西ジャワ州のCibinongでの7か月間が、終わろうとしています。赴任校の日本クラブには、歌や踊りが大好きなメンバーが集まっています。そこで、活動の集大成として、3月11日にボゴール地域で開催された文化祭では、日本のわらべ歌を取り入れた音楽劇『ひなまつり~昔懐かしいあの頃によせて~』を上演しました。季節感を絡めた日本文化の紹介と、着物を着ての活動がねらいでしたが、いざ稽古が始まると、いろいろと苦戦しました。
日本クラブの練習場所は、吹きさらしのテラス。天気がよければ問題ないのですが、雨期のインドネシアでは、午後の稽古の時間にきまって雨が降ります。タイルの床が水浸しになって、すべりやすくなることや、着物を着たりたたむのに不便な点が多くて悩みの種でした。
また、赴任校では学年やコース別に授業が二部制で行われているため、時間割がまちまちで、全員で稽古できるのは土曜日の夕方のみ!さらにインドネシアはJam karet(時間はゴムのように伸びる)という言葉が象徴するように、時間に関してきわめて緩いお国柄です。練習時間に、みんなが揃わないこともしばしばありました。
演劇は、キャストの誰かがいないと稽古が効率的に進みません。同時に、限られた人数でキャストが衣裳や小道具の仕事も並行してこなす必要がありました。さまざまな困難を前に、一時は音楽劇上演の存続が危ぶまれて、みんなで「このまま続けるのか、それともやめるか」と会議を開いたこともありました。
「日本クラブ」の自治能力が試される時でした。ふだんは大人しく、黙々と仕事をこなす副会長の女子が、メンバーを前に立ち上がってみんなの意見を引き出し、話し合いが続きました。彼らのまなざしは真剣そのものでした。
今、無事に上演が終わり、改めて振り返ると、瀬戸際でのみんなの真剣な姿が目に浮かびます。活動とは、形にすることだけでなく、そのプロセスが大切なのだと改めて気づかされた、貴重な体験です。