私は、日本語パートナーズ(NP)として日本語や日本文化を紹介する際、独創性を重視しています。NPは、あくまで現地の日本語教師や日本語学習者のアシスタントという立ち位置であるため、とりわけカウンターパート(CP)の先生と共に授業を行う際には、相手の先生の要望や指導方針に合わせた対応をする必要があります。しかし、NPに与えられた時間内で様々な提案をすることは可能です。また、学校内で自主的に企画する授業やイベント等では、自分ならではの視点を更に取り入れやすいと考えます。
第一に、日本語の授業についてです。CPの先生との授業、自主企画の授業ともに、学習指導要領のような固定化されたガイドラインに必ずしも準拠する必要はないため、紹介する内容やその方法について考える余地があります。必要に応じて、自分で作った教具や教材を多く提供することも可能です。私が常に心掛けているのは、現実の場面を想定した日本語の紹介であり、同時に学習者の動機付けを考慮して教材を吟味しています。
第二に、日本文化の紹介です。私は極めて不器用で、料理や工作等手先を使う作業が総じて苦手であるため、形に残るものにこだわり過ぎず、自分の経験や知識の中で学習者の役に立てる事柄を扱っています。例えば、出身地である新潟の紹介です。新潟に旅行経験のある人は少ないうえ、積雪が殆どない台湾では雪自体が珍しがられます。また、日本のほか在住経験のある韓国と台湾の生活文化を比較したり、私自身が複数の外国語を学ぶ中で見出した言語の学習方法を共有したりしたことも、好評でした。
つまり、日本語と文化ともに紹介の切り口は非常に多様です。NPとして新たに習得が必要な事柄が必ずしもあるわけではありません。むしろ、NP自身の等身大の生き方を共有することこそ、唯一無二の日本の伝え方であり、現地の人々にとって貴重性を持って受け止められると考えます。