5月にタイへ派遣されてから早くも半年が経ちました。これまで”うだるような暑さ”が日常だったタイも、11月になってからというもの、太陽が見えない時間帯は各段に暮らしやすくなってきました。そう、半年近い雨季が終わったのです。そんな季節の変わり目、10月9日~18日に開催されたメーサリアン市の一大行事「オークヮー」を紹介したいと思います。
オークヮーの目玉である大行列
外務省の発表ではタイ国民の95%が信仰しているといわれる仏教。私の暮らすメーサリアン市も、街中のあちこちで寺院を見かけることができます。オークヮーもそんな仏教行事の一つです。旧暦陰暦の8月16日の満月からお寺の僧侶たちは安居に入ります(入安居)。この日をカオパンサー(タイ語で”カオ”は入る、”パンサー”は安居の意)と呼びます。安居とは、僧侶が一定の場所に集まり慎ましく修行に身を置くことだそうで、タイでは大変重要な期間として位置づけられており、それは3か月間続きます。そして、修行が明けるのが旧暦の11月15日、出安居です。僧侶たちが早朝4時頃からタンブン(托鉢)に出向き、街中を練り歩きます。これをタイ語でオークパンサーと呼びますが、メーサリアンをはじめとするメーホンソーン県内では“オークヮー”と呼ばれます。(タイ語で”オーク”は「出る」の意)
写真左:10月に入ると街中はゴームファイ(提灯)で彩られる
写真右:午前4時、托鉢の様子
仏教行事としての意味合いが強いですが、10月に入ると街中はオークヮーに向けて祭りの装いを帯びていきます。市役所の前にはステージが設置され、ポスターが町中に掲示され、周辺は出店が軒を連ね、本番前から一週間は日本の縁日のような賑わいを見せています。派遣先校の生徒や先生も、メインイベントである仮装行列の一員として参加します。こういった地域の行事に学校が携わることで、地元との繋がりを感じられる貴重な機会になると思います。祭りの行列や舞台で一役を買っている生徒は、いつもになくイキイキとしているようでした。
写真左:「ギンガラー」という下半身が鳥で上半身が人間のヒマラヤの神獣の衣装で
舞踊を披露する生徒
写真右:象を象徴する伝説の動物「トー」の演舞をする生徒
前述した通り、これらの行事はタイ語で”オークパンサー”と称されますが、メーホンソーン県内では「オークヮー」と呼ばれます。ワーはシャン語(タイ北部及びミャンマーの山岳民族の言語で、タイヤイ語とも呼ばれる)で雨季を意味します(托鉢を意味するという話も有)。これは、タイ北西部にはシャン族の人たちが多く暮らしていることに由来します。雨季から乾季への移り変わりを祝うように、街の賑わいは早朝から夜遅くまで続き、屋台通りは人と人の間を歩くのが難しいほど盛り上がりを見せていました。この時期に故郷の空気を思いっきり堪能しようと帰郷する人が多いと聞きますが、理由も頷けます。