バンドンで生活する中で、今でも多く話されているのがスンダ語です。バンドンはスンダの街ともいわれ、私の派遣先の国立第15高等学校に初めて来たとき、校長先生が最初に教えてくださったことばが、スンダ語の「Wilujeng enjing.」(おはようございます)でした。また、スンダ語の授業もあります。スンダ語の試験のとき、私も生徒の朗読を聞きました。スンダ地方に伝わる伝説で、バンドン市内から眺められる火山、Tangkuban perahu (タンクバンプラフ)に由来する伝説、「サンクリアン物語」の一部だそうです。朗読は格調高く何か自然への畏敬が感じられました。そして、校内にはスンダの伝統的な休息の場、Saung(サウン)があります。まさに、スンダ語・スンダ文化が次の世代に引き継がれている典型的な例と言えるでしょう。
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校内にあるサウン
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職員室で行われていたスンダ語の朗読試験
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スンダ語の教科書
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船をひっくり返したという意味のある
ジャワ島、最大級の火山タンクバンプラウ
生徒たちからスンダ語の教科書を見せてもらいました。スンダ語は、日本と同じように敬語があるそうです。
バンドンに生活して3か月余り、その間、幸運にも4つの結婚式に出る機会に恵まれました。それぞれの結婚式は、イスラム教の儀式に基づいて結婚の儀がモスクで執り行われますが、それが終わると花嫁花婿はスンダの伝統衣装を着て登場します。そして、そこでは結婚を祝うスンダのダンスが披露されます。スンダの伝統的楽器の琴、kacapi(カチャピ)や笛、Suling(スリン)の音色に合わせて、会場に響き渡る太鼓、Gendang(グンダン)の音が心地よく、ここでもスンダの伝統を見ることできます。
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スンダの伝統衣装
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新郎新婦の前で披露されるスンダの踊り
また、市内には多くのスンダ料理のレストランがあります。中でもKampung Daunは有名です。ピーナツベースのソースでインゲン豆などの野菜をあえたLotek(ロテック)は、日本の胡麻和えに似ています。スンダ料理の代表といってもいいでしょう。
このようにバンドンは、言語、食事、音楽、学校、結婚式と生活のなかに、スンダの伝統が今も引き継がれています。
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放課後のクラブ活動で、スンダの舞踊Jaipon(ジャイポン)を先生から習う高校生たち