2020年、タイの新世代の人々による反政府運動が再び活発になり、2014年の軍事クーデター以来最大規模の民主化運動になった。今回、大学生や高校以下の生徒たちは、多くの市民から支持され、また全国に広がる新世代のネットワークを築くような抗議活動を展開することができた。そして、さまざまなイメージやモチーフを使いさまざまな活動を行う、クリエイティブなデモを展開することによって、新たなグループの人々をこの運動に結びつけることができた。さらに新世代の人々による運動は、政府やその指導者への反発だけでなく、タイの保守的な権威に挑む主張も提示し、社会や政治における保守的な考え方やシステム、構造——たとえば家族や教育、宗教、官僚制、そして君主制——に疑問を投げかけた*1。
*1 Kanokrat Lertchoosakul, 『白いリボンの間の(中での)冷戦』, (Bangkok: Matichon, 2011).
「新しいメディア」、特に「ソーシャルメディア」の普及は、彼らの考え方や主張をより多くの人々に広めるためのツールとして、一つの重要な要素となった。ただし、より深い分析の結果、2020年からの新世代の人々の運動においてソーシャルメディアの役割が拡大した土台と背景的要因となった重要な条件が明らかになった。それは、新世代の活字メディアの広がりと、この10年で形成された活字メディアとニュースメディア、そしてウェブメディアのハイブリッドであった。
1990年代終わりから2000年代初頭にかけて、新世代のクリティカルな活字メディアが登場し始めた。その波の中で、新しい出版社のオーナーや編集部、作家は、1970年代世代ではない新世代の人々によって占められていた。たとえば、2003年にOPENとファーディアオカン(同じ空)が設立され、2004年にはライフスタイル誌『A Day』の系列で、政治系週刊誌『A Day Weekly』が創刊された。こうした新世代の活字メディアの内容は、当時の政府、すなわちタクシン政権への批判に重きを置くものであり、他の大手メディアにはできないような形で、タイ社会における新自由主義的方向性や独占的資本に対する批判を展開した。また、市民参加型の政治やアイデンティティ・ポリティクスといった新たな方向性の政治のために空間を作ること、あるいは自由主義・左派政治について見直すことにも重点が置かれた。そして最も重要な点は、政治や社会問題に関する批判的な文章を、より多くの新世代の人々に向けて、わかりやすくかつ面白いものにしようと試みた点であった。しかし、そうした努力は、思ったように実を結ばなかった。たとえそれらが、2000年代の活字メディア業界にとって語り継がれるべき功績であったにせよ、それを消費する側は、進歩的な新世代に限定されていた。加えて、多くの出版社は、資金繰りや経営の面で長期的に生き残ることができなかった。たとえば、OPENは幹部間での経営の方向性の違いによって、設立から8年で廃業する結果となった*2。『A Day Weekly』のように若者世代の間でかなりの人気を得た政治系雑誌ですら、資金繰りがうまくいかず、創刊号の発行から1年も経たずに廃刊となってしまった*3。
*2 「Openworldsが廃業発表、株主は各自の得意分野で新会社設立へ」The Standard, 2021年9月4日閲覧, https://thestandard.co/openworlds-business-closed/.
*3 「A day weeklyになにが起こったのか」Prachathai, 2021年9月4日閲覧, https://prachatai.com/journal/2005/06/4334.
