私は、ワットアルンや王宮、チャオプラヤー川を往く“船のバス”など、バンコクらしい景色に囲まれて生活しています。
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ワットアルンは10バーツの硬貨に描かれている有名なお寺ですが、タイのドラマのロケ地としても定番の場所らしく、学校付近でドラマの撮影が行われることもあるとか。先日は、芸能人がバラエティ番組の撮影で学校に来ていました!
そのためか、生徒たちからは可愛さと同時に「都会っ子」らしさも感じます。制服の上にお気に入りのパーカーを羽織って登校する生徒。放課後は毎日塾に通っている生徒。あるいは近くのショッピングモールでアイス片手にだべっている生徒…。日々目の当たりにするのは、バンコクの現代っ子たちのリアルな生活です。
アイドルのようにかわいい生徒の皆さん
そんなある日、CP(現地日本語教師)の提案で、高校1年生に「あいさつとお辞儀の授業」をすることになりました。私は日本の会社で新入社員研修を受けた時のことを思い出し「3つのお辞儀」について紹介することにしました。軽い挨拶のときは1秒、感謝のときは2秒、謝罪の時は3秒頭を下げる、というもので、これを「こんにちは」「ありがとう」「ごめんなさい」と一緒に練習する授業を考えていました。
授業当日、私はまず生徒たちに「1秒のおじぎ、2秒のおじぎ、3秒のおじぎがあります。何だと思いますか?」と聞いてみました。するとすぐに答えが返ってきました。「友達にする時は1秒、親や先生には2秒、お坊さんには3秒、ですか?」私はしばらく、ははぁ~と納得し、自分が教えることを忘れてしまいそうになりました。日本の文化について授業するつもりが、生徒たちからタイの文化を教えてもらっていました。そして、現代っ子たちにも脈々と受け継がれる、年長者や僧侶を敬うタイ人の心を実感したのです。
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日本語パートナーズは教師のようでいて、実は学びの連続です。今度はタイの挨拶「サワディカー」の作法を、生徒たちに教えてもらいたいな!
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