こんにちは。ベトナムの中部フエに派遣されています小林です。
ベトナムに来て8か月。店や道ばたで食べる料理はどれもおいしく、なぜか懐かしい味わい。時に京都のおばんざいを彷彿とさせるメニューに出会って、ほっとすることもあります。ただし、唐辛子はしっかり効いているものが多いです。辛いものがちょっと苦手な私は、いつもそっと口に入れるように心がけています。
どうやら辛みにまといつくさまざまな味の変化を楽しむのがベトナム料理のようです。
そこで、派遣先の中学校・高校ともに生徒からのリクエストが多かった「おにぎり作り」の文化紹介で、味の好みについての小さな実験を加えてみることにしました。甘い・塩からい・すっぱい・苦い・うま味という和食の基本でもある五味を試してもらおうと、まずは、みんなが作るおにぎりに合いそうな具材を探しに奔走しました。
当日、机の上に並べられた具材のいろいろ。生徒が見たことのないものも、あるものも含まれています。
①かつおぶしふりかけ
②ごま塩
③自家製梅干し
④わさびと七味
⑤ツナマヨ
まず、クラスの中でとくに勇気のある5名の生徒に試食してもらい、これらの味をそれぞれ仲間に日本語で説明してもらいます。その後、全員が好きなものを選んで自分のおにぎりに合わせてみるという趣向です。日本食のイメージが良いのか、毎回、挑戦希望者は多数、出ました。
試食の挑戦者
9クラス、400人ほどの中高生がNP(日本語パートナーズ)のこの無謀な実験に笑顔で参加してくれました。
熱心な作業
得意げな表情
結果はなんと、生徒のほとんどが④以外(一部生徒は④についても!)は①②③⑤すべてを「塩からい」と表現したのです。
念のため私も試食しましたが、どれも塩味をベースにしているものの、あるものは甘辛かったり、酸味が効いていたり、ピリッとした辛みに油と卵のやさしいまろやかさがあったりとさまざまな味に感じられました。でも、ひょっとするとこれは私の思い込みにすぎないかも、とも思ったのです。というのも、私のベトナム語研修の先生は「フエに初めて日本食レストランができたとき、どの料理も塩からくてびっくりした」と話していたことを思い出したからです。
私は塩味にまといつくさまざまな味の変化を楽しんでいると言えるでしょうか。
文化紹介をするときは、最もよく分かっていると思い込んでいることを客観的に観察する必要がありそうです。ベトナムに来て私は自分自身が日々、日本文化を学び直している気がしています。
それにしてもみんなのおにぎりの端正なこと。NP秘伝のコツを忘れずに、またお家の人にも作ってあげてね。