わたしの住んでいるクイニョンの名物料理の1つに「バインセオトムニャイ」という料理があります。「バインセオ」とは、薄くのばした小麦粉の生地の上に、玉ねぎやもやしをのせて焼いた料理で、「トム」は海老、「ニャイ」は踊る=ピチピチと跳ねて新鮮、という意味だそうです。ティーカップの受け皿ぐらいの大きさで、半分にカットしたものと野菜をライスペーパーに包んで、ヌクマム(魚醤)風味の甘辛いたれにつけて食べます。わたしはこの「バインセオトムニャイ」が大好きです。
このたび、普段お世話になっているカウンターパートの先生やアメリカ人の先生、そしてベトナム人の友人たちを招待し、日本の「バインセオ」=「お好み焼き」を紹介しました。わたしは広島出身ですが、今回は関西風のお好み焼きを作ることにしました。材料はお好み焼きソース以外、すべて地元の市場とスーパーで調達することができました。日本で売られているお好み焼き専用の粉はないので、小麦粉と玉子を合わせ、そこへ刻んだキャベツを混ぜてフライパンで焼くという大変シンプルなものでしたが、想像していたよりもとても美味しいお好み焼きができました。次は、こちらでよく見かける干しエビや、ベトナム料理に欠かせないフォーやブンなどの麺を加えたり、おなじみの甘辛ダレやチリソースで食べたりしてもおもしろいなと思いました。
わたしたち日本語パートナーズには日本語だけでなく、日本の文化を伝えるという役割があります。伝統文化やポップカルチャーなど日本独自の文化を伝える一方で、わたしたちが帰国した後でも、気軽に生活に取り入れてもらえるものを紹介することもまた大切だと感じます。現地で受け入れてもらうためにはちょっとした工夫が必要なこともありますが、それらを考えることも楽しいです。今回はみなさんお好み焼きを喜んでくださり、わたしにとっても大変有意義な時間となりました。
こちらが地元クイニョンの名物料理「バインセオトムニャイ」です。