日本語パートナーズ(NP)である私の普段の授業での役割は、主に「発音」、「板書」、「机間巡視」の3つでした。そして、1つのクラスに対して、月に1度のペースで文化紹介を行っていました。
派遣校での活動は、どれも思い出深いです。しかし、数カ月経った今でもその時のことを鮮明に思い出す授業があります。それは8年生(中学2年生)の5課の授業です。
その日は新しい単元に入り、最初に新しい単語を勉強しました。いつもであれば、最初にNPである私が新出単語を発音し、生徒が復唱→生徒のみで発音→暗記→NPの日本語を聞いて、生徒がベトナム語で書くという流れでした。しかし、この日は、カウンターパート(CP)からの提案で、急遽、1つ活動を追加することになりました。それは、「NPが新出単語をベトナム語で言い、生徒が意味を日本語で答える」という活動でした。
私はベトナム語の発音が苦手な為、「自分の拙い発音を生徒に聞かせるのは恥ずかしい」、「上手く発音出来なかったらどうしよう」と緊張してしまいました。その一方で、生徒のことを考え、「もしかしたら、生徒たちも日本語を発音する時、今の私と同じような気持ちになっているのではないか」と思いました。
緊張しながらも、単語をベトナム語で発音していきました。発音する度に、生徒たちは「おー」と盛り上がってくれ、その意味を日本語で答えてくれました。まず、きちんと伝わったことが嬉しかったです。さらに、活動が終わった後にCPの先生が「(発音が)とっても上手です」と、言って下さったことも本当に嬉しかったです。褒められるとこんなにも嬉しいのだと実感しました。
生徒としての緊張感、自分の言語が相手に伝わる、褒められる喜びを私に気づかせてくれたこの授業は忘れがたいものとなりました。