
2025年、第二次世界大戦後80年を迎える節目に、日ASEAN青少年平和交流・対話事業 ASEAN-Japan Peace Ambassador Project (AJPAP) を立ち上げ、第1回目の日本研修が平和記念都市・広島を中心舞台として実施されました。
今後も毎年度、ASEANの3~4か国と日本の高校生、合わせて10~15名がともに対話と協働を通じて平和を考えるプロジェクトを継続します。
初回のAJPAP2025では、インドネシア、フィリピン、ベトナム、日本の高校生計12名が広島に集まりました。参加者は、専門家によるレクチャーやワークショップ、広島平和記念資料館、平和記念公園や宮島・弥山などでのフィールドワーク、アート作品の共同制作などに取り組み、学びと対話を通じて、平和を多角的に探究しました。
【1日目:10月31日(金曜日)】
来日したASEANからの参加者を対象にしたオリエンテーションでは、黒澤信也JF理事長と権田藍外務省文化交流・海外広報課長からのメッセージを聞き、訪日プログラムに臨む姿勢や目的を確認、共有しました。
午後は広島に移動し、広島駅で出迎えた日本の参加高校生らと合流しました。
夜は参加者全員でプログラム全体の流れを改めて確認するとともに、広島のソウルフード、お好み焼きを楽しみながら親睦を深めました。


【2日目:11月1日(土曜日)】
広島平和記念資料館を全員で視察した後、小学生で被爆した体験をもつ田中稔子氏の証言・講話に耳を傾けました。被爆の記憶や被害・加害の関係性を超えて世界中で友情を育んできた田中氏との対話を通して、「世界中に友だちをつくってください」というシンプルながら大切なメッセージを受け取りました。
その後、参加者は、広島で活動する同世代のガイド「ピースバディ」の案内で平和記念公園を巡りました。語り合いながら、共に考え、意見を交わす、この「PEACE DIALOGUE」プログラムを通して、日本とASEANの若者たちは爆心地にかつてあった日常の暮らしに思いを巡らせ、被爆の実相や戦争の記憶を学びながら平和についての考えを深めました。
午後には、PCVの住岡健太氏のファシリテーションのもと、自身の関心や得意分野と平和構築を結びつけて考えるワークショップに取り組み、平和を「自分ごと」として捉え直す機会となりました。


【3日目:11月2日(日曜日)】
宮島に移動し、ここでは自身の内面と向き合い「内なる平和」について考えました。
宮島では参加者全員で、弥山山頂の不消霊火堂までトレッキングを行い、前日に訪れた平和記念公園の「平和の灯」の種火となったことでも知られる、1200年以上燃え続ける「消えずの火」をランタンに移し、大聖院へ持ち帰りました。
大聖院では、ももえ氏(Zen Eating代表)のワークショップを受け、同院の吉田大裕副住職の指導による瞑想を行い、個々の内なる平和に静かに向き合う時間を設けました。
夜には境内で焚火を囲み、持ち帰った「消えずの火」を前に、参加者同士がこれまでの学びや感じた思いを語り合いました。


【4日目:11月3日(月曜日)】
最終日は広島市内に戻り、ASEAN事務局 教育・青年・スポーツ部門のカマル・ママット氏による講話の後、広島を拠点として活動する現代アーティスト・有田大貴氏の指導のもと、参加者全員で共同アート作品を制作しました。
高校生たちが自国からそれぞれ持ち寄った「私が平和を想起する写真」と、平和記念公園「原爆の子の像」に捧げられた折り鶴(広島市より提供)を素材として用い、モチーフやデザイン、役割分担を相談しながら、大型作品1点と、それぞれが持ち帰る小さい作品各1点を作り上げました。
夜のフェアウェル・レセプションでは、プログラムの締めくくりとして、佐藤百合JF参与(当時)より修了証が授与され、参加者一人ひとりがPeace Ambassadorとしての決意を表明しました。


【2026年1月12日(月曜日)】
ジャカルタのASEAN本部において、サン・ルウィンASEAN事務次長とASEAN日本政府代表部の米谷光司大使臨席のもと、成果報告・作品寄贈式を実施しました。インドネシアからの参加高校生3名と引率教員1名、佐藤百合JF参与他が対面で、他の参加高校生・引率教員らはオンラインで参加しました。
各国の参加者たちがそれぞれPeace Ambassadorとして本事業で得た学びや気づきを発表し、AJPAP2025の取組みと成果を関係者間で共有するとともに、今後の継続的な交流・連携に向けた意義を確認しました。
その後、代表の高校生からサン・ルウィン事務次長へ、「A Piece of Peace」と名付けた大型の共同制作アート作品が寄贈されました。この作品はASEANギャラリーに収蔵され、1か月間展示されました。


概要
| 開催期間 | (日本研修)2025年10月31日(金曜日)~11月3日(月曜日)/(成果発表)2026年1月12日(月曜日) |
|---|---|
| 開催国 | 日本、インドネシア |
| 会場 | (日本研修)広島、東京/(成果発表)ジャカルタ |
| 関係する国 | 日本、インドネシア、フィリピン、ベトナム |
| 参加者 | 高校生 【日本】 淡野 瑛斗(Awano Eito)/ AICJ高等学校 花野木 陽(Hananoki Haru)/ 崇徳高等学校 饒 美希(Jyou Miki)/ AICJ高等学校 【インドネシア】 カルマ・サルサビラ(Calma Salsabyla)/ SMA Negeri 8 Jakarta ガブリエラ・カリン・レシャナ(Gabriella Karin Resyana) / SMA Negeri 8 Jakarta キャンダーシャ・ガブリエル・ダニエル・アバディ・ピトイ(Kyandasha Gabriel Daniel Abadi Pitoy)/ SMA Negeri 8 Jakarta 【フィリピン】 ダクモス・イドレニエル・アゴホ(Dacumos Idhreniel Agojo)/ Marist School Marikina ラモス・ザカリー・ジョン・ラバナル(Ramos Zachary John Rabanal)/ Palawan National School タン・ヨハン・セス・バセラ(Tan Johann Seth Bacerra)/ Senior High School Unit of Ateneo de Zamboanga Univ. 【ベトナム】 ズオン・ニャット・ミン(Duong Nhat Minh)/ Ta Quang Buu Secondary School and High School グエン・コイ・アイン(Nguyen Khoi Anh)/ Ta Quang Buu Secondary School and High School グエン・ミン・カイン(Nguyen Minh Khanh)/ Ta Quang Buu Secondary School and High School 引率教員 【インドネシア】 ファクリザル・アルシ(Fakhrizal Arsi)/ SMA Negeri 8 Jakarta 【フィリピン】 ピオキント・ジェフリー・ウリアン(Pioquinto Jeffrey Urian)/ Senior High School Unit of Ateneo de Zamboanga University 【ベトナム】 ギエム・ティ・トゥイ・ガ(Nghiem Thi Thuy Nga)/ Ta Quang Buu Secondary School and High School オブザーバー カマル・ママット(Kamal Mamat)/ ASEAN事務局 ※アルファベット順・敬称略 |
| 主催 | 国際交流基金(JF) |
| 共催 | NPO法人Peace Culture Village(PCV)(2022年度国際交流基金地球市民賞受賞) |
| 協力 | ASEAN事務局 ※1月12日の催しはASEAN事務局との共催で実施。 |
JFサイト
国際交流基金 - 日ASEAN青少年平和交流・対話事業 ASEAN-Japan Peace Ambassador Project (AJPAP) 2025







