【統括セッション】「Reverse IDEA」
最後のセッションは、モデレーターのポンピリオ氏の進行で、登壇者全員が登壇いたしました。
モデレーター:アンドレア・ポンピリオ
登壇者:アリア・カーン、和田永、稲葉俊郎、マンゲストゥティ・アギル
アンドレア・ポンピリオ(以下、ポンピリオ):テーマは、「Reverse IDEA」について、ステージに立つ皆さんの考え方を改めてお聞きしたいと思います。
この激動の時代に生きていて、コミュニケーションの発達や技術の発展によって、世界は身近なものになりました。異なる文化、芸術、宗教や習慣あるいは価値観を知り、触れる機会はたくさん増えました。振り返れば、競争社会を含む経済を中心にした方向へ、すさまじいスピード感で突き進むことによって、利便性や効率化などは生み出されてきました。しかし、地球市民としての私たちは、共生への判断力が麻痺しているのではないかと日々感じています。今回、このような形で交流を重ね、世界をより知った先に、人類の本当の豊かさ、私たちの個々の豊かさへの答え、あるいは共有できる解決策があるのではないか?と思っています。
それでは、登壇者の皆さんにもご意見を伺いたいと思います。カーンさんにとって、「Reverse IDEA」とは何でしょうか。
アリア・カーン:私にとっての「Reverse IDEA」とは、伝統的な価値観に戻ることだと思います。なぜなら、我々の社会には今まで知らずに生きてきた知恵に蓄積があります。先人たちの知恵を出来る限り吸収し、それを次世代に繋げていくことが重要だと思います。
和田永:僕の場合は、「Reverse」しながら考えるということを積極的に行っています。先端よりも根源はどこか?今は既存のシステムを享受していて、あまり疑問を持たず、それが正解だと思っているけれど、根源的にシステムを紐解いていくと、その過程で失われた可能性みたいなものがあって、その可能性を既に運用されているシステムと対比して考えていくべきではないかと思います。
ポンピリオ:稲葉さんは、未来を切り拓くためのヒントとして「Reverse IDEA」をどう捉えますか。
稲葉俊郎:私たちは生きている以上、自然に戻ること、つまり、地球という場で生命を共有しているので、宗教や文化が異なっても、土台である地球を思い出すことが、「Reverse IDEA」のイメージの元かと思います。
マンゲストゥティ・アギル:我々は自然から生まれ、自然は私たちに色々なものを与えてくれます。私たちはそのことを忘れて、自然をめいっぱい活用していますが、これは結果的に自然環境の破壊などにも影響し、私たちはストレスを抱え、免疫システムが弱まっています。今こそ、自然を軽視せず、心身を捉え直すことが大切ではないでしょうか。
ポンピリオ:会場の皆さんも共有されたかと思いますが、研究者、アーティスト、ビジネスに携わる方を含め、次の世代に向けて、今の国単位ごとではなく、より深く、より真剣に地球規模で考えないといけない時代に来ていますね。これまで話したことをぜひ持ち帰っていただき、考え続けていけたらと思います。本日はありがとうございました。
統括セッション(約12分)
体験展示:バーコードリーダー(和田氏の制作楽器の一つ)
関連企画:JAMUミニ展示
会場ではトークセッションに関連し、インドネシアの人々に長い間親しまれている健康飲料「JAMU」についてのパネルと原材料を展示しました。
協力:フレグランスジャーナル社 上野靖、高橋由美、Dr. Riskina Juwita
終了後のアンケートでは、「ファッション・音楽・医術と多様な分野で多くの学びがあった」「広範囲な領域だけに掘り下げる時間がもっと欲しかった」という意見や、「平日開催なのがもったいない。週末ならもっと良いと感じた」とのご意見もいただきました。皆様の意見を今後の事業にも活かすべく参考にさせていただきます。当日は最後まで多くの方にご聴講いただきありがとうございました。
ICF公式サイトにも当日のレポートが掲載されています。
The Japan Foundation Asia Center Session Report
写真:田山 達之
企画・編集:藤重 菜香子(国際交流基金アジアセンター)