こんにちは。タイ・スリン県のプラサートウィッタヤーカーン学校に派遣されている山﨑です。
スリンに来てから一か月も経たないうちにとても印象的な出来事があったので、それをレポートします。
CP先生(現地の日本語の先生)とチームで授業をしています
派遣前研修の時に「日本語を勉強している生徒の中にはモチベーションが低い生徒もいる」という話を聞きました。そこで、そういった生徒にも楽しんでもらいたいと思い、授業中にできるゲームや文化紹介を沢山考えてタイに来ました。
実際、M4(日本でいう高校1年生)の中に数人、授業に参加していない生徒がいました。「トイレに行く」と言って長時間戻ってこない生徒や、後方に座って教科書もノートも開かない生徒たちです。そこでCP先生に相談してゲームをやることにしました。
カルタ取りは真剣そのもの
背中に文字を書く伝言ゲームとカルタを行い、予想以上に盛り上がりました。私も楽しくなりゲームをして良かったと思いましたが、よく見ると普段授業に参加していない生徒に笑顔はありません。平仮名を覚えていない生徒でも参加できるよう、CP先生とチーム分けなどをよく考えて行ったゲームですが、一部の生徒には楽しんでもらえませんでした。
それから数日後、促音(「っ」)を読むテストがあり、CP先生と私が二手に分かれてチェックしました。いつも授業に参加していない生徒が私のところに来ましたが全く読むことができないので、まず私が読んでからそれをリピートすることを繰り返しました。すると、促音の読み方が理解できたようで「わかった!」という瞬間がありました。その生徒は何も言っていませんが顔つきが突然変わり、笑顔になったのです。
何度も練習しました
その日から変わりました。授業中に教科書やノートを出すことがなかった生徒たちが自分からノートを取るようになりました。トイレに逃げていた生徒は今では一番前の席に座って積極的に発言しています。
授業に参加していなかった生徒たちは、日本語が嫌いだったわけではなく授業を理解したかったのです。私はゲームをやれば生徒は喜ぶだろうと安易に考えていました。「授業が分かる」というとても基本的なことを忘れていたのです。
ロールプレイの一コマ
正直なことをいうと、その生徒たちは他の真面目な生徒にはまだ追いついていません。けれど、ゆっくりではありますが自分のペースで頑張っています。また、授業外では「先生~」と笑顔で声をかけてくれるようにもなりました。生徒たちにとても大事なことを教えてもらいました。「わかった!」あの時の笑顔は一生忘れません。