みなさま オーム スワスティアストゥ(Om Swastyastu)(バリ語で「こんにちは」)。インドネシア・バリに派遣されている谷です。
11月に派遣先高校の創立を記念したイベントに参加しました。インドネシアでは、学校の「誕生日」(Hari Ulang Tahun略してHUT)と表現します。校舎の入り口には、お祝いの花輪、中庭には立派なステージとテントが設置されていました。女性はバリの伝統衣装のKebayaという上着を、男性はUdengという頭飾りを着用します。在校生が主体となって、歌や伝統的な踊りとガムラン(インドネシアの伝統的な楽器)の演奏で盛り上げていました。
その中でも私が一番感動したことは、司会を務めた生徒が4人いて、それぞれ、「インドネシア語」、「バリ語」、「英語」そして「日本語」を使用していたことです。いつからこの4つの言語で司会進行をしているのか、現地の日本語の先生に尋ねると、以前からとのことでした。公式の行事で、日本語を他の言葉と同じに扱っている。それはずっと日本語を教えている先生たちの努力のおかげであると同時に、日本語の授業を受けていない生徒に対して、少しでも日本語に触れる機会を提供してくれていることに心から感謝した瞬間でした。
学校以外でも、タクシーの運転手、レストランの店員等、至るところで、片言の日本語でよく話しかけられます。ある時、その店の従業員のほとんどが、高校時代に日本語を習ったと教えてくれました。一生懸命思い出して日本語で話そうとする姿を見て、即席日本語教室が始まり、代わりにインドネシア語も教えてもらうという体験もしました。
長年日本語教育の普及に尽力した先生たちによって、昔蒔いた種が長い間土の中で眠っていて、あるきっかけで芽が出て、花を咲かせる。その種を蒔く手伝いができ、その芽が出た瞬間にこうして立ち会えるなんて、日本語パートナーズ冥利につきると感じました。
ただ、近年日本からの観光客が減っているせいか、また韓国人や中国人の観光客が増えているからか、韓国人や中国人に間違われることが結構あります。そのため、日本や日本語に対しての関心を、ぜひ今後も持ち続けてもらうためにも、現在から未来への継続した活動こそが重要だと感じています。
時には目の前のことだけで、精一杯になることがあります。でも、今のこの瞬間こそが、現地の日本語教師や日本語パートナーズをはじめ多くの関係者と日本語学習者の間で、友好の種を蒔き、いつかそれが芽を出し、花を咲かせる。それがバトンのようにつながっていく活動であることを常に心にとめ、残りの活動をしていきたいと思います。