「山本も一緒に健康体操大会に出ようよ!」
青天の霹靂。生徒から突然の誘いを受けました。本番まで残り3日だったと思います。
「健康体操」とは日本のラジオ体操のように生徒の健康維持を目的としていますが、中国武術の動きやダンスの要素が取り入れられた激しい動きを伴う体操です。
大会は各学科対抗で行われ、クラス全員で体操し、チアダンスコンテストのように全体の動きや統一感、覇気などを審査するというものです。
誘われた時は嬉しかったけど、正直、生徒の輪の中に入って体操する自信がなかったので、困惑しました。
しかし、興味もあったので、練習を見学しに行く事になりました。
すでに気温30度を超えるグラウンドで、大汗を流しながら必死に練習する生徒達。真剣な姿に心を打たれました。
結果的に「号令係(入場と整列の掛け声)」を務めることとなり、「日一忠(日本語科一年生)」、「跑步(駆け足)」、「走(走れ)」と言うことになりました。
それから大会まで炎天下の中、生徒達と一緒になって、何時間も大声を張り上げて掛け声の練習や入退場の練習を重ねました。
迎えた本番当日。私は折り紙でお守りを用意し、生徒達は体操服を用意してくれました。
お揃いの体操服に袖を通したら「高校生いけますよ」と言われ、みんなに笑われました。人生2度目の高校生をやるなんて想像もしていませんでした。
そして本番直前にみんなで手を重ねて、想いをひとつにし、全力で挑んだ結果3位に入賞する事ができました。
結果発表の瞬間、「生徒達の歓喜の輪の中」にいて、自然とハイタッチを交わす自分がすごく不思議で、そこには国籍や年齢の壁を越えて、自分たちが作り出した輝きがありました。
何かに全力で挑んで、一緒になって汗を流して初めて繋がる想いがあって、1人では作れない輝きは「一生消えない思い出」となって、これからも輝き続けると思います。