派遣前には長く感じていた10か月という滞在期間が、あっという間に残り僅かになってしまいました。派遣先の学校はもとより、住居周辺にも日本人が全くいないうえに、日本にはない「先生の日」、「日本語キャンプ」、「アセアンの日」といった学校行事や、学校内で行われるタンブン(喜捨)、毎朝の朝礼などの違いにも驚きや感動の連続でした。
それでも、ここまで過ごしてこれたのは、大変多くの人達から助けられたおかげです。学校では、教員経験のない私を「せんせい」と呼び、一緒に学校食堂で朝・昼食を食べ、馴染んでくれた生徒、担当クラス外でも、気軽に挨拶をしたり、話をしてくれた生徒や先生。苦手な辛いものを避けて、私に合わせた美味しい料理を出してくれた屋台のおばさん、道に迷っていたら自分のノートに地図を書いて渡してくれた高校生などなど。
滞在期間中には、悩みや苦しみもありましたが、それを上回る、タイの方々や、多くの仲間に支えられ、大きな病気や事故もなく過ごせたことは、最高の幸せな思い出になったと言っても過言ではありませんし、受けた親切の思い出には限りがありません。
赴任前に、知り合いから「その歳で海外生活?」などと冷やかされて来た、タイ。我が人生でも、この10か月は、何年にも匹敵するような様々な思い出と経験が出来ました。しかし、学校の生徒に対し、私がどれだけ職責を果たすことが出来たか、忸怩たるものがありますが、残っている期間を精進し、素晴らしい生徒のため、日本についてさらに紹介し、伝えたいと思います。
終わりに、お世話になった生徒や先生はもちろん、私の愛する学校とタイが今後ますます発展していくことを願ってやみません。また、これから「日本語パートナーズ」を目指す皆さん、ぜひ挑戦し、日本と派遣先の懸け橋になって、出会いと交流の輪を広げてください。