しかし2006年と2014年の軍事クーデターの後、私たちは新たな現象を目にすることになった。それは、単に政府を批判したり、1970年代の文学を再生産したりするような内容にとどまらない、新世代の活字メディアの台頭であった。さらに、活字メディアとニュースメディア、ウェブメディアのハイブリッドも見られるようになった。こうしたことのすべてが、2020年の中高生や大学生らによる運動の形成において、重要な要素となった。
一つ目の現象は、新世代による批評を主とする出版社の登場であり、たとえば、ファーディアオカンから独立したアーン(読む)などがある。アーンは、黄シャツと赤シャツの政治対立の真っ只中にあったタイ社会に鋭く切り込むような、クリティカルな文学や文芸評論の出版に力を入れた*4。また、2008年に創業したソムマティ(架空)は、後に新世代の人々の力を支える重要な土台となった数多くの本の翻訳出版や、出版物の宣伝に力を入れた*5。2018年頃には、解散していたOPENの元メンバーが再び集まり、BookscapeやSaltなど、各自の方向性に沿った新しい出版社を設立した。Bookscapeは、政治、経済、社会分野の支配的な知に対する批評本を強みとしていた*6。Saltは、ノンフィクションやSF小説などの形式を通じて、タイ社会でまだ多くなかった科学や哲学の書籍を新たに作っていた*7。その他、2018年に設立された出版社Illuminations Editionsでは、新世代の研究者によるクリティカルな学術書の出版や、まだタイ語に訳されていない古典的名作と、近年の社会科学分野の世界的名著の翻訳出版に重点が置かれた。同出版社は、わずか数年で40冊近くもの新刊書を出版した*8。最後になるが、非常に興味深い出版社として、ニシットサームヤーン(サームヤーンの大学生)が挙げられる。これは、ネーティウィット・チョーティパットパイサーンといった学生運動家の指導の下で、チュラロンコーン大学内の学生グループによって作られた出版社である。同出版社は、2015年の設立から6年間で約40冊の本を市場に送り出したが、その大部分は、学生による著作と、民主主義や社会民主主義に関する本の翻訳、そして世界各地の独裁や権威主義体制への抵抗に関する事例研究の翻訳であった*9。
*4 アーンから刊行され、新世代の政治意識に影響を与えたベストセラー本には、『これだけしか傷つけられないさ』や『愛よ』、『普通を愛す:人民の関係の記録』などがある
*5 「ピヤウィット氏によって、売れない本を作る『ソムマティ』は10年続いた」 The Cloud, 2021年9月4日閲覧, https://readthecloud.co/author/jiradet-ophatphanwong/. ソムマティから刊行され、新世代の政治意識に影響を与えたベストセラー本には、『1984年』、『王様と私について』、『シャム・タイにおける政治思想の系譜』などがある。
*6 「bookscape知を信じる出版社、本の力を信じる」 a day, 2021年9月4日閲覧, https://adaymagazine.com/bookscape. Bookscapeから刊行され、新世代の政治意識に影響を与えたベストセラー本には、『コモンセンス』、『一冊でわかる』シリーズ、『哲学の小さな歴史』、『民主主義の諸モデル』などがある。
*7 「SALTを知る:ほどよい辛さの出版社」 The Matter, 2021年9月4日閲覧, https://thematter.co/social/salt/48102; 「Salt Publishing:哲学と科学で思想の道を開く新たな出版社」The Standard, 2021年9月4日閲覧, https://thestandard.co/salt-publishing/; Saltから刊行され、新世代の政治意識に影響を与えたベストセラー本には、『それをお金で買いますか』、『紙の動物園』、『貧乏人の経済学』などがある。
*8 「掘削装置から印刷機まで:『Illuminations Editions』が成長した日に『ピパット・パスターンチャーン氏』に聞く」Matichon online, 2021年9月4日閲覧, https://www.matichon.co.th/entertainment/news_1070994 ; Illuminations Editionsから刊行されたベストセラー本には、『国王とはなに(もの)か?』、『いつタイは国家になったのか』、 『手拍子からホイッスルまで』、 『君主制理論:タイ史における布施太子』などがある。
*9 ニシットサームヤーンから刊行され、新世代の政治意識に影響を与えたベストセラー本には、『暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』、 『素晴らしき教育システムの中の悪い生徒』、 『強い意志と優しい心』、 『独裁体制の下での個人の責任』、 『独裁体制から民主主義へ』などがある。
二つ目の現象は、活字メディア、ニュースメディア、ウェブメディアのハイブリッドである。たとえば、1990年代終わりから2000年代初頭にあった出版社が、ニュースメディアやウェブメディアへと姿を変えたり、活字メディアの売上げ低迷から抜け出すために工夫がこらされたり、あるいは読者層拡大のために、出版事業と並行しながらウェブメディアを利用するといったことが行われるようになった。ファーディアオカンは、ネット社会の黎明期から、新世代の人々とさまざまな議論をする場としてウェブ掲示板を使っていたが、その掲示板は、2000年代半ばには、政府や保守的なシステムに対し先鋭化した批判的思想を提示する伝説的な掲示板サイトとなった。2007年以降、ファーディアオカンは、Facebookを利用してオンラインセミナーを企画し、より多くの人々に同社の出版物の内容を知ってもらうべく宣伝するようになった。アーンやIlluminations Editions、ソムマティといった他の出版社も、新刊書に関連した短い記事をウェブサイトやFacebookページに掲載することを含め、ウェブ上で本の宣伝をしたり、セミナーを企画したりするようになった。ソムマティはさらに、「生きづらい人のための本10冊」を紹介したり、学生運動に関するダウンロード無料の記事10本を公開したり、「目を開く」ための本20冊を紹介したりした*10。
*10 「学生運動:ダウンロード無料記事10選」Sommati, 2021年9月4日閲覧, https://www.sm-thaipublishing.com/content/8386/student-movements-contents.
