9月から10月にかけて、日本の高校でも学園祭の季節でしょうか。インドネシアの高校でも「Pentas seni」(通称ペンシ)と呼ばれる学園祭があります。私の派遣校のペンシでは、朝と夜の2部に分けてステージ発表が行われました。朝の部は午前7時から11時まで、合唱やマーチング、踊りや寸劇に出演する生徒と先生方が主役です。夜の部は午後4時から9時頃まで、毎年恒例で著名なバンドを招く野外ライブが盛り上がりました。
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「ソーラン節はできますか。」ペンシ当日からさかのぼること1カ月前、CP(カウンターパート)の先生が私に尋ねました。詳しく聞くと、11年生(高校2年生)のクラスで募った有志の生徒に「日本の踊り」を教えてほしいとのこと。確かにソーラン節は日本でも学園祭の定番で、私も小中学生の頃に経験があります。踊るのは約10年ぶり、うろ覚えで自信がないままに引き受けたものの、教室に集まった9人の女子生徒にこんな提案をしてみました。「“恋ダンス”はどうでしょう。」恋ダンスは昨年流行した「日本の踊り」であり、ペンシで披露して彼女達が注目を集めるのに、ぴったりだと思えたのです。

インドネシア語で「愛の踊り」と訳して曲を聴き、ノリノリになった私達は翌週から練習を開始。拍をとり、次から次へと新しい振付を覚えていきます。メンバーが全員は揃わない日もあったり、終盤の速い振付に苦戦したりしながらもペンシ本番が迫ってきました。
迎えた当日の朝、彼女達は発表直前までメイクに余念がありません。
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前日までは少し硬かった表情も、校庭の真ん中で踊り出すと、晴れやかになりひと安心。恋ダンスを終えるとはっぴを脱ぎ、授業で教育実習生から教わった中部ジャワの伝統舞踊も続けて披露しました。
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「日本の踊り」に挑み、網を引く漁師のたくましさではなく、恋のときめきを可憐に表現した学園祭でした。日本語パートナーズとして、インドネシアの高校生の学校生活に花を添えていきたいです。
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