私はタイ南部のナコンシータマラート県に来ています。南というとリゾート地として知られているプーケットやクラビを思い浮かべる方が多いかもしれません。私のいるナコンシータマラート県はそれらの反対側、マレー半島の東側に位置しています。
南部の特徴として「食べ物が辛い」「方言があり、話すスピードが速い」と言われます。ここに来る前は、「辛い物ばかりで食べられるものがなかったらどうしよう」「タイ語の勉強を始めたばかりなのに、方言がある上に話すのが速いなんてどうしよう」と不安でしたが、来てみると心配だったことは全て忘れてしまいました。辛い食べ物ばかりではありませんし、辛いかどうか食べる前に訊けばいいだけです。方言はあるけれど、タイ語の拙い外国人に方言をたくさん使う人はあまりいません。
もう一つ、南部の特徴として、イスラム教徒(ムスリム)が多いことが挙げられます。マレーシアに近いこともあり、ヒジャブをつけた女性など街中でイスラム教徒(ムスリム)の姿を多く目にします。ハラールマークのついたレストランもたくさんありますし、祈祷室(Player room)が用意されているお店もあります。学校の給食にもイスラム教徒(ムスリム)用のハラール食が用意されています。
ナコンシータマラートは古くからタイ南部の仏教の中心として栄えた街ですが、一方で、複数の宗教が共存している街です。街中には仏教寺院やイスラム教のモスクだけでなく、道教の寺院、キリスト教の教会、ヒンドゥー教の寺院があります。しかも、仏教寺院にいると近くのモスクからイスラム教のアザーン(礼拝の呼びかけ)の声が聞こえてきたり、仏教寺院の向かいに道教の寺院があったりと、ごく自然に様々な宗教が共存しています。
私が住んでいる地域は街の中でもあまり外国人が来ないところなので、近所の人たちはもちろん、滞在しているホテルのスタッフも基本的にタイ語しか通じません。でも、毎朝「サワッディーカー!(おはようございます)」と笑顔で挨拶をしていたら、買い物に出るときに「パイナイ(どこに行くの)?」、学校帰りに「ヌアイマイ(疲れた)?」と声をかけてくれるスタッフ、近所の人が増えてきました。顔を合わせると笑顔を返してくれる人がいる。ここに来てもうすぐ3ヶ月、とても居心地の良い場所です。