皆さん、サワディ・カップ(こんにちは)。タイ、チェンマイに派遣されている馬渕哲哉です。
派遣先で最初にするのは自己紹介です。そして、その流れから私の出身地の大阪、関西、更に関東との比較や日本の観光地へと文化紹介を展開していきました(もちろん、たこ焼きの調理実習も行いました)。
さて、派遣先の高校の生徒はいわゆる観光地と呼ばれるような所への興味が薄く、やはりポップカルチャー等には目を輝かせます。しかし、広島の紹介では意外と原爆ドームの説明に真剣に聞き入っている様子がありました。更に、ここチェンマイは日本軍がミャンマー侵攻の足掛かりとした地で、日本軍の慰霊碑もあり、タイ人の先生も広島の原爆の話の際に日本軍の侵攻についても補足をして下さりました。そこで、単に折り紙の紹介ではなく、目的を持った教材として「千羽鶴」を思いついたのですが、時既に7月の末。できれば8月6日の平和記念日に間に合わせたいのですが、「時、既に遅し」と思いながらも文化紹介で取り組んでみました。
初めての折り紙
初めて折り鶴の折り方を学び、一生懸命、黙々と折っている生徒たちの姿を見て、私はなんだか嬉しい気持ちになりました。また、更に嬉しいことに、休み時間や家に持ち帰って折ってきてくれる生徒もいました。更に更に、第二外国語で日本語を履修している生徒だけではなく、韓国語、中国語、フランス語選択の生徒たちにも広がり、なんと平和記念日の8月6日に完成し、広島に送ることができました。
完成した千羽鶴
悲しいことに7月にはタイとカンボジアの間で軍事衝突が起こりました。その日は校外学習の日で、現地のニュースでも取り上げられていました。ちょうど、学校の活動の中で平和教育に触れ、折り鶴を折る意義等も話していた直後だったので「生徒たちが平和について少しでも考えてくれていれば良いなぁ」と思い、一人の生徒に「君はどう思う?」と聞いてみました。彼が私に翻訳機を使って見せてくれた答えには「僕は戦争が嫌いです」と書かれていました。その一文は日本とカンボジアで元教員として教鞭をとっていた私にとっても、またタイの生徒と共にこの学校で行動を共にする私にとっても、とても嬉しい一言でした。