ベトナムは近年、日本語教育機関、教師及び学習者のいずれにおいても増加数が最も多い国として注目を浴びています。そのような教育現場に日本語パートナーズ(NP)として参加できたことはとても幸運でしたし、実際その熱気は驚くべきものでした。私の担当したハノイの中学校でも新入生の6年生(中学1年生)から最終学年の9年生まで一クラス週3コマ(一コマ45分)の日本語授業が行われ、教師は毎日体当たりで奮闘しているといった感じです。
しかしながら、一クラス約50人の生徒にとって、ただでさえ難解な日本語を学ぶことは容易ではなく、ただ教科書を読み書きするだけでは授業に集中することが難しいようです。そのため、カウンターパートの先生からは、発音指導等と併せ楽しく学べる遊びの要素の導入の相談を受けました。その中でも好評だったのが「ビンゴ」、「しりとり」、「漢字間違い探し」のゲームや歌だったように思います。
「しりとり」は初めて日本語に触れる6年生を対象に仮名表記に慣れ親しんでもらうこと、「ビンゴ」は新出単語を覚えてもらうこと、「漢字間違い探し」は漢字表記の正確さとともに苦手意識を薄めてもらうことを念頭に置きました。教科書の各課が終わる毎に、生徒全員やグループ対抗として行ったところ、教室内は大興奮に包まれました。ゲームで競い合うことが大好きなベトナムの生徒にとって、日本語学習の楽しみの一つとなってくれたようです。
また、歌はどの学年も大好きで、歌詞カードを配れば日本語の練習にもなります。定番のドラえもんでは、どうして名前に片仮名と平仮名が混ざっているのか質問攻めになったほどです。
新型コロナウィルスの蔓延で2月初めから休校措置が続き、避難一時帰国で活動が継続できなくなったのは残念ですが、ハノイでは5月中旬から日本語授業が再開したそうです。明るい兆しの知らせを聞いて、私やNP仲間が蒔いた種が現地で育ってくれる希望を持ちました。