「先生、手伝いましょうか」「先生、大丈夫ですか」タイの生徒からこんな言葉をよくかけられます。私が関わっている日本語専攻科の生徒だけではなく、他の学科の生徒もちょっと重いものを運んでいると声をかけてきて手伝ってくれます。
また、タイの先生たちが生徒たちにいろんなことを頼むのをよく目にします。しかし、生徒たちは決して嫌な顔をせず、快く手伝います。
誰もが快く手伝うので、CP(カウンターパート)の先生に「なぜタイの生徒たちはこんなにお手伝いをしますか」と尋ねました。先生は「これから彼らが世の中に出て行ったときに、人を助けることはとても大事なことです。それが世界の平和のためにもつながりますから」と答えられました。
タイは仏教国で、タイの人はワイ(合掌してお辞儀をするタイの伝統的な挨拶)で挨拶をします。ワイには相手を尊重するという意味が込められているそうです。
また、タイでは6月16日がワイクルーの日(教師の日)で、生徒が教師に対して感謝や尊敬を表します。生徒たちが花飾り、ろうそく、線香でブーケを作り、教師に捧げ、感謝の気持ちを述べます。
仏教国であること、そして、タイの日常生活の中に、相手を尊敬したり、相手に感謝したりする場面があることが生徒たちの思いやりの姿につながっているのかなと思います。
先日ドラマコンテストで行った「蜘蛛の糸」の最後に次のような教訓を述べる場面があります。 「教訓は2つあります。1つ目は、普段から誰かを助けたりいい行いをしていると、自分が困っている時、きっと誰かが助けてくれます。助け合うことの重要性を表しています。2つ目は、自分さえよかったらそれでいいんだという自分勝手な考え方を深く戒めています。」
タイの生徒たちにはこの教訓が生きているのを感じます。タイの生徒たちの思いやりの心に触れて、自分自身もこんな風にありたいと思います。