台湾で唯一海に面していない内陸部の南投県にあって、周りを緑豊かな自然で囲まれた人口1万7000人程で過疎化が進む町に派遣校である水里商工はあります。
国立高校で唯一の応用日本語学科を有する学校であり、生徒達は必修で日本語を学んでおり、日本語能力試験1級合格者もいます。また、茶道や浴衣の着付けもでき、和太鼓部まであって盛んに日本語・日本文化に関する活動が行われています。
しかし、台北や高雄、台中といった大都市の高校に比べて、日本文化や日本語、日本人と交流する機会は圧倒的に少ないです。
また、日本語の全国大会に参加するために、片道3時間以上かけて試合会場に向かう生徒達の苦労は計り知れません。
この逆境に立ち向かうように、生徒達と想いを1つにし、何百回も予行練習を繰り返して全国大会に挑んだり、手の皮がめくれるまで太鼓を打ち込んで、異文化発表会で演奏する姿はドラマ化されても不思議ではない物語で溢れています。
日を追うごとに成長していく生徒達の姿、育まれていく確かな絆。
この10ヶ月は日本語を教え、台湾語を学び、日本文化を教え、台湾文化を学んだ「学び合い」の充実した日々でした。
改めて派遣期間を振り返ってみて、最初は生徒と一緒のスクールバスで通勤する中、何を話したらいいかと戸惑い、授業で教室の扉を開けるたびに緊張していました。しかし、いつしか戸惑いや不安は消えてなくなり、終わりが見えた頃には残りの時間を惜しむように、楽しい想い出が増えて行きました。
最後は「笑顔」で終わりたかったけど、みんなからのサプライズや思いのこもった手紙、その温かい気持ちに触れて、涙を堪える事ができませんでした。
台湾の片隅で触れた「情熱」と「親切」は想い出となって、生涯忘れることはないと思います。水里商工応用日本語学科!輝け、羽ばたけ、鵬程万里!たくさんの素晴らしい想い出をありがとう!