国際交流基金アジアセンターは、2020年1月に「呼吸する地図たち」をタイのチェンマイとバンコクで開催します。
アジアにおける近代は西洋との交渉の過程と重なり、日本の近代化も、多くの地域が植民地化された東南アジアと内実は異なりますが、その例外ではありません。特に近代化の象徴的産物としての「地図」は、西洋の影響においてアジアの「国民」の創生、文化、経済、社会の変容を表出し、近代社会特有の空間概念や共同体意識を生み出す視覚的装置として機能してきました。タイの歴史学者であるトンチャイ・ウィニッチャックンは、近代地理学の所産である「地図」によって、近代国家としてのタイの空間概念、共同体意識(国民意識)が形成されてきたと指摘し、その概念を「地理的身体(geo-body)」と称しています。
本事業では、「地図」によって規定されてきた「地理的身体」を静的なものとして捉えるのではなく、「地図」と「地図」の間にある、さまざまな時層での社会の変容を読み解きつつ、人間のアクチュアルな身体的活動の集積から形づくられる「生きた地理的身体」を探求するものです。
今回タイのチェンマイでの実施は、2018年度に山口情報芸術センター[YCAM]で実施された事業のエッセンスを再構成し「響きあうアジア2019」の一環として実施した東京芸術劇場版に続き、いよいよ本事業を考える上で根幹にある「地理的身体」を提唱したトンチャイ・ウィニッチャックンの出身国であるタイにおいて最終形を実施するものです。
これまで島嶼部を中心に考えてきた東南アジアの国民国家形成と近代化ですが、大陸部の文化要素を加えさらに多様な考察を可能にし、ヴァージョンアップしたレクチャー、パフォーマンス、シンポジウムとして展開していきます。
イベント詳細
日程・会場 |
レクチャー/レクチャー・パフォーマンス シンポジウム |
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問合せ |
[東京] [バンコク] MAIIAM現代美術館 |
※参加・入場料など詳細は、1月以降にバンコク日本文化センターのサイトをご参照ください。
キュレーター
マーク・テ(ファイブ・アーツ・センター 演出家/リサーチャー、マレーシア)
井高久美子(インディペンデント・キュレーター、日本)
企画アドバイザー
クリッティヤー・カーウィーウォン(ジム・トンプソン・アートセンター芸術監督、タイ)
映像/アーカイヴ展示作家・研究者
カルロス・セルドラン(アーティスト、フィリピン)
ファリッシュ・ヌール(歴史学者/南洋理工大学教授、シンガポール/マレーシア)
ジャネット・ピライ(社会学者、マレーシア)
レクチャー/レクチャー・パフォーマンス出演者
ホー・ツーニェン(アーティスト、シンガポール)
ホー・ルイアン(アーティスト、シンガポール)
イルワン・アーメット+ティタ・サリナ(アーティスト、インドネシア)
チャーンウィット・カセシリ(歴史学者、タイ)
クリッティヤー・カーウィーウォン(キュレーター、タイ)
タナウィ・チョーパラウィット(美術史家、タイ)
モンタティップ・スクソバ(創作人形劇作家、タイ)
小原真史(キュレーター/写真批評、日本)
神里雄大(演出家/劇作家、日本)
シンポジウム
トンチャイ・ウィニッチャクン(歴史学者、タイ)
マーク・テ、井高久美子、イルワン・アフマッド、ティタ・サリナ
スケジュール
- 1月25日(土曜日)
会場:MAIIAM現代美術館
13時:[オープニング特別ツアー]
クリッティヤー・カーウィーウォン「San Kamphaeng 101:特別な寺院・食べ物・工芸・スタジオツアー」
※要事前申込み。受付用メールアドレス:booking_acd@jfbkk.or.th
ランチ代として200THBを当日お支払いいただきます。19時:[レクチャー・パフォーマンス]
チャーンウィット・カセシリ「帝国の酒杯と私」
(演出:カゲ・ティーラワット・ムンウィライ、ノンタワット・ナムベーンジャポン、アナン・クルットペット) - 1月26日(日曜日)
会場:MAIIAM現代美術館
(モデレーター:シン・スワンナキット)
14時:[トーク]
タナウィ・チョーパラウィット「地図、追悼、記念碑」15時:[トーク]
小原真史「内国勧業博覧会における『人間の展示』」 - 1月27日(月曜日)
会場:MAIIAM現代美術館
19時:[レクチャー・パフォーマンス]
イルワン・アーメット&ティタ・サリナ「ネーム・ロンダリング」 - 1月28日(火曜日)
会場:The Wandering Moon Theatre & Thepsiri Art House GoogleMap
18時:[トーク&ドリンク]
神里雄大「不思議な出会い:アユタヤと泡盛」20時:[レクチャー・パフォーマンス]
モンタティップ・スクソパ「影の世界」 - 1月29日(水曜日)
会場:MAIIAM現代美術館
19時:[レクチャー・パフォーマンス]
ホー・ルイアン「アジア・ザ・アンミラキュラス」 - 1月30日(木曜日)
会場:MAIIAM現代美術館
19時:[レクチャー]
ホー・ツーニェン「東南アジアのクリティカル・ディクショナリー」 - 2月1日(土曜日)
会場:Ayara Hall, Jim Thompson House
14時から17時:[シンポジウム]
「地理的身体と忘却のはざまに」
トンチャイ・ウィニッチャクン、イルワン・アーメット、ティタ・サリナ、井高久美子、マーク・テ
本事業はbeyond2020の認証事業です。