サバイディー(こんにちは)。
ラオスのビエンチャンに派遣されていた青西涼子です。私は布の手仕事が趣味で、日本では刺し子や藍染めなどを楽しんできたので、ラオスの布については、日本にいるときから楽しみにしていました。週末にビエンチャンや旧都ルアンパバーンで伝統工芸を紹介するミュージアムや団体を訪れ、ラオスの布を見せてもらったり、いろいろな布体験をしてきました。
■布に関するミュージアム
<Lao Textile Museum ラオ・テキスタイル・ミュージアム>
ビエンチャン郊外の緑の多い広い敷地には、「織り」や「染め」を紹介する高床式の家屋、ミュージアムショップ等があり、雰囲気のある素敵な空間でした。「織り」の家屋1階は織物の工程説明や織機の展示があり、織りをしているところを見せてもらいました。2階には、古いラオスの織物の展示があり、それぞれの布が素晴らしく、建物の雰囲気ともマッチして、うっとりでした。
Lao Textile Museumの2階に展示されていたアンティークの織物。うおーと声が出る美しさでした
<Traditional Arts & Ethnology Centre 伝統芸術少数民族センター>
ルアンパバーンにあるラオスの少数民族の伝統芸術の維持・発展を支援するセンターで、コミュニティ支援、商品開発・販売、少数民族の権利擁護まで行っていました。企画展は、ラオスのオロ族の民族衣装がヨーロッパの有名なファッションブランドに流用されたことについて問題提起するものでした。ルアンパバーンの街で売っているラオスの民芸品がハンドメイドかどうかを当てるクイズのコーナーも面白かったです。
Traditional Arts & Ethnology Centreの常設展示のモン族の衣装
ミュージアムショップやワークショップも充実しています
■手織り体験
「ホワイホン職業訓練センター」は、日本のNGO団体「ラオスのこども」共同代表のチャンタソン・インタヴォンさんが、ラオスの天然染色や伝統織物の復活と女性の職業訓練のために設立したセンターです。ビエンチャンの中心から少し離れた緑豊かな広い敷地の中にあり、ゆったりとしたいい雰囲気の中で、研修が行われていました。私は手織りのワークショップの1日コースに参加しました。実際にラオスの模様を織ってみるのは、複雑ではありましたが、本当に楽しくて、幸せな時間でした!
ワークショップで手織中の布。1日で40数センチの絹織物ができました
■モン族のろうけつ染めと刺繍
私はアジア各地に住むモン族の民族衣装が大好きで、ラオスの旧都ルアンパバーンで、モン族の若者たちが藍染商品の制作・販売をしているMoon Love Batikという工房で行われている、ろうけつ染めのワークショップに参加しました。蝋刀(ろうとう)という道具を使い、炭火で溶かしたろうで手織りの麻布に文様を描いていきます。文様を集中して描いていくと心がしーんと落ち着いてきます。そして、ろうで文様を描いたすべての布を藍で染めました。
できあがったろうけつ染め。この2人の若者が教えてくれました
工房では、藍染めの布やおしゃれな服や小物を販売していて、
私の体験中も観光客がたくさん訪れていました。女性は作品を制作するアーティスト
ルアンパバーンでは、モン族の刺繍教室にも参加しました。モン族の刺繍はクロスステッチに近いのですが、糸が太かったり細かったりする麻の手織物の織り目を数えて刺していくので、織り目の数え方のコツがつかめず、緻密な性格ではない私には難しかったです。
モン族の刺繍の見本。このように刺したかったのだけど、自分のは段が微妙にずれてしまいました……
4か月弱のラオス滞在中、ラオスの布をたくさん見て、さまざまな布の体験をすることができました。体験をした教室のインストラクターや、バザールで出会った刺繍作品を売っている人たちには、押しつけがましいと思いつつ、自分の刺し子作品を見てもらったり、刺し子パターン等をプレゼントしたり、刺繍や染色のことなどについておしゃべりしてきました。そうした交流もとても楽しかったです!
日本でもラオスでも、手間のかかる布の手仕事を残していくのは簡単ではありませんが、ラオスでは若い人たちが伝統工芸を新しい形で拡げていこうとする活動にも出会えました。いい形で継続・発展していってほしいと願っています。