マゲラン市内から車で30分ほどの場所にあるのが軍系私立学校「タルナ・ヌサンタラ高校」です。
この学校が私の派遣先校です。
オランダ植民地時代に栄えた私立学校と国軍との共同事業のもと、インドネシアの将来を担う人材の育成を目的に1990年に設立されました。
全寮制でインドネシア全土から集まった生徒がひとつ屋根の下で暮らします。
洗濯、アイロンなど生活の基本は全て生徒自身で行います。
朝4時半に起床し、全員揃っての体操とランニングから生徒の1日が始まります。午前7時から午後2時まで正規の授業を受け、夕方はスポーツや生徒会などの課外活動、夕食のあと夜9時まで校舎で勉強します。夜9時半に全員揃って寮へ帰り、夜10時半消灯です。
挨拶は敬礼。平日は携帯の使用禁止。外出できるのは日曜日の午前10時から午後5時までです。寮に忘れ物を取りに帰るときや、お金を下ろすときは担任の先生の許可が必要です。
この学校で活動をして私が日々感じることは、先生と生徒や生徒同士の絆がとても強いということです。生徒の寮生活の指導もこの学校の先生の大切な仕事です。そのためキャンパス内に家があり先生方はそこに住み、24時間生徒を見守ります。
「授業の内容をもう一度教えてほしい」と生徒が先生の家に訪ねて来ることも日常茶飯事だそうです。場所、時間に関係なく生徒に寄り添います。ルールを破ったときは真剣に怒り、出来たときは褒めます。生徒は先生を親のように慕い、先生は生徒を本当の子どものように気にかけます。「ここの友だちと先生は本当の家族みたいなものだよ」と嬉しそうに生徒が教えてくれたのがとても印象的です。
一見、自由が少ないようにも見えますが、たくさん感じ考え行動し、夢に向かって努力することの大切さを学ぶのだろうと思います。素敵な先生と仲間に囲まれ濃い高校3年間を過ごすのだろうなと、羨ましく感じることさえあります。
この学校の先生、生徒に近くで関われる環境に感謝しながら、一緒に過ごせる残りわずかな時間を大切にしたいです。