派遣期間:2019年5月〜2020年2月
「いつか海外の学校で働いてみたい」という長い間の夢が叶い、2019年5月、私はタイの学校に赴きました。着任して3か月が過ぎた頃、「先生の勉強が楽しいです。日本語がわかるようになりました。」と生徒たちから話しかけられるようになりました。また、帰国間近に生徒が制作してくれたビデオレターは何度見ても“うるっ”ときます。私が、日本語パートナーズとして楽しく充実した活動を行うことができたのは、生徒たち、カウンターパートの先生、職員室の外国人の先生、国際交流基金のサポート、そして出会ったすべてのタイ人のおかげです。
お世話になった人たちに直接恩返しをすることはできませんが、日本人にタイのことをもっと知ってもらい、絆を深めることが、私にできる恩返しだと思っています。
私は今、小学校教師に復職し、タイの写真を廊下に掲示したり、タイの話題を積極的に授業に取り入れたりして、タイに興味をもってもらえるように工夫しています。「タイ人は『鬼滅の刃』を知っているか?」「タイで人気の占いは?」等のクイズを出すと、子どもたちから「意外だ」とか「知らなかった」という反応が返ってきます。また、プラスチックゴミ問題について、タイではリサイクル工作などを通して考える授業をしましたが、日本では、タイや日本を含む地球規模の課題として、SDGs(持続可能な開発目標)と関連させた授業を計画しています。
近年、日本にも外国にルーツをもつ子どもたちが増え、言葉の壁から成績不振や孤独感に苛まれるといった問題が起きています。私も、タイ生活の様々な場面で言葉の壁にぶつかり、不安やもどかしさを感じました。普段何気なく使っている言葉は、人格形成の基盤であり、人生を豊かにするものであることを実感しました。その経験から、外国にルーツをもつ子どもたちの日本語教育や居場所づくりも広い意味での恩返しと捉え、できるところから行動しようと思っています。