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亡くなった親族の追善供養

自宅からの朝焼け。バンコク近郊はPM2.5の影響で空がいつも曇っています

サワディカー、こんにちは。タイ・サムットプラカーンに派遣されています、岸本です。

こちらへ着任して早4か月。還暦に近い私もようやく、生徒の名前と顔が一致してきました。「センセー!」と、いつも人懐っこい笑顔で遠くからでも手を振ってくれるA君。今日はそんなA君が突然頭を丸刈りにしてきたものだから、驚いてしまいました。「ヘアカットしたのね!」と声をかけると、恥ずかしそうに丸刈り頭を撫でる彼。そして、いつもなら愛嬌のある返しがあるのに何も言わないまま。それ以上聞けなかった私は、気になってCP先生(現地の日本語の先生)に尋ねてみました。

「今日、A君が突然、頭を丸刈りにしてきたけれど、何かあったのかしら?」
すると、CP先生から、「それは多分、家族の誰かが亡くなったのだと思います」と意外な答えが返ってきました。

タイでは故人のために、家族の中の若い男子が一時的に剃髪、出家し、お坊さんのオレンジ色の袈裟を着て葬儀に参列する習わしがあるのだと教えていただきました。のちに調べると、追善供養といって、故人がより良い世界へ旅立てるよう火葬当日の朝に出家、善行を積み、数日後に還俗(出家を終える)するとのこと。とても感慨深いです。

A君に「剃髪をしてお坊さんなんて……。タイの少年たちは、嫌だとか、僕はしたくないとか主張はしないの?」と聞いてみると、「しません、みんなやります。そして、髪はすぐに伸びますから」と即答でした。それからもA君は通常通り元気に通学。友達とも何の違和感もなく楽しそうにおしゃべりをしています。

日本では、突然の丸刈りは、反省や罰等の意味が含まれることがありますね。タイでは、家族の死を偲び、亡くなった家族のために躊躇なく剃髪を受け入れ、それを周囲の友達も違和感なく受容し普段通りの生活をしていると知り、タイのおおらかさ、温かさを感じました。そして、改めてかわいいだけではないA君の懐の深さにも感服したのです。

Writer
タイ サムットプラカーン
岸本さん

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