本の宣伝のためにソーシャルメディアを利用するだけでなく、Bookscapeは、知識の架け橋となる「101」のような情報サイトを運営する方向に業務を拡大した。このサイトは、記事やインタビューシリーズを掲載し、さまざまな新世代の研究者や作家、思想家の著作と彼らの批判的視点を紹介することで、高い人気を集めた。『A Day』は、活字メディアへの投資で痛手を負っていたものの、活字メディアからオンラインのニュースメディア『The Standard』に変貌を遂げた結果、それが成功し、広く知られるようになった。さらに、チームの一部はウェブマガジンの制作に回り、『The Cloud』のようなヒットを生み出した*11。
*11 「a dayからThe Standardへ:『ノン・ウォンタノン氏』の愛されるブランド作りの秘訣」 Beartai, 2021年9月4日閲覧, https://www.beartai.com/article/tech-article/470108.
出版社だけでなく、2005年に始まったブログサイト「exteen.com」などは、日々のニュースを伝える『The Matter』というニュースサイトへ移行した。それに合わせて、Salmon出版社が設立され、同出版社は「Minimore」というサイト上でオンライン書店を開設した。さらに、本を読む時間のない人がそれを耳で聞くことができる「Salmon Podcast」も作られた。また最近では、さまざまな読みものを紹介するサイト「Cont. (cont-reading.com)」も作られた*12。
*12 「『小さなメディアの方が生き残る可能性が高い』The MATTER創設者ティーパコーン・ウティピッタヤーモンコン氏」The Standard, 2021年9月4日閲覧, https://thestandard.co/news-business-thematter-champ-teepagorn/; 「『salmon出版社』活字メディア業界の変化の波に逆らって泳ぐ強い魚」 Urban Creature, 2021年9月4日閲覧, https://urbancreature.co/salmon-publishing/; 「salmonを最も良く表す13冊を通してsalmon出版社を知る」 The Cloud, 2021年9月4日閲覧, https://readthecloud.co/salmon-books/.
