アジアでの日本語教育は日本を知ってもらう上でとても重要
――日本語パートナーズの活動後についてお聞きします。進路はいつ頃決めましたか。
天野:日本語パートナーズの活動中に柳川高校附属タイ中学校の建設が進んでいて、ナコンシータマラートを訪問していた柳川高校の理事長と交流する機会があったんです。その際に就職の誘いを受けました。でも、タイ附属中学校に勤務することを決断したのは、日本語パートナーズの活動を終えた後です。
――決断の理由は何だったのでしょう。
天野:理事長の志に共感したからです。お互いに「世界と日本をつなぎたい」「タイと日本の架け橋になりたい」という思いを持っている。目指すところが同じでした。
福岡の柳川高校は20年以上前から留学生の受け入れに積極的で、今後はタイ附属中学校の卒業生も留学生として受け入れていきます。今のところ附属中学はタイの1校のみですが、この先、ASEAN各国にも学校や連絡事務所ができれば、さまざまな国の生徒が柳川で学ぶようになるでしょう。そのベース作りに自分も関わることができるのだから、そんな刺激的な仕事はない。そう感じて、タイ附属中学校で働くことにしました。
――今の目標を教えてください。
天野:まずタイ附属中学校を、生徒に「柳川中学校で学んでよかった」と心から思ってもらえるような学校にすることですね。そして母体となる柳川高校が、世界中の高校生が交流したり互いの文化を知ったりできる学校になるよう、貢献できたらと思っています。
――天野さんは青年海外協力隊と日本語パートナーズの活動を通して、タイでの日本語教育に携わってきました。アジアで日本語教育を行う意味をどう考えていますか。
天野:日本を知ってもらう上で、とても重要なことだと感じています。アジア各国の中学生や高校生が「日本語を学びたい」と思えるような環境を作りたいですね。日本語学習者が負担なく日本語を学べる方法を見つけることも大切かもしれません。
――これからもタイでの生活が続きますね。「海外で活動したい」という志を持つ人たちにメッセージをお願いします。
天野:まずは一歩踏み出してみてください。海外に踏み出せば新たな出会いがあり、新しい世界が見えてきます。失うものより得るチャンスのほうが、はるかに大きいですよ。