第29回東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival)におけるアジア新鋭監督の登竜門である「アジアの未来」部門における「国際交流基金アジアセンター特別賞」受賞監督が、インド出身の監督アランクリター・シュリーワースタウ監督(『ブルカの中の口紅』)に決定しました。
国際交流基金アジアセンター特別賞は、文化の違いを越え、国際的な活躍が期待される新鋭監督に贈られます。今年の審査員は、松本正道(シネマテーク・ディレクター)、フィリップ・チア(映画批評家)の2名。受賞者には、トロフィーとともに、副賞として日本短期滞在(日本人が受賞した場合は、アジア滞在)の機会が贈呈されます。
受賞監督:アランクリター・シュリーワースタウ (Alankrita Shrivastava)
インド・ムンバイ生まれ。長編映画の監督として、女性の物語を手掛けることが多い。女性の複雑な内面を探るような作風を得意としている。
東京国際映画祭出品作:『ブルカの中の口紅』(2016)
浮気な夫に悩む妻、厳格な家に反抗する少女など、秘密を抱えた4人の女性を並行して描く、女性監督アランクリター・シュリーワースタウの新感覚インド映画。
監督: アランクリター・シュリーワースタウ
出演:ラトナー・パータク・シャー、コーンクナー・セーン・シャルマー、ほか
製作年:2016年
製作国:インド
アランクリター・シュリーワースタウ監督 コメント
「感激しています。やはりこういう作品を通してアジアのスピリッツというものを皆さまに知っていただけると思いますし、これがアジアの平和につながっていけばと強く感じています。当然ながらアジアは色々な国があり、色々な違いがありますが、アジアの国々が、またアジアに住む女性たちが一丸となってこの世に光を灯せるよう、もっと平和を皆さまに感じていただけるようにしていきたいと思います。」
審査委員代表・総評
「コメディと厳粛なドラマ、夢と現実、真実と挑戦。これらの要素が大胆に融合されている『ブルカの中の口紅』の二重化されたスタイルは、4人の登場人物の女性が強いられている二重生活を見事に写しとっている。この映画を見ながら私たちは、痛みを愉しみ、喜びを苦しむことを求められるのである。」 フィリップ・チア(映画評論家)
東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival, TIFF)
東京国際映画祭(以下、TIFF)は日本で唯一の国際映画製作者連盟(*注1)公認の国際映画祭です。1985年、日本ではじめて大規模な映画の祭典として誕生したTIFFは、日本及びアジアの映画産業、文化振興に大きな足跡を残し、アジア最大級の国際映画祭へと成長しました。いまや最も熱気溢れるアジア映画の最大の拠点である東京に、世界中から優れた映画が集まり、国内外の映画人、映画ファンが新たな才能とその感動に出会い、交流する場を提供します。2016年第29回東京国際映画祭は、10月25日(火曜日)~11月3日(木曜日)、六本木ヒルズ/ EXシアター六本木(港区)にて開催。
(注1)国際映画製作者連盟:世界の映画産業、国際映画祭の諸問題を改善し、検討する国際機関。パリに本部を置き、世界30か国(2016年7月現在)が加盟している。