁新進芸術家海外研修制度でスコットランドに滞在、エジンバラのトラバースシアターで研修を行う。舞台芸術制作者オープンネットワークON-PAM理事。鳥取県智頭町在住。
「響きあうアジア2019」とは
国際交流基金アジアセンターは、活動5年目の結晶として、日本と東南アジアの文化交流事業を幅広く紹介する祭典、「響きあうアジア2019」を開催いたします。国を超え共に創り上げた舞台芸術、映画から、東南アジア選手による混成サッカーチーム「ASIAN ELEVEN」と日本チームとの国際親善試合、“日本語パートナーズ”のシンポジウムまで、お互いの文化が刺激しあって生まれた珠玉のイベントの数々を楽しめる機会です。この祭典は、国際交流基金アジアセンターがこれまで5年にわたり行ってきた相互交流の成果を振り返るとともに、日本と東南アジアとの関係をさらに深めるための起点となることでしょう。
「響きあうアジア2019」は、東南アジアでも展開予定です。
本事業はbeyond2020の認証事業です。