3月に初めてベトナムをご訪問された天皇皇后両陛下はこのフエにもいらっしゃり、ベトナム最後のグエン王朝の王宮を尋ねられ、宮廷音楽を楽しまれました。そして3月4日、フエの日本語パートナーズ(NP)4人の内、私と同期の宮本さんの二人が光栄にも謁見させて頂きました。
緊張しながらお二人をお待ちした私達12人(ダナンとフエの企業の代表と日本語教育関係者、漆絵をされている女性)に、日本の味が懐かしいでしょうとおっしゃって和三盆をくださいました。とても上品なお菓子で、食べるのが勿体なかったです。
お二人はゆっくりと登場され、私達一人一人に質問されました。日本語パートナーズです、と紹介した私に、陛下は「どうですか?」とゆっくりとした口調で質問なさいました。
フエでの活動を説明させて頂き、生徒が皆日本語に大変興味をもって、一生懸命勉強してくれている事をお伝えし、「時々歌で楽しく日本語を覚えてもらうよう工夫しています」とお伝えすると「どんな歌ですか?」とすかさず尋ねられました。
両陛下の前で歌うのは憚れたのですが、ここは度胸で「むすんでひらいて~♪…その手を口に~♪」と振付と一緒に歌い「その手を~♪で鼻や耳に変えて歌って、顔の部分の名前を覚えてもらいます。子供たちは、すぐ覚えて喜んで歌ってくれます」と説明しました。
私が歌いだしたのをビックリしたようなお顔で見ておられましたが、「そうですか。」と温かい笑顔でお答え下さいました。汗が出て、喉がカラカラになり、手にしていたグラスのビールをガブリと飲み干しました。
続いて来られた美智子様は、本当に優しいお声で、フエでの生活について尋ねられました。とても楽しく有意義に過ごしている事を話し、子供のころから憧れていて、お会いできて本当に感激です、と申し上げました。感激で涙も出てしまいました。
短い時間でしたが、とても心温まる時間を過ごさせていただき、フエでの一番の思い出になりました。