国際交流基金アジアセンターは、2019年7月2日に「響きあうアジア2019」の一環として、「『サタンジャワ』サイレント映画+立体音響コンサート」の日本初演を実施しました。
『サタンジャワ』は、インドネシア映画の巨匠ガリン・ヌグロホ監督による「エクスパンデッド・シネマ(拡張映画)」のコンセプトの元、生演奏付きで上映するために制作されたサイレント映画です。2017年2月のオーストラリア・メルボルンでの海外初公演を皮切りに、シンガポール、アムステルダム、ベルリンといった世界各都市で、その地の楽団とのコラボレーションによる公演を成功させてきました。そして、この日本公演のためにサウンドデザイナー・森永泰弘が数か月に渡るリサーチとフィールド・レコーディングをもとに音楽・立体音響を全編新しく制作し、「水曜日のカンパネラ」として個性的かつ実験的な音楽活動を展開するコムアイ、およびインドネシアと日本の演奏家や舞台役者らとの共演により、世界初となる「立体音響コンサート版」として公演を実施しました。2回に渡る公演は盛況のうちに終わり、日本とインドネシアのアーティストがサイレント映画を媒介に音楽と舞台の制作プロセスを通して文化交流を行う、日本でも初となる貴重な試みとなりました。
また、公演後にポストパフォーマンストークを実施。14時の回では批評家の金子遊さんによる司会進行のもと、ガリン・ヌグロホ監督、森永泰弘さん、コムアイさん、そして、この公演のためにサプライズで来日した『サタンジャワ』主演女優のアスマラ・アビゲイルさんをステージにお迎えし、作品の背景や制作の舞台裏についてお話しいただきました。
来場者からの声
(一部をご紹介します)
- 貴重な機会にこのような芸術を見させていただきありがとうございました。終始心の線が張りっぱなしでした。
- 大変に印象深い作品でした。文化交流として、今後ももっとこのような作品を世の中に広めて下さること、発展を期待しています!
- モノクロの映画をベースに、その前の舞台でカラフルな民族衣装のゆるやかな踊り、背部からの恐怖、不安を誘う不協和音。立体的・多面的で素晴らしかった。(日本文化との共通性も感じられた。モノクロ映画=黒沢明の羅生門的でもあったし、傘・太鼓の共通性も感じられた。)
- 音楽、音響がとても良かった。映画や舞台でインドネシアの文化が日本に伝わってきているのではないかという興味にもつながった。コムアイさんや演者の楽器、演奏者を含め皆さんが素晴らしかった。拡張映画という新たなカルチャーについて今後の発展に期待できるものとして支援が必要だと思う。これからも頑張ってほしい。
「響きあうアジア2019 『サタンジャワ』 サイレント映画+立体音響コンサート」 イベント詳細
- 日時:2019年7月2日(火曜日) 14時 開演/19時 開演 (2回公演)
※各回ポストパフォーマンストーク実施 - 上映作品:
『サタンジャワ』SETAN JAWA 映画監督:ガリン・ヌグロホ/2016年/70分/モノクロ/サイレント - 音楽・音響デザイン:森永泰弘
- 舞台出演:
コムアイ(水曜日のカンパネラ)
ルルク・アリ・プラセティオ、ヘル・プルワント、ドロテア・クイン、グナワン・マルヤント、テグー・プルマナ、アクバル・ネンディ、ハイディ・ビン・スラメッ、アンドリ
斎木なつめ、小林妙子、惠藤あゆ、谷口宏樹、吉良都、増田久未、小出稚子 - 会場:有楽町朝日ホール
- 主催:国際交流基金アジアセンター
- 共催:公益財団法人ユニジャパン
- 特別協賛:ガルーダ・インドネシア航空
- 後援:駐日インドネシア大使館
- 音楽・音響製作:concrete
- 制作:(株)オカムラ&カンパニー
↓クリックしてパンフレットをみる [PDF:5.33MB]