形態の新しさに加えて、新世代の活字メディアの内容、そして活字メディアとニュースメディア、ウェブメディアのハイブリッドが、新たな文脈における社会や政治の問題に対する主張や分析、批評を提示するようになった。これらは、新世代の研究者や作家によって書かれたり翻訳されたりしたものであり、1990年代のクリティカルな活字メディアとは、いくつかの点で異なっていた。
一つ目は、国王に関する研究である。ファーディアオカンやBookscape、Illuminations Editionsといった出版社が、長い間批評することを禁じられていた、保守的なシステムの研究に風穴を開けるような研究書や翻訳書を数多く出版するようになった。たとえば、『国王とはなに(もの)か?』、『王様と私について』、『王制ナショナリズムの面様』、『コモンセンス』などである。
二つ目は、体制批判である。出版社やウェブメディアにおいて、新世代は問題を構造的に研究することに重きを置いた。それは教育制度や官僚制、司法、軍部、選挙制度、憲法、国家と宗教の関係といった問題に対する体系的な分析と批判であり、新世代の人々の間で話題となっている新たな方向性や情報をもとになされたものであった。たとえば、『国家において司法が強大であるとき』、『クーデター裁判:司法、独裁、法の支配』、『プレーム的民主主義:ハイブリッドなタイ政治』、『宗教と暴力』、『素晴らしき教育システムの中の悪い生徒』などの本が挙げられる。
三つ目は、歴史学である。新世代の出版社は、新たな歴史学の手法によるクリティカルな歴史研究の本を数多く出版した。それは、支配階層の歴史に一石を投じることを目的として平民の歴史を掘り起こすようなものから、タイの歴史主義や君主主義に挑むようなもの、歴史教科書における歴史の再構築に疑問を投げかけるようなものまであった。たとえば、『将軍、封建制、ハクトウワシ:1948–57年の米国による世界秩序の下でのタイ政治』、『秘密の歴史:古代から現代までの政治思想』、『タイ絶対君主制の興亡』、『国家建設の地図:冷戦時代の国民国家とタイ村落の地図製作』、『国王怪死事件の真実(完全版)』などがある。
四つ目は、比較政治学である。新世代の出版社やニュースサイトは、世界各地の政治や政治的発展に関して、読者の視野を広げ、理解を深めるような多くの本を出版した。そこでは議会政治だけでなく、大衆や貧困層の政治についても言及された。たとえば、ニシットサームヤーンから出版された『中国共産党支配下でのウイグル族の苦難』(The Suffering of the Uyghurs Under the Chinese Communist Regime)や『人権を切望する声』(The Cry for Human Rights: Selected Writings of Ilham Tohti)、『イスラエルに関する十の神話』(Ten Myths About Israel)などがある。
そして五つ目は、世界各地の社会運動に関する研究である。新世代の出版社は、1970年代に活発化した市民と若者による運動に関する著作のさらに先へと、読者を導いた。世界中の運動に関する本や最新の情報が、翻訳、編集され、広く公開された。たとえば、『植民地期インドにおける農民反乱の基本的側面』(Elementary Aspects of Peasant Insurgency in Colonial India)、『これは冗談ではない:絶滅への反逆の手引き』(This Is Not A Drill: An Extinction Rebellion Handbook)、『美しいトラブル:革命のための道具箱』(Beautiful Trouble : A Toolbox For Revolution)などである。
政治デモに参加した新世代の人々の政治的な関心と覚醒——それは「目が覚める」現象と呼ばれた——の出発点となったのがソーシャルメディアであったことは確かだが、クリティカルな主張と情報を含んだ多くの新たな活字メディアの広がりも、それに負けないくらい重要な資源であった。それはクリティカルなウェブメディアにとっての情報の出所であり、また新世代の人々にとっても、運動を率いるリーダーとそれを支持する人々の両方が使う情報源であった。彼らはソーシャルメディアを通じて政治に目覚めるようになっていたが、それだけでなく、ソーシャルメディアよりもさらに深い、政治と社会に関する知識、情報、インスピレーションを求めていた。
確かにソーシャルメディアは効率的なコミュニケーションのプラットフォームであったが、それ一つだけでは、2020年に起きた重要な政治的覚醒を促すことはできなかっただろう。新世代の活字メディア上での批評や分析、解決策の提案といった内容の拡大が、作家やジャーナリストらにウェブメディアの中でクリティカルなコンテンツを生み出すインスピレーションを与え、その執筆を支えた。そしてそれらが、新世代の人々の政治的覚醒の出発点となった。たとえばTwitterは、2020年の運動よりずっと前から新世代の間で、特に韓国のエンタメのファンの女性たちの間で使われていたコミュニケーションのプラットフォームであった。2020年の初頭に、若者たちの自由と権利を求める蜂起に関わるクリティカルなコンテンツや情報がTwitter経由で広がったことが、それまでお気に入りの俳優や歌手の情報を入手したり応援のために投票をしたりするのにTwitterを使っていた若者たちに影響を与えた。彼らは、そのような新しいコンテンツがTwitterの中に入ってきて以降、2020年の新世代による運動の主力となった。そのコンテンツとは、王室予算の統計や、「目を開く」ための本に関する情報、1932年立憲革命や10月14日事件、10月6日事件の歴史、そして各種のデモのハッシュタグを通じて追いかける日々の政治や運動に関するニュースなど、さまざまなものであった。
