みなさん、こんにちは。タイ・ナコーンパトムに派遣されている酒井吉幸です。
「ナコーンパトム?どこ?」──きっとそう思う方も多いでしょう。私も最初はそうでした。タイには77都県もあり、日本よりずっと多いんです。調べてみると、ナコーンパトムはバンコクのすぐ西隣。車で1時間半ほど行けば着きます。都会と田舎がほどよく混ざった景色は、私の故郷・福岡にも似ていて、初めて訪れたのに妙に懐かしさを感じました。
そんなナコーンパトムでの休日の楽しみは、朝のウォーキング。日本にいた頃からの習慣で、タイでも毎週土曜日か日曜日、まだ涼しいうちに1時間ほど速歩きします。目的地は、家から徒歩20分ほどの大学キャンパス。これが現在の私のお気に入りスポットです。
私が若かりし頃に通った日本の大学は都心にあり、ゆっくり散策するような場所はありませんでした。5年ほど前、福岡でも猪が出るような地方にある大学で留学生のお世話をしていた時も、キャンパスに対する発想がまるで違うかのごとく、タイのように森林浴を楽しめる環境ではありませんでした。だからこそ、このキャンパスの自然の豊かさは特別で、歩くたびに感動します。
水面に映し出された森の静けさ
深呼吸したくなる、森と湖の桟橋
キャンパスの中には静かな池が広がり、水面にはヤシの葉の影が揺れています。枝から枝へ軽やかに飛び移るリス、鮮やかな羽の鳥、悠々と池を泳ぐミズオオトカゲ、そして南国ならではの植物。都会のすぐそばとは思えないほど自然が深く、深呼吸するたびに森の香りが胸いっぱいに広がります。
静かな池をすべるように泳ぐミズオオトカゲ
かわいいリスがひょっこり姿を現してくれました
異国で暮らす日々は楽しいことも多いし、日本語パートナーズの活動はやりがいもあるのですが、時には心が張りつめることもあります。このキャンパスで過ごす朝は、そんな心と体をゆっくりほぐしてくれる時間。木漏れ日の中を歩きながら、「よし、また頑張ろう」と小さくつぶやくのでした。