派遣期間:2016年10月~2017年3月
日本語パートナーズ(NP)は単に日本語教師のサポート役として日本語を教えるのではなく、日本文化の伝道師としての役割や日本の地域とインドネシアの地域をつなぐ役割が求められます。そのため、毎日の日本語授業だけでなく、派遣先地域の活性化のための企画立案や実施、教育機関と地域をつなぐ担い手としての仕事を経験することもできます。このようなNPの活動から、私は今の生活に役立つ、たくさんのことを学びました。特に今役に立っていることは、インドネシアという土地で「信頼関係を築く力(スキル)」と、それを形にする能力です。
インドネシアは高コンテキスト文化の国です。例えば、話していることとその内実は違うし、言葉に出さない「含みのコンテキスト」が生活のあらゆるところに潜んでいるのです。そのため、文化的・地域的・宗教的差異がある中で、お互いを理解しあい、地域のために働きかけることは、外部の日本人にとってはかなり難しいことだと感じます。 日本とインドネシアの二か国が関わるプロジェクトの中で自分はどう振る舞うべきか。日本に関心がある人ばかりではない環境の中で、どうすれば日本のファンになってもらえるか。そしてそのような人々とどのように協調していくか。信頼をどのように獲得すべきか。私はトライ&エラーで模索しながらも、多くの人の協力を受け、「日本語を学ぶ高校生のために」という共通テーマで数十個の企画を行う経験を得ました(過去記事参照)。このような経験を通して、私は「信頼関係を築く力」を身につけることができました。
NP活動中から、私は、単に「インドネシアに詳しいひと」ではなく、「日本とインドネシアの二か国をつなぐひと」になりたいと強く願うようになり、帰国後すぐに別のプロジェクト運営に関わることになりました。特に印象に残っているのは、「環境」をテーマにインドネシアと日本とを繋ぐプロジェクトに関わった時のことです。課題は多く、時に難しいと感じながらも地域住民が主体的に動けるよう「信頼関係を築く力」でNGOや関係各所と調整し、プロジェクトを実施することができました。
そして今、私は大学で教鞭をとっており、NP活動を通して得た「信頼関係を築く力」を日本やインドネシアの学生たちに継承しています。大学の教室の中だけでは学べない、リアルな体験は彼らや彼女らの夢を実現するための知識やスキルとなり、活用されています。
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(リアウ州ブンカリス県タンジュン・ルバン村 現地小学校教員、日本の大学生)
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(プルワカルタ県 プルワカルタ第1国立高校 現地の日本語教員、現地高校生、日本人大学生)
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(ジャカルタ特別州タンジュン・プリオク郡 町内会長、LMK長、住民、日本人大学生、企業)
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(リアウ州プカンバル市 在地企業の専門家、国際援助団体、日本人学生)
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(プルワカルタ県ジャティルフル貯水池)
日本とインドネシアの若者の「キラキラ」とした目をより輝かすことができるよう、NPの活動を通じて学んだことをこれからも活かしていきたいと考えています。