より多くの新世代の人々の政治的関心を刺激することを目的とした、ウェブメディア上でのクリティカルなコンテンツの提供だけでなく、新世代の活字メディアもまた、政治的に目覚めた人たちにとって、構造的な問題を解決するための知識を深め、解決策を模索するための重要な情報源となっている。新たな読者層の中で、深い視点からの知識や分析、新たな提案を求める需要が高まっている。それは、かつてないほど批評的な本が売れ、出版業界がターニングポイントを迎えていることからもわかる。重要な本、たとえば、『将軍、封建制、ハクトウワシ:1948–57年の米国による世界秩序の下でのタイ政治』や『タイ絶対君主制の興亡』、『信じられない夢の中で夢を願う:シャムにおける反体制革命運動(1932–57年)』(いずれもファーディアオカン)、『希望の政治』(マティチョン)、『コモンセンス』の翻訳本(Bookscape)*13、そして『1984年』、『動物農場』などの翻訳文学(ソムマティ)が、主要な売上ランキングで上位を占めるベストセラーとなったのである。ブックフェアでは、中高生たちが本を買うために列をなした。諸外国の社会運動の軌跡に関するさまざまな本を読むことは、デモに参加する人にとって、自分自身で新たな行動を起こし、新世代による社会運動の中で権利と自由のために闘おうとする際に、答えを出す助けとなり、勇気となった。
*13 Natthaphon Chaiching, 『将軍、封建制、ハクトウワシ:1948–57年の米国による世界秩序の下でのタイ政治』(Nonthaburi: Fa diao kan, 2020); Thomas Paine, 『コモンセンス』, Phakwadi Wiraphatphong trans. (Bangkok: Bookscape, 2020); Piyabut Saengkanokkun, 『希望の政治』(Bangkok: Matichon, 2019); Wachiranon Thongthep, 「解放する市民:新世代の人々の政治史書への興味は、民主化デモとどう関係しているのか」BBC Thai, 2021年9月4日閲覧, https://www.bbc.com/thai/thailand-53970497; Natthaphon Chaiching, 『信じられない夢の中で夢を願う:シャムにおける反体制革命運動(1932–57年)』(Nonthaburi: Fa diao kan, 2013); Kunlada Kasembunchu Mit, 『タイ絶対君主制の興亡』 Athit Chaimrattanyu trans. (Nontaburi: Fa diao kan, 2019).
ソーシャルメディアが、2020年代のタイの新世代の人々の社会運動の形成と発展において重要な要素となったことは否定できないが、ソーシャルメディアの成功は、ネットワーク効果だけによるものではなかった。新世代のクリティカルな活字メディアの成長と、活字メディア、ニュースメディア、ウェブメディアのハイブリッドこそが、民主政治の流れ、独裁や保守的支配層への抵抗、自由主義や社会民主主義の思想といったものを新世代の人々の主流の思想とし、2020年の新世代の人々による社会運動を拡大させた、重要な基礎的要素であったのである。
タイ語からの翻訳:宇戸優美子
カノックラット・ルートチューサクン
タイ国立チュラロンコーン大学政治学部政治学科助教授(博士)。比較政治学と市民社会運動が専門。 タイにおける若者の政治運動に関する現象に注目し研究している。
【参考文献】
- Kanokrat Lertchoosakul. “The white ribbon movement: high school students in the 2020 Thai youth protests.” Critical Asian Studies 53, no. 2(2021): 206-216.
- Sinpeng, Aim. “Hashtag activism: social media and the #FreeYouth protests in Thailand.” Critical Asian Studies 53, no. 2 (2021): 192-205.
- Kanokrat Lertchoosakul. 『白いリボンの間の(中での)冷戦』. Bangkok: Matichon, 2011.
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