インターネットが日常化して以降、メディアテクノロジーを用いた次世代を中心とする表現活動は、SNSなどを通じて個々人がつながり、異なる専門性や領域が融合したものづくりやオルタナティブなシーン形成を促してきました。そこには、デジタルテクノロジーを駆使した新しいアイデアや創作方法、そして国境を越えて影響しあう文化発展の姿も垣間見えます。
本報告書は、このような文化形成のプロセスを、創作、発信、そしてネットワークという一連の流れから検証した第3回メディアアート国際シンポジウム「インターネット以降の文化形成―創作、発信、ネットワーク―」の記録です。今日のネット社会において創作活動はどのように変容し、それらを支える文化環境には何が求められているのかという問いのもと、インターネットを通じて活動するアーティストや、新たな表現を発信するディレクター・キュレーター、アジアでメディア展開を進める編集者らの実践の紹介とともに、今後日本をはじめとするアジアにおいてどのような文化が形成されるのか、その一端を探りました。
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【目次】
はじめに──報告書発行にあたって
[第1部]ネット社会における創造とは
- 古家電で作る電磁民族楽器は国境を越えるか
和田永 - 古代宗教と最先端科学の大胆な混淆から生まれるメディアアート
ルー・ヤン - メディアを再定義する、次世代を教育する、関係性を刺激する
Eyedropper Fill(ワッタナプーム・ラーイスワンチャイ、ナンタワット・ジャラットルアンニン) - コンピューターの進化、そして建築とデザインの未来
豊田啓介 - ノードをアレンジする──仮想の地域の形成
tomad
ディスカッション&質疑応答
和田永×ルー・ヤン×Eyedropper Fill×豊田啓介×tomad | 畠中実
[第2部]新たな表現はいかにしてプロデュースできるのか
- メインストリームへの抵抗──インターネット、体験、複製
金澤韻 - How can we play together? ──即興演奏とアーティストネットワークの形成
dj sniff - 普遍性とグローバル化からインターネットを解放する
リアル・リザルディ
[第3部]アジアのカルチャーシーンをつくるには
- 継続的に関係性を構築する重要性──「アジアの音楽」特集を発刊して
川田洋平 - 複合的なプラットフォームを通して、アジアの若き「カルチュラルクリエイティブス」に届ける
マーヴィン・コナナン - オンラインメディアにおける協働──国境を越えたローカルカルチャーの共有
和田哲郎、チェ・ジャンミン+クォン・ヒョギン
[最終部]ポストインターネットとアジアの同時性
モデレーターによるディスカッション&質疑応答
畠中実×金澤韻×若林恵
シンポジウム主催者について
2020年2月21日発行
発行:独立行政法人国際交流基金アジアセンター、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
編集担当:廣田ふみ、鹿島萌子(国際交流基金アジアセンター)
編集・執筆:阿部謙一
英文執筆:ウィリアム・アンドリューズ
※英語版PDFは、英語ページよりダウンロードいただけます。
開催概要
開催日 | 2019年2月2日(土曜日)、3日(日曜日) |
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会場 | NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] |
登壇者 | 和田永(アーティスト、ミュージシャン)[日本] ルー・ヤン(アーティスト)[中国] Eyedropper Fill(ワッタナプーム・ラーイスワンチャイ、ナンタワット・ジャラットルアンニン)(マルチメディア・デザイン・チーム)[タイ] 豊田啓介(建築家/建築デザイン事務所noiz共同主宰)[日本] tomad(オーガナイザー、DJ/Maltine Records主宰)[日本] dj sniff(ターンテーブル奏者、DJ、キュレーター)[日本] リアル・リザルディ(アーティスト、研究者)[インドネシア] 川田洋平(編集者)[日本] マーヴィン・コナナン(「PURVEYR」設立者、編集長)[フィリピン] 和田哲郎(『FNMNL』編集長)[日本] チェ・ジャンミン+クォン・ヒョギン(『VISLA Magazine』設立者、編集長)[韓国] 畠中実(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員)[日本] ⾦澤韻(インディペンデントキュレーター/十和田市現代美術館学芸統括)[日本] 若林恵(編集者)[日本] |
主催 | 国際交流基金アジアセンター、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) |
特別協力 | NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東日本電信電話株式会社) (東京2020公認プログラム) |
イベント詳細 | 第3回メディアアート国際シンポジウム「インターネット以降の文化形成―創作、発信、ネットワーク―」 |