オンライン・アジアセンター寺子屋第5回・第6回――いま、アジアの30年を振り返る意味とは

Report / Asia Hundreds

危機の先にあるもの

最後にパンデミックの先にあるものを展望するにあたり、第5回、第6回に参加した識者の声から筆者の印象に残ったものを拾い上げてみたい。

アジアに対して日本はどのような貢献ができるのか

  • 日本もアジアの一員であるという意識をもって、その多様性を楽しみながら仲間を作り、アジアの若い力とともに未来につなげていきたい。(竹中さん)
  • 日本の成功も失敗もアジアと共有することが重要。もはや国単位では大きすぎる。アジアの場所、場所で始まっている各地の文脈にあった課題解決を探るプロセスを大事にしよう。(利根さん)
  • 情報や新しい発想の集積は東京からシンガポール、香港などアジアの都市に移ってきている。待っているのではなく、そういう場に出かけて交流し、摂取する積極性をもちたい。(藤谷さん)
  • 日本はこれまで1)平和国家であること、2)日本文化の力、3)ODA、4)平和構築と人間の安全保障でアジアの共同体作りへ貢献してきた。今後は5)環境保護面でも貢献を期待したい。(ラムさん)

危機を乗り越えるアジアの智慧、希望

  • 自分を守ることによって他者を守り他国の人々も守ることになる。逆もまた同様。外国の人々や他者を感染から守ることは最終的には自分を守ることになる。(グナワンさん)
  • 政府が国民に情報公開し、市民参画を進めることが重要だ。すべての人に敬意をもって接するちょっとした政府の配慮が パンデミックを制御する助けになる。(ウルワシさん)
  • 言葉の力や、違ったモノの見方を提示するのが、知識人や芸術家の役割。皆が迷い悩む状況のなかで違った世界観、指針を示す人の存在は貴重。また今は友達を作る好機と捉えたい。(小熊さん)
  • 政府の限界、市民社会の可能性が可視化され、昔ながらの助け合いや宗教的な喜捨が貧困層支援の大きな力になっている。政府と市民社会は、役割を分担しさらなる連携を進めるべき。(堀場さん)

今回の企画が、国境を越えた共感を育んでいくことの意義を顧みる一助となれば幸いである。

オンライン・アジアセンター寺子屋第5回 登壇者の集合写真
オンライン・アジアセンター寺子屋第6回 登壇者の集合写真

【アーカイブ映像】


撮影:佐藤 基