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“日本語パートナーズ”が紡ぐ、たくさんのストーリー

「インドネシアに呼ばれてくる」そんな言葉を以前、国際交流基金ジャカルタ日本文化センターの職員の方に教えていただいた。それ以来、「どうしてインドネシアに来たの?」という質問には「インドネシアに呼ばれたからだよ」と答えている。二番煎じではある(のは隠している)けれど、運命のちょっとしたイタズラを感じさせる、なかなかしゃれた答えだと個人的には思っている。

そんな運命的な出会いを果たしたインドネシアとも、あと1カ月で別れを告げなくてはならない。さよならだけが人生だ、なんて感傷にも浸りたくなる今日このごろ。幸いにも私はインドネシアを好きになることができたようだ。

恐らく、帰国すればいろいろな人から「インドネシアって、どういう国?」と聞かれるだろう。しかし、「インドネシア」について説明するのは私の手に余る仕事だ。私にできるのは、「私にとってのインドネシア」を伝えること。それは、このプログラムを通じて、私が出会った人々、聞いた言葉、見た光景が織りなすいくつものストーリーを伝えることである。

例えば、イスラーム。私がイスラームについて考える時、頭に浮かぶのは友人のブラムだ。ある日、彼の家に遊びに行った時のこと。テーブルの上に親指の爪ほどの大きさのクモがいた。虫アレルギーの私がとっさにティッシュでつかみ取ろうとすると、彼が止めた。すると、彼は近くの紙の上にクモを乗せ、窓の外へ逃した後、静かに言った。「どんな生き物も殺してはいけないんだ」

“日本語パートナーズ”が海外で紡ぐストーリーは、このプログラムの貴重な財産になると思う。3,000人のパートナーズがいれば、何万、何十万もの物語が生まれるだろう。こうした物語が外国という、よくわからない、ともすればステレオタイプなイメージを抱いてしまいがちな場所について、より多様で、より深みのある視点を与えてくれると思う。「“日本語パートナーズ”の次はストーリーテラーズか」なんてことを最近は考えている。

 

写真
友人のブラム
Writer
インドネシア 西ジャワ州
松田 将吾さん

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