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ひたすら混ぜる4時間半。「世界一の料理」作ってみた

Halo semuanya~(みなさまこんにちは~)現在、インドネシア・スマトラ島のパダンに派遣されております、塚本将就と申します。この度、派遣先パダンの代表的な料理について寄稿しました。お楽しみください。

ナシゴレン、サテ、ミーゴレン……ご存知の方も多いだろう。これらはどれもインドネシアの代表的な料理である。豊かな食文化を誇るインドネシアに、世界一の称号を冠した逸品があることをご存知だろうか。

牛肉のルンダン 「rendang sapi」

その名は「ルンダン」。ココナッツベースのスープで肉や卵を丁寧に長時間煮詰める、伝統的な料理だ。私の派遣地域であるスマトラ島西部を発祥としており、米CNNが選ぶ世界一の料理に2度も選出されている。この度、CP先生(現地の日本語の先生)のお宅でルンダン作りを体験した。

伝統的市場「Pasar Tradisional」の様子

鮮やかな唐辛子がよく映えるスパイス屋さん

朝、市場へ材料を買い出しに。CP先生が現地のミナンカバウ語を操り、スムーズに材料を仕入れてくれた。今回は代表的な牛肉のルンダンだ。大鍋で大量の唐辛子とココナッツミルクを混ぜたスープを加熱し、ローリエ、レモングラス、ガランガル、エシャロット等豊かな香味野菜を加える。材料を加えるタイミングはCP先生の経験頼りだ。スープは沈殿を防ぐために絶えず前後に優しく混ぜる必要がある。初めはサラサラだが、煮詰めてゆくと重たくなってゆく。スープが2cmほど蒸発したら、ようやく牛肉を投入。ここからが本番だ。煮崩れも沈澱もしないように、絶妙な力加減で汁気が飛びきるまで混ぜ続ける。疲れに耐えながら混ぜ続けること4時間半。汁気が完全に飛び、黒糖で味を整えてようやくルンダンが完成!昼過ぎにはじめたのに、もう陽が傾いていた。

ココナッツとスパイスの良い香りが台所を包む

スパイスや香草は完全にペーストに。香り高いルンダンの完成

ルンダンはミナンカバウ人のお祝い料理であり、断食明けのご馳走として振る舞われる貴重な一品だ。また、大変日持ちするのでミナンカバウ人が出稼ぎに出る際に携行してきた料理でもある。商才溢れるミナンカバウの人々は出向いた先で多くのパダン料理店を開いた。今では、マレー圏各地で愛される料理だ。実際に調理してみて、ミナンカバウの人々がルンダンを愛し、プライドを持っている理由を実感した。これほどの手間と時間をかけた逸品に、愛着の湧かないはずがない。そこには、材料と対話しながらルンダンを作り上げるミナンの心が生きているのだと思った。

Writer
インドネシア パダン
塚本 将就